安次富浩さん 沖縄からの報告 ‐ 6・12集会より(1)

1.安次冨浩さん 沖縄からの現地報告
沖縄・ヘリ基地建設反対協議会共同代表

■沖縄県民をだまし続けた日米両政府

安次富浩さん 第7期沖縄意見広告・東京集会 モンデール米駐日大使と当時の橋本龍太郎首相との会談で普天間基地返還が合意されてから今年の4月12日で20年になります。その時の約束では「(普天間は)5年から7年以内に返還する、その代わりに既存の基地のそばにヘリパッドをつくる」というものだった。それが日米の会議を重ねていくうちに「普天間基地の代替え施設」に変わってしまいました。つまり沖縄県民を騙したのです。この20年間は沖縄県民をだまし続けてきた日米両政府とのたたかいでした。それによって「沖縄はそこに住む私たちが創ってゆく。よけいな口だしをするな」という自己決定権をめざすオール沖縄のたたかいがつくりあげられてきました。

 2004年、小泉首相の時の1年半のたたかいの時には周辺の漁師たちは私たちのたたかいを支援し、漁船をチャーターしてくれた。この時の海上のたたかいは勝利しました。しかし当時の稲嶺沖縄県知事は日米両政府の圧力に負けて海上基地建設を受け容れたが「米軍と民間の共用空港で15年後に返還してもらう」という条件を付けた。
 小泉首相はそれを了解したはずでした。しかしそれは全く米政府に伝えられず、交渉さえしていない事が後に判明しました。こういう風に沖縄をだまし続けるというのが日本政府のやり方だった。やはり日本にとって沖縄は「本来の国土」とは思われていない。

■「日本」としてあつかわれない沖縄

沖縄戦(1945年)

沖縄戦(1945年)

 戦争末期、近衛首相がソヴィエトに米軍との停戦の仲介を頼んだ時にも、沖縄は国土には入っていなかった。近衛の交渉は失敗したが、昭和天皇も米軍との交渉にあたって、戦争犯罪者である自分の責任から逃れるために沖縄を差し出し、半永久的な軍事占領を認めました。日本の官僚のみなさんには沖縄について「国土」という認識はないのでしょう。日本政府は「外交・防衛は国の専管事項だ。国策だ」と言う。

 しかし2000年に法律が改正され、国と地方自治体とは対等な協力関係に発展しています。だから沖縄の民意を国は尊重しなければならない。それをだまし続け、様々な「振興策」というアメで沖縄内部を分断するのが政府です。最近でも名護市キャンプシュワブ付近の豊原・辺野古・久志の3行政地区に対して政府が直接「特別交付金」をばらまいた。名護市の頭越しに行うのは許されない事です。こういうやり方は米軍統治時代、復帰運動を潰すためにばらまかれた「高等弁務官資金」による懐柔策と同じだ。地方自治を潰そうとするものだ。

安次富浩さん 第7期沖縄意見広告・東京集会 民主党政府の時の森本敏防衛大臣は「九州方面に普天間基地を持って行ったほうがいいが、九州では反対運動が起きる。だから政治的には沖縄の方がいい」という事を平然と言った。非常に腹が立ちます。森本だけじゃなく、それを言いだしたのは梶山静六でした。島田晴雄慶大教授を座長とする「島田懇談会」を開き「北部振興策」として北部の自治体に資金をつぎ込んで地元を分断させました。そのようにアメとムチを駆使して私たちの闘いを潰そうとしてきました。

■沖縄の運動はイデオロギーではなくアイデンティティだ

 私たちの翁長雄志県知事は20年前には自民党県会議員で、自民党県連幹事長であり、辺野古推進のメンバーでした。しかし20年後の今、誰が想像しただろうか。知事として日本政府とも、アメリカ政府とも真っ向から対決できる、47都道府県知事の中でも最高の知事です。基地問題を沖縄の力で解決すれば、次期首相候補は彼だと思います。

翁長雄志氏 この20年間、苦しい闘いを続けてきましたが、それがオール沖縄のたたかいにつながっていったのは、今の沖縄の若手の経済界が「基地こそ沖縄経済発展の阻害物だ」と言い切っているからです。おそらく日本企業の誰もこんなことは言えない。いかに沖縄の企業が地元と密着した経済活動をしているかを証明しています。

