書評「砂川判決と安保法制」/まっぺん(コモンズ編集局)

土屋源太郎・著「砂川判決と安保法制―最高裁判決は違憲だった!」 (情況ブックレット)

土屋源太郎・著「砂川判決と安保法制―最高裁判決は違憲だった!」 (情況ブックレット) この本の「基金公文書の発見」の冒頭をまず引用してみる。

 「それは偶然の発見だった。二〇〇八年四月、国際問題研究者の新原昭治は、メリーランド州にあるアメリカ国立公文書館で、日米安保条約関連の解禁文書の調査を行なっていた。
 明日で調査も終わりという日のことである。手にしたファイルの中に「SUNAKAWA」という文字が飛び込んできた。これは砂川事件のことだろうか……。

 思わず手にしたファイルは、まがうことなく一九五〇年代後半の砂川闘争およびその裁判に関する外交資料だった。米軍駐留が合憲か違憲かをめぐって争われた、あの砂川裁判の公文書がアメリカに残っている。資料のコピーをホテルに持ち帰り、夜通し目をとおした。それは司法を巻き込んだ日米の密議だった。

 まちがいない。あの逆転有罪判決は、アメリカの外交圧力によるものだったのだ。アメリカ大使館(マッカーサー大使=ダグラス・マッカーサー二世)や在日米軍司令部(バーンズ将軍)はいうにおよばず、国務省・国務次官・国防総省、ひいてはホワイトハウスまでがこれに関与していたのは疑いない。日本側は藤山愛一郎外務大臣が窓口となり、一審判決(いわゆる伊達判決)ののち、なぜか東京高裁への控訴ではなく、いきなり最高裁に跳躍上告された。あの不可解な跳躍上告の謎を、いま目のまえにある公文書が明瞭に語ってくれているのだ。

 (略)読みすすむにつれて、新原はこの公文書のもつ政治的な衝撃に興奮した。国とアメリカ側が伊達判決をくつがえそうとするのは当然だが、なんと最高裁の田中耕太郎裁判長までがマッカーサー大使およびレンハート主席公使と密会して、判決の内容と時期をうち合わせているではないか――――。」

 まるでテレビのドラマでも観ているような驚愕すべき「世紀の謎」発見の瞬間である。発見者の興奮がリアルに伝わってくる。日本の最高権力機関による政治犯罪がこのパンフレットには、詳細に紹介されている。

 アメリカではどのような公文書も50年後には必ず国民の前に公開されなければならない。少なくとも国民主権と民主主義が尊重される国である証拠だ。それが今回の砂川裁判のウラの事情を暴露するきっかけとなった。しかし日本ではこの事実を突きつけられても政府は居直りを続けている。日本の民主主義がいかに形式主義で無内容であるかを示す資料だ。

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