合唱「組曲砂川」に響く魂/柘植洋三(元立川反戦青年委員会)

砂川闘争60周年のつどいで大合唱「組曲砂川」に響く魂

市民・学生・労働者が一体となって勝利した砂川闘争

市民・学生・労働者が一体となって勝利した砂川闘争

 11月5日の「砂川闘争60周年のつどい」では、窪田亭作詞:小林秀雄作曲の「組曲砂川」を合唱することとなり、私も合唱団の末席を汚させて頂いている。
 同組曲は10分程で組曲としては大曲とは言えない。しかし、1955年から56年にかけての砂川闘争の勝利を称えて作られ大闘争を背景に作られた歴史的大作である。数多くの組曲にかかわっている小林秀雄の作曲も素晴らしい。窪田亭の作詞も砂川の現地状況、農民の魂、当時の平和運動の熱気、沖縄に寄せる篤い心を見事に反映して胸を打つ。
 当稿では、「砂川組曲」の歌詞から私の経験も含めて特に感慨深いところを取り上げてみる。

「けやきの並木五日市街道は~」と歌い出しにある。
 砂川のけやき並木は私にとって、北の空を真っ赤に染めた赤旗の森として印象に残っている。1956年57年の闘いで立川基地の拡張は阻止されたが10年後の1965年にベトナム戦争の激化に伴って、今度は強制測量・収容ではなく、脅しと懐柔による買収によって拡張を狙った策動が始まった。

 1966年の3月6日、米軍は、C130を砂川側フェンスから突破してオーバーランさせた。同年9月12日にはDC7を砂川の部落の中央までオーバーランさせて爆発炎上させた。これを利用した買収工作によって、砂川町基地拡張反対同盟の中では、「命が危ない」として、委員長を始め買収に応じる農民が38戸中15戸に及んだ。10年前、感動的な勝利を勝ち取った反対同盟は一挙に23戸に激減し、危機に陥った。

砂川かぞえ歌

砂川かぞえ歌

 ちょうど立川反戦青年委員会を結成したばかりの私たちは、全国人々に「平和運動のシンボル砂川が危機です。激励の赤旗を送って下さい」と呼びかけた。反響は大きく、大量の旗が送られてきた。その旗を、現地農民で古老の馬場熊吉さんが、五日市街道のケヤキ並木を中心に、部落一帯の木という木に登って高く掲げた。やがて、砂川の反対側、青梅線側から見ると、滑走路の向こうに砂川の部落一帯の林が赤く染まって見える程になった。

 『ハタクマさん』の旗の森は、まるでマクベスの動く森のように米軍立川基地に迫った。解放戦線旗も掲げたけやき並木は、ベトナムから帰着する米軍軍輸送機を脅かした。うち沈んでいた農民も攻撃的な心を取り戻し、防衛施設庁の役人は塩をまかれて追い返されるようになった。

「僕らはスクラム棍棒のあらしにも耐え抜いた。
 なぐりつけられけられ とかれてもとかれても
 組み直すスクラム命にかけて」


 ドキュメンタリー映画の金字塔とも言える「流血の記録砂川」は1956年の砂川闘争を描いた記録であるが、その解説に以下の記述がある。

「・・・昭和三十一年十月十三日、武装した警官隊は細雨をついてスクラム陣の中におどりこんだ。警棒の突撃、乱打と鉄カブトの頭突き。殴り合い、突き倒し、砂川の町は地獄の様相を呈するのだった。世論は警官隊の暴行と政府の無策にわきかえり、十四日夜、ついに今年度の測量中止が発表された・・・」


 文字通り、棍棒の嵐に耐えぬいたスクラムであった。支援者たちは、棍棒による腹部への突きに耐えるために、週刊誌や俵の底を腹に巻き付けた。引き抜かれても後ろから回ってまたスクラムを組んだ。

「燎原の火のように勝利を広げよう
 沖縄に平和よみがえらすために」

沖縄での警視庁機動隊の暴挙

沖縄での警視庁機動隊の暴挙

 砂川は勝利した。しかし今、沖縄の辺野古では、連日かつての砂川のような座り込みと、警官隊の弾圧が今繰り返されている。日本(砂川)にとって沖縄(辺野古)とはなにか、沖縄にとって日本とは何か。
 厳しい問いが発せられている。

「戦後約70年を経た現在もなお、国土面積のわずか0.6%に過ぎない狭い沖縄に、在日米軍専用施設面積の約74%米軍基地が存在している」(沖縄県ホームページ)

 砂川の闘いは、沖縄の現実を見据えること無くしては、軍事基地を沖縄に追いやる結果にしかならなかった。
 1956年の砂川闘争を歌う組曲に「沖縄に平和よみがえらすために」の歌詞が組み込まれていることで、本「組曲砂川」は、闘争歌としても楽曲としても燦然と輝くものとなった。

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