主張】参院選結果と第三次安倍政権との闘い-改憲阻止とともにアメリカ隷従構造からの脱却を

「3分の2」後の戦後国家を巡る政治攻防

改憲阻止とともにアメリカ隷従構造からの脱却を

急ごう!貧困と格差と闘う労働運動再生へ、
「関生型」労働運動の1万人の闘争力・財力を持った運動と組織建設を!


選挙翌日から安倍政権が強権発動! 沖縄・高江ヘリパッド工事強行、機動隊500人 監視テント守れ!全国から支援を集中しよう!

選挙翌日から安倍政権が強権発動!沖縄・高江ヘリパッド工事強行、機動隊500人の暴力から監視テント守れ!全国から支援を集中しよう!(写真:琉球新報13日

71年目の敗戦の歴史的節目に
 今年の敗戦記念日には特別の意味がある。1945年8月15日、昭和天皇がポツダム宣言受諾を宣す 「玉音放送」を行い、8月30日に連合国総司令官マッカサーが厚木に降り立ち、9月2日に日本が東京湾上の米戦艦ミズーリ号で連合国への「無条件降伏文書」に調印し、ここに第2次世界大戦における 「大日本帝国」 の「大東亜共栄圏」をめざす侵略戦争は終結した。その後、天皇制維持のために沖縄・奄美諸島を米国に売り渡した日本は米軍の単独占領下に置かれた。

 1947年5月には戦争放棄をうたった9条 「平和憲法」 が施行され、敗戦直後からの戦後革命の攻防・敗北過程を経て、1951年9月、日本はサンフランシスコ講和条約 (52年発効)に調印し独立を果した。しかしこの独立は占領軍である米軍がそのまま駐留し、超法規的にふるまうことを許す日米安保条約とセットであった。それは、敗戦で解体された日本の独占資本が本格的に復活し、その対米隷従の戦後政治支配体制が形成されていく政治的節目となった。この敗戦以降の数年間に、戦後日本の「この国のかたち」 の基本的性格は形成され、よって平和憲法と日米安保の原理的矛盾をめぐる問題が、陰に陽に戦後の大衆運動の基調に位置してきたのである。

 敗戦から71年。今、沖縄地上戦での夥しい犠牲者、広島・長崎の原爆や大空襲などの犠牲者とともに軍民300万以上の死者、アジアで2000万以上の尊い命を奪った侵略戦争への反省からもたらされた憲法9条の下での戦後の 「平和国家」への歩みは、安倍政権の 「アメリカとともに世界で戦争できる国家」 への野望のために 「安保法制」 が施行され、今夏の参院選挙の結果によって戦後の平和憲法体制を破壊する「改憲」が具体的な政治日程に上る段階に至り、戦後かってない重大な事態に直面しようとしている。

参議院選の結果
 選挙の結果は、マスメデイアも加担した安倍の争点隠しが功を奏し、自民・公明・おおさか維新・日本のこころの「改憲勢力」が衆参両院で改憲発議に必要な3分の2議席を確保することとなった。他方、野党(民進,共産、社民、生活)と市民連合は、全国32の1人区で戦後初めて政策協定をもって統一候補を立てて闘ったが、11の選挙区での勝利にとどまり、総体として「改憲3分の2」を阻止することはできなかった。
 わたしたちはどう闘うか。「3分の2」後の政治攻防への展望・課題を考える上で、特に重視すべきことは、次の点である。

1、沖縄、被災地・東北などで勝利した教訓に学ぶ
安倍強権政治への怒りと大衆闘争の力こそ勝利の原動力

鹿児島県知事選は「反原発」三反園氏勝利。川内原発の「一時停止」要請

鹿児島県知事選は「反原発」三反園氏勝利。
川内原発の「一時停止」要請

 第1は、11選挙区の中でも特筆すべき沖縄、被災地・東北などの勝利に学び、教訓とすることである。

 県民の大多数が反対する辺野古新基地問題が争点となった沖縄選挙区での伊波洋一氏の10万票の大差で現職閣僚を打ち破っての圧勝、いまなお原発震災に苦しむ福島選挙区で現職閣僚を打ち破った勝利、そして東北6県のうち青森、岩手、宮城など5県で野党・市民統一候補が勝利した。さらに同日行われた全国で唯一稼働している川内原発を抱える鹿児島県知事選で「脱原発」を掲げた三反園候補が勝利した。

 つまり、ここに示されていることは、安倍政権による米軍基地・原発・TPP推進政策などによって犠牲を強制されてきた地域で、これに真正面から対峙し不屈に闘う現実の大衆運動があり、その運動が「オール沖縄モデル」「山形方式」などのように無党派層・保守層の支持を得る大きな共同を実現した選挙区では、自公勢力を打ち破ることができたといういわば「勝利の方程式」ともいうべき教訓である。

