あまりの存在の軽さを見せつけたG7の結末/大野和興(ジャーナリスト)

コラム:あまりの存在の軽さを見せつけたG7の結末

大野和興(ジャーナリスト)

◆アベが演じた茶番劇
伊勢志摩サミット安倍

自らの政略をサミットに持ち込んだ安倍の茶番


 伊勢志摩で開催された主要先進国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)は一国の首脳の見当違いの茶番にかき回されるというさんさんたる結果に終わった。一国の首脳とはいうまでもなく日本国首相安倍晋三である。国際的にも周知の事実なので詳しく述べる必要はないだろう。ことの経過を簡単に整理しておく。

 5月26日に開幕した首脳会議冒頭で安倍首相は、1枚のペーパーを示しながら、いま世界経済はリーマンショック前夜に類似した危機的状況にある、と力説した。各国首脳はあっけにとられ、「危機とはいえない」という発言が飛び出した。IMFの世界経済見通しでも2017年に成長率がマイナスになるのはG7の中で日本だけで、あとは軒並み緩やかな成長の軌跡に入っているからだ(下図参照)。

 海外メディアがさっそく飛びついた。フランスのル・モンドは「安倍の無根拠なお騒がせ発言にG7が仰天」、英テレグラフ紙は「経済で失敗している安倍のお話を聞く必要はない」と手厳しかった。英経済紙フィナンシャル・タイムズ、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルはさらに一歩突っ込んで、消費税増税延期の口実づくりという内政上の政治策略だと断罪した。

世界経済見通し(2015成長率)◆グローバル資本主義への対応力喪失

 先進国首脳会議が議長国とはいえ一参加国の内政上の思惑に振り回されるといった事態が起こったことは、やはり注目に値する。なぜこんなことが起こったのか。現在の世界政治におけるG7の位置から考えてみたい。

 経済学者で社会運動家である小倉利丸(元富山大学教員)は「G8/G7サミットは明かにグローバル資本主義の調整メカニズムとしては機能不全に陥っている」と彼のブログ「no more captalism」で述べている(「G8/G7サミット批判:西欧近代の欺瞞の象徴として」。以下、引用は同論文から)。

 G8は「1975年にフランスのジスカール・デスタン大統領の提唱で始まったG8サミットは、グローバルな資本主義の危機(当時の文脈でいえば石油危機と通貨危機に伴う深刻な不況とベトナム戦争敗北に象徴される政治的危機)に対応するための先進国の利害調整の装置としての機能」を期待されて発足した。


 こうした生まれ性からG8のスタンスは常に以下のようなものであったと小倉は分析する。

 「G8/G7サミットは構成国の内政にはほとんど関心を寄せず、むしろ途上国をG8/G7サミットに象徴される既存のグローバル資本主義の枠組に組み込むために、先進国相互の摩擦や軋轢を調整する役割を果している」


 G8からロシアが外れてG7になった今も、この構造は変わらない。そこに日本の安倍は、ピント外れの論理を振りかざして、一国の内政上の政略をまるで土足で踏み込むように持ち込んだ。それは裏返せば、G8/G7がグローバル資本主義の危機への対応力も先進国相互間の摩擦調整能力も喪失してしまっていることを意味する。

◆幕引き役を演じたアベ

伊勢志摩サミット

もはやサミットは先進国の合意形成システムとして機能しない

 それは世界の構造変化に見合うことでもある。現在、世界の激動の震源地はかつての東南アジアや東アジア、ラテンアメリカから中東、アフリカ、東欧や中央アジアにシフトしている。いずれも米国が単独で圧倒的な強さを発揮できる地域ではない。東欧と中央アジアは中国とロシアを抜きには語れない。アフリカはかつての旧宗主国のヨーロッパと中国の利権争いの場になっている。さらに中東―アフリカ―南アジアは近代西欧の価値観に基づく支配システムが破たん、その矛盾は「テロリズム」として噴出している。

 さらに世界では、現在のグローバルな支配体制に対する様々な形での異議申し立てが既存のイデオロギーを超えて湧き出ている。米国のトランプ旋風もその一つだ。こうした世界でG8/G7サミットは合意形成システムとして実質的な意味をもたなくなった。安倍首相は、本人の意思にかかわりなく先進国サミットの幕引き役を演じてしまったとみることができる。

大野和興
1940年生まれ、ジャーナリスト(農業・食料問題)。現在、ジャーナリスト活動のかたわら、アジア農民交流センター・脱WTO/FTA草の根キャンペーン世話人、国際協力NGO・日本国際ボランティアセンター理事。日本とアジアの村歩きを通して、現場での農民との共同作業と発信をこころがけている。
大野和興さんの本(Amazon書店)

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10月
27
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
10月 27 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
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12月
3
19:00 元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
12月 3 @ 19:00 – 21:00
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」/神戸 @ 元町映画館 | 神戸市 | 兵庫県 | 日本
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会 「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」 ■ 日 時:2018年12月3日(月)19:00~21:00(開場18:30) ■ 会 場:元町映画館2Fイベントルーム  〒650-0022神戸市中央区元町通4丁目1-12  https://www.motoei.com/access.html ■ 講 師 井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員) ■ 参加費:1000円   ※お申込みなしでどなたでもご参加できますが人数把握のためご連絡くださればありがたいです。  メール:civilesocietyforum@gmail.com まで。 ■ 主 催:市民社会フォーラム  http://shiminshakai.net/post/4784 ■ ご案内  安倍首相は9月3日、防衛省の自衛隊高級幹部会同での訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法に自衛隊の存在を明記する改正に取り組む考えを改めて示しました。  10月から12月まで開会予定の通常国会でも、安倍首相は憲法改正の自民党案を提出し、早期の発議を目指す方針を明らかにしています。  はたして、自衛隊を憲法9条に明記すれば、日本の平和を保障することになるのか? 9条を現実に合わせて現状追認するだけのことなのでしょうか?  そして、有事があれば命がけで日本を守る自衛官たちも、憲法に自衛隊を明記することを望んでいるのでしょうか?  元自衛官の井筒高雄さんに、改憲発議がされようとする今、自衛隊を憲法に明記することの問題点についてお話しいただきます。 井筒高雄(いづつたかお)さん 1969年、東京都生まれ。 88年、陸上自衛隊第31普通科連隊に入隊。91年にレンジャー隊員に。 92年にPKO協力法が成立すると、武器を持っての海外派遣は容認できないとして翌93年に依願退職。 大阪経済法科大学卒業後、2002年から兵庫県加古川市議を2期務める。 元自衛官の立場から戦争のリアル、コスト、PTSD などリスクを 伝える講演活動を行う。 現在、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFP) 共同代表。 共著に『安保法制の落とし穴』(ビジネス社)、単著に『自衛隊はみんなを愛している』(青志社)など

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