自民党は「日米安保条約を守り運営する政党」だ/三宮克己(元府中市議)

自民党は「日米安保条約を守り運営する政党」だ/三宮克己(元府中市議)

 アメリカは日本占領中の1948年、冷戦がはじまると日本を「共産主義に対する防波堤」とする決意を固め、日本の先の大戦に関与した勢力の利用を考えた。

岸信介とダレス

岸とダレス

 1955年8月、アメリカ国務長官ダレスは、A級戦犯から釈放されたばかりの岸信介と会った(その直後の1955年10月、日本社会党は左、右両派が統一を果たし、その一か月後の11月には自由党と日本民主党のふたつの保守党も自由民主党として保守合同をはたす)。ダレスは岸に面と向かって「もし、日本の保守派が一致して共産主義者とのアメリカの戦いを助けるなら支援を期待してもよい」と言った。

 A級戦犯から逃れた岸は「もし、私を支援してくれたら、この政党(自民党)を作りアメリカの外交政策を支援します。経済的にも支援してもらえば、政治的に支援します。安保条約にも合意します」と岸は、アメリカに取り込まれるというよりむしろ積極的に取り入ろうとしていた(ニューヨーク・タイムス記者ティム・ワイナーの証言)。そう言って岸はアメリカのエージェンシー(代理人)になる事を誓った。(西日本新聞2015年10月12日)

 アメリカ国務省は2006年の外交文書「アメリカの外交」の中で、日本に左翼政権が誕生することを懸念したアメリカ政府は1958年から68年の10年間に中央情報局(CIA)から保守政権安定のため4件の秘密計画を承諾していたことを認めた。
 その1は、55年態勢成立後はじめての選挙で数人の重要な親米保守政治家(自民党の政治家)に資金援助を行なった。それは1960年代まで続いた事。
 その2は、社会党から右派を分裂させるため、1960年に7万5000ドルをわたして民社党を結成させ、以後64年まで毎年同額を渡していた。
 その3は、日本の社会から極左の影響を排除するため、ジョンソン政権の全期を通じて秘密の宣伝と社会活動に資金を提供(1964年には45万ドル)。
 その4は、その公表は影響が大きいため発表できないが、岸に対する巨額の財政支援であったこと。アリゾナ大学のマイケル・シャラー教授は週刊文春2007年10月4日号の取材に応えて(総額数百万ドルの援助とは現在の価格で100億円から300億円くらいであろう)話している。

 エージェンシーの岸がCIAから資金を承けて作った自由民主党の本質は「安保条約を守り、運営すること」だった。(前出のティム・ワイナー言)
 自民党の右派保守本流は安保体制を守り、自民党リベラル派と社会党が憲法を守るという安定した55年体制の中で日米安保さえ守っていれば、国内でいくら政治闘争をやっていても豊富な資金で有権者を買収して政権は安泰だった。
 砂川事件では「米軍駐留は違憲」とした伊達判決を、国は田中最高裁長官と駐日アメリカ大使との密談の上、「安保条約は高度な政治性が有る」として最高裁で法判断をせずに逆転、「違憲」を否定した。

 今は、その社会党も自民党リベラル派もなくなり、自民党保守は一本でCIAの指揮の下、「日本の外交・防衛の全てをアメリカに従う属国」になっている。
 こうして自民党政府は憲法改正は言っても64年も前に結ばれた日米安保条約を変えようとはしない。安保改正にもふれない。
 2009年民主党が政権を取り、鳩山由起夫首相が「少なくとも普天間基地は県外に」と発表するや、たちまち官僚たちは抵抗して仕事をさぼり、マスコミはあげて夢を見る人、宇宙人とはやし立て9ヶ月で辞任させた。

 今、日本国の沖縄県民がいくら基地撤去を要求しても自民党安倍政権は、安倍首相が既にアメリカに出かけて大統領に基地堅持を誓ってきているので日本よりアメリカの側に立ち、受け付けません。反対にアメリカ軍のように、日本の機動隊を動員して県民を弾圧し、基地建設を粛々と強硬している。
 そうして財界が希望している原発再開、中国・朝鮮・ロシアを敵視し危機感を煽って武器の生産・輸出、失業青年に自衛隊の応募をさせる「経済的徴兵制」。これからアメリカ軍の下請けに自衛隊を参加させて戦死者を出すかもしれません。まだ無関心の皆さんはこれまでのように自民党に政治を任せますか。投票しますか。自民党と一体となっている公明党に任せますか。民主党の松下政経塾出身者にもCIAの手がまわっていないか監視しよう。
 日本国憲法を守り、実行する政治を私たちの手で実現しよう。

参考資料
本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること」(須田慎太郎著、地方・小出版流通センター)、「日米地位協定入門」(前泊博盛著、創元社)、「戦後史の正体」(孫崎享著、創元社)、「CIAと戦後日本」(有馬哲夫著、平凡社新書)、「西日本新聞」2015年10月12日

三宮克己さんプロフィール
三宮克己(元府中市議)1927年朝鮮生まれ。敗戦を鎮海海軍基地で迎え帰国後、南方北方の復員輸送に従事。1950年朝鮮戦争勃発、日本政府の命令で参戦。朝鮮半島東西両海岸を米軍の作戦に従い仁川・元山などの上陸作戦、興南の脱出作戦などに参加。
1963年奄美大島で日本社会党支部結成、専従書記などを経て上京。労組書記、社会党中央本部書記を務める。1975年府中市議に当選。1992年辞職。都議選に立候補し次点落選。無所属で市議に復帰、計7期を務める。市議在職中、障がい者、在日外国人、中国帰国者などへの差別の解消に奔走、現在に至る。

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