 これは、東京都知事選挙の野党市民統一候補・鳥越氏の健闘にもかかわらず、チャンスを逃し大敗した敗因の総括にも通じる。つまり都知事選は、候補者選定や政策の具体化過程などが民進党など政党本位になされた問題や、同時にもっと根底にある問題―民進党の最大支持基盤である連合が化学総連の離脱や金属労協離反などで崩壊し始めており機能しなかった問題、新自由主義・アベノミクスの結果でもある貧困や格差、雇用や社会福祉に腰を据えて取り組み、その運動に原発・憲法・安保法制などを結びつけなければ勝てないという非正規・貧困と闘う労働運動再生の課題などを浮かび上がらせた。

 こうした問題は、代議制民主主義の腐敗に対して、意見の違いを前提に排除し合うのでなく一致点を見つけ、大衆運動基盤に議会内野党を押し上げ共闘を実現し、立憲主義の下に主権者たる民衆が自ら決定し自治する新しい民主主義への挑戦の始まりとしてつかんだ手がかりを、今後の反転攻勢に活かしていくための要諦ではないだろうか。

2、「3分の2」後の戦後国家を巡る政治攻防の課題
アメリカ隷従構造からの脱却―日米安保破棄が不可避

普天間基地のオスプレイ

普天間基地に飛来したオスプレイ

 第2は、「3分の2」後の安倍政権との憲法と沖縄・米軍基地問題に具体化された戦後国家をめぐる政治攻防の新しい局面とそこで重要な問題は、何かということである。

 参院選の結果、戦後史上はじめて衆参両院で改憲勢力が3分の2を超えることになり、憲法95条の規定に従い国会発議をする条件が整った。これは、戦後の護憲か改憲かを巡る攻防の枠を超えた新しい局面へと憲法をめぐる政治攻防の局面が転換したことを意味する。同時に自民党は選挙後に無所属1名を加えて、参院で単独過半数を27年ぶりに確保し、長期政権の基盤を強化した。今後の安倍政権の一層の強権的独裁的暴走に備え、「緊急事態法」、「国民投票」に対抗する闘いと構想が必要である。

 同時に重要なことは、参院選後の政治攻防において、もう一つの新しい局面が沖縄から闘い取られていることである。
 冒頭に述べたように、戦後の日本国家の特質は平和憲法の上に超法規的に覆いかぶさる日米安保条約との抱き合わせの関係にあり、戦後日本の「この国のかたち」と対米隷従の政治・社会のあり方を決めてきた。この対米隷従構造は、沖縄の切り捨てと米軍支配、復帰後の現在に続く沖縄へ米軍基地の犠牲を強制する「構造的差別」に支えられている。

 こうした認識に立てば、沖縄選挙区で伊波洋一議員が圧勝し、衆参全ての選挙区で自民党議員ゼロとなり、県知事選から続く辺野古新基地反対の各種選挙による「民意の集大成」(翁長知事)となったこと。そして元米海兵隊の女性殺人事件糾弾の県民大会で「米海兵隊撤退」「日米地位協定抜本見直し」を日米両政府に迫ったオール沖縄の闘いの新しい局面のもつ意義と意味もはっきりする。
 つまり安倍改憲とは真逆に、「この国のかたち」を巡る政治攻防において、参院選後の沖縄は米軍基地の犠牲を強いる日本のアメリカ隷従構造の真っ芯に突き刺さって、沖縄への「構造的差別」の根にある日米安保体制を撃つ闘いの局面への転換を意味している。それはそれで、本土の民衆に「この国のあり方」、この国の民主主義や自治のあり方を問うものである。

 よって、戦争か平和か―「3分の2」後の戦後国家を巡る憲法と米軍基地問題に具体化された政治攻防の新しい局面は、改憲阻止とともにアメリカ隷従構造からの脱却―日米安保破棄を不可避の課題として競り上げている。「平和国家」に超法規的かぶさる日米安保の壁をどう打ち破るか。沖縄とともに「勝利の方程式」を教訓とし、地域の生産・生活の現場からの圧倒的な大衆運動の戦略を構想し闘う時である。

3、第3次安倍改憲政権の沖縄の高江・辺野古新基地強行と闘い、
労働運動の再生をめざし「関生型」労働運動の
1万人の闘争力・財力・センターを持った運動と組織建設を急ごう!

関生労組パレード 第3は、第3次安倍政権との当面の焦眉の闘い、「3分の2」後の情勢を主体的に切り開く鍵は何かという問題である。

 安倍政権は、参院選の翌日に沖縄・高江を急襲し、全国から500人の機動隊を動員して米軍ヘリパッド工事建設を強行し、同時に翁長県知事の「埋立て承認」取り消しを違法として国が再提訴し、さらに近く3月以降「和解」条項によって停止してきた辺野古新基地工事の再開を企んでいる。
 今、高江の闘いの現場でなされている民主主義も法も人権も無きが如き暴力むき出しの暴挙は、沖縄の圧倒的