 翁長さんは県知事選挙の時に「イデオロギー対決はやめましょう」と言いました。沖縄の未来は私たちの手でつくっていく。子や孫に私たちが手本となって、普天間基地を返還させるためにたたかった事をみせよう。沖縄はもっともっと発展する。これが私たちのアイデンティティーだ、と翁長さんは言ったわけです。

 翁長さんは那覇市長時代、基地返還跡地の利用計画で非常に苦労されました。米軍住宅地を商業地域にし、那覇市のベッドタウンを建設した。跡地利用計画をしっかりしておけば、基地に頼らないでも経済発展できる。復帰直後には基地経済は沖縄経済の20~30%くらいでしたが、いまは5%です。観光収入は15%です。これはあの裏切った仲井真前知事も認めている。だからこそ、私たちの未来は基地に依存せずに自らつくりあげていくんだという自己決定権意識が沖縄に拡がってきているんです。

■日米地位協定=米軍の治外法権から国民主権を取り戻そう

0316kougi 翁長・米軍司令官・謝罪会談 もうひとつ、腹立たしいのは、事件・事故が起こるたびに日本政府は「遺憾の意」ばかり言う。もう聞き飽きています。何の実効性も無いし改善もされない。米軍は事件の起こるたびに「綱紀粛正」と言い、夜間外出禁止をします。だけどまったく意味はない。

 今回も悲しい事件が発生しました。棍棒を持って女性を物色し、殺して捨てるという。これについて米軍は「米軍が直接雇用している軍属じゃないから良かった」という。しかし犯人は元海兵隊兵士であり、人殺しの訓練を受けてきた人です。私たちは基地と隣り合わせの生活を余儀なくされているのですからこういう事件が起こる。

 だから地位協定を変えて、裁判権を日本に渡すのは当然です。これは独立国家の基本的主権です。日米地位協定はそれを放棄している。治外法権です。これを許している国のありかたではどうしようもない。これは変えなきゃいけない。いかに「良き隣人」と言ったって、人殺しの兵士が良き隣人になれるわけがない。基地の外にいる軍人は全部基地内に戻せ。それが日本政府の仕事じゃないですか。

 しかし日本政府は地位協定をいっさい触ろうとしない。この従属性を見抜かないといけません。米軍基地は沖縄に集中してますけど、佐世保にも、岩国にも、三沢にも、東京にもある。事件や事故は沖縄だけじゃありません。しかし政府はそれを変えようとしない。このあり方に対して国民主権を要求するたたかいをしていきましょう。

■問題の唯一の解決策は基地をアメリカに持って帰ること

沖縄県議選の獲得議席

東京新聞(6・6夕)

 先日沖縄で行われた県議選では前回の過半数ギリギリから3議席増やして27議席とし、オール沖縄の勝利を勝ち取りました。たたかわないとだめです。高江でも米軍車両をストップさせるたたかいが起こっています。嘉手納でも普天間でもやっています。

 代執行裁判で安倍政府は、裁判に勝つために成田三里塚で土地を取り上げる強制代執行の判決を下した裁判長を呼び寄せました。そのための人事異動をしたのです。だからわれわれは厳しい裁判を覚悟しました。ところが裁判長はこのままでは国が負けると国に言いました。それで安倍政権はジレンマに陥ってやりたくもない和解に応じています。

 この問題の唯一の解決策は基地をアメリカに持って帰ることです。
伊勢志摩サミット安倍

サミットで世界の笑いものとなった安倍

 今度の参議院選では1人区は野党統一候補にして欲しいとわれわれは訴えました。野党統一は実現しました。沖縄のたたかいが日本に大きな変化をもたらしている。一緒に参議院選挙に勝利しましょう。

 安倍は伊勢・志摩サミットで「リーマンショックが再来する」と言いだして他の首脳に笑われている有り様です。そういう理由をつけて消費税10%への引き上げ時期を引き延ばそうとしているわけです。そうせざるを得ないほどにアベノミクス経済政策は失敗している。また原発などなくても電力は充分に足りているのに、原発を再稼働し、アジアに危険な原発を売ろうとしている。この政権を潰しましょう。これは私たち主権者の闘いにかかっています。しっかり闘い抜きましょう。

 たたかいは途中です。でも海でも陸でも現場で闘います。そして翁長知事や稲嶺市長を支えていきます。私たちは小泉首相に勝った。だから今度も負けるはずはない。これからも闘います。安倍政権を潰すまで闘い抜きましょう。

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