賀川豊彦「道徳的経済学」関生コン経営者で再評価の機運

関西生コン経営者で 賀川豊彦、再評価の気運

協同組合精神が日本を救う/社会連帯で経済再生を目指す

賀川豊彦 関西を発祥の地とする、生協運動や大正期の大阪労働学校設立などで著名の賀川豊彦の偉大な足跡を再発見し、これを経営の指針に取り入れようとする気運が労働側は勿論、経営者の中でも高まりを見せている。
 去る5月20日に関西の経営者・労働者多数が労使の垣根を越えて協働会館アソシエに集結。関西外国語大学英語キャリア学部教授(神戸大学・名誉教授)、ラジオ解説者でも活躍中の滝川好夫氏による経営学講演「賀川豊彦に学ぶ、道徳的経済論のすすめ」を聴講した。

■滝川講師の講演概要

 日本の協同組合の父とされる賀川豊彦は、協同組合を「自立のための仕組み」と言う。協同互助といえば「万人が一人のために」が知られるが、それは“ただ乗り”で、「一人が万人のために」こそ、道徳自立と言えると賀川は説く。

 だが明治以来の政府権力は、本来私有物ではない環境~自然さえを財として取り込み市場化し、「無限の欲望を満たす」ことを依然として至上命題とし、多くの大衆に競争を強いてきた。だが、今こそ「物質は人間を害するものでは無い。人間を害するものは人間」との考えで欲望の整理を行い、日本経済は遺徳(社会連帯意識)を取り入れた運営を行うべきだ。

人格社会主義の労働観

 日本の経済社会にとり、喫緊の課題は、経済社会の目的を人間性の回復に求める事だ。
 賀川の『主観経済の原理』では、「それは、『どれだけ儲けると善いか』と云ふ経済学や『どんなに儲けるか?』と云ふ経済学より『どんなにして生きるか?』『どうすれば面白く労働が出来得るか』と云ふ経済学に移らねばならぬ」と喝破し、鋭く現代の状況を見抜いている。

賀川豊彦を知っていますか(教文館) 「働く」が尊重されるには、労働が真、善、美の道徳的境界線を逸脱しないようにしなければならないが、結局労働問題は、結局の処<いやいや働くか、面白く働くかの問題>に帰着する。これら賀川の「工場労働は面白なくて、運動場の遊戯の面白いのは何故か」「モノ(お金)の尺度だけで評価して、故郷などを破壊してはいけない」とする思想は、今こそ再評価されねばならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
賀川豊彦(1888年-1960年)の共生思想
 神戸生まれ。大正・昭和期を代表するキリスト教的社会運動家。戦前日本の労働運動、無産者運動、農民運動、生活協同組合運動で最重要の人物の一人。日本農民組合創設者。「イエス団」創始者。戦後は日本社会党の結党に参加。5度にわたりノーベル賞候補(文学賞2回、平和賞3回)となるなど、キリスト教の博愛精神を実践した「貧民街の聖者」として日本以上に世界的な評価や知名度が高く、その思想はEC(欧州共同体)の共同体理念にも生きている。
賀川豊彦の書籍を見る(Amazon書店)

「コモンズ」96号の目次にもどる

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. 労働学校・アソシエ 特別シンポジウムの様子

    2017-10-17

    労働学校アソシエ8・26特別シンポ詳報

季刊「変革のアソシエ」No.29

最近の記事

  1. ブランコ・ミラノビッチ
    前号(こちら)からのつづき 4、帝国主義の世界支配からのパワー・シフト [caption id=…
  2. 木畑壽信さんを偲ぶ会 献杯の様子
     7月1日に急逝した木畑壽信さん(享年66歳)を偲ぶ会が、9月8日、東京中野の中野産業振興センター1…
  3. 尾形憲さん
     さわやかな秋風が吹く今日この頃、皆様方には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。  「元法政大学…
  4. カタルーニャ独立闘争
    10月1日に実施されたスペイン東部カタルーニャ州の独立をめざす住民投票をめぐってカタルーニャ州と…
  5. 雨傘革命 香港
     香港で民主化を求めて若者たちが立ち上がった「雨傘運動」から3年がたった。香港の中心街を占領した若者…

特集(新着順)

  1. 開城(ケソン)工業団地・韓国の工場で働く朝鮮の労働者

    2017-10-20

    アジアの現実から朝鮮問題をとらえ直す-一体化するアジア経済/大野和興

  2. 労働学校・アソシエ 特別シンポジウムの様子

    2017-10-17

    労働学校アソシエ8・26特別シンポ詳報

  3. 借金なし大豆

    2017-9-20

    種は誰のものか「種と百姓の物語」種子法廃止に思う(下)

  4. 社会的連帯経済の実践に学ぶ-6.30シンポジウム

    2017-9-18

    社会的連帯経済の実践に学ぶ 山形県置賜地域から菅野芳秀さんを招いて

  5. 文在寅(ムン・ジェイン)

    2017-9-15

    講演】東アジアの平和を!韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生を受けて/李泳采(イ・ヨンチェ)(恵泉女子学院大学教授)

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る