連載(寄稿)(その82)
協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史〇55

協同組合運動とは何か アジア・オセアニアの協同組合運動の歴史 近畿生コン関連協同組合連合会専務理事 増田幸伸
連載第82回

滋賀ミキサー車パレード

ミキサー車デモで春闘を闘う(滋賀)

■産業政策闘争と協同組合(19)

 労組や関連協組の支援によって、2010年の大阪広域生コンクリート協同組合(広域協組)の生コン価格適正化は成功を見た。しかし、最終局面で、セメント独占による介入で潰えた。セメントメーカーは、139日間のストライキの成果を踏むにじり、反動攻勢を強めた。
 その結果、関西地区生コン支部(関生支部)に対し、宇部三菱セメントのグループ会社である関西宇部での労働争議に関連付けて、2011年5月、副委員長を筆頭に13名が逮捕される弾圧事件が起きた。また、広域協組の執行部が改造された。「座して死を待つのではなく、立って闘うしかない」とした方針は捨て去られ、旧来通りの競争政策に戻った。結果、11年・12年・13年・14年と大阪の生コン価格は下落し続けた。想定されていた通り、有力販売店の倒産・閉鎖が続き、連動して生コン工場が潰れていった。大阪地区には、広域協組以外に阪神地区生コン協同組合(阪神協)と大阪レディーミクストコンクリート協同組合(レディーミクスト協)と、協組に属さない員外工場が乱立し、安値競争に歯止めがかからない。

 事態が深刻化する中で、生コン経営者からも業界再建の声が大きくなってきた。同時に、直接的な労使関係のある経営者ばかりか労使関係のない経営者まで、業界再建に大きな求心力を示してきた労組への期待が日に日に強まった。
 そこで、関生支部は業界再建のための大同団結を進めるために、関連労組との間の共闘原則の確認作業に入った。過去の総括のないままに離合集散を繰り返すわけにはいかない。さらに、事業者団体には労使合意事項の協約化と誠実な履行を求めた。業界再建の成果の共有を図る段になると、事業者団体は合意事項を履行しないという過去の総括を踏まえてであった。

 2015年から具体的な大同団結の成果が目に見えてきた。業界健全化の牽引力であった生コン産業政策協議会の4労組(関西地区生コン支部・生コン産業労働組合・全港湾大阪支部・近圧労組)に2労組(建交労関西支部・UAゼンセン関西セメント関連労組)が合流し、15年5月に6労組共闘が成立した。労組の結集した力で、事業者の大同団結も進んだ。同7月に、広域協組に阪神協、レディーミクスト協及び員外工場が加入するという形で大同団結が進んだ。広域協組は、7月1日付で32社39工場の新規加入を認めた。広域協の組合員数は89社109工場となり、大阪地区での組織率は工場ベースで80%となった。また、値戻しの工程表を明らかにした。同10月1日出荷分から生コンの販売価格を12,800円/㎥(標準配合、18N-18㎝-20㎜)と打ち出した。今後4年をかけて販売価格を15,800円にするとの方針を明らかにした。

 さらに、労組の共闘関係は進み、同年12月に近畿生コン関連労働組合連合会を結成した。広域協組も、16年1月末現在で、105社125工場まで拡大した、大阪地区でのシェアも工場数で95%、出荷量で98%の市場占有率となった。日本最大の生コン協組の今後の運営と成果に、全国的な注目が集まっている。
 この組織拡大と値戻し・適正料金収受の成功は労働運動の成果であるといえるので、生コン労働者の雇用と賃金の改善に還元されねばならない。同時に、生コン工場に関連するバラセメント輸送運賃、生コン輸送運賃を適正化する環境整備のために、必要な生コン販売価格を打ち出していかなければならない。広域協組は、16年6月からの販売価格を13,800円/㎥(標準配合)にするとしているが、関係事業者の運賃の適正化など、価格設定や工程について検討を要する。まさに16春闘課題となる。

 大阪広域協組の再建は、兵庫県、奈良県、滋賀県、京都府へと波及するし、現に進行中である。また、関連する近畿バラセメント輸送協同組合、近畿生コン輸送協同組合の共同受注・適正運賃収受・現金決済の実現は、事業者の生き残りを果たすと共に、そこで働く労働者の賃金労働条件の向上にもつながる。
 今後、ゼネコンやセメントメーカーの巻き返しも含め予断を許さない情勢であるが、横断的な労働組合と事業協同組合の団結が大企業の産業支配を民主化する唯一の道である。
 敗戦直後の財閥の解体、経済の民主化という地点から、現時点での経済民主化の実態の歴史をたどった。茨の道であった。倦まず弛まず、繰り返しのように見える道を進んでいくしかない。おそらく、この延長上に日本が変わり、世界が変わる。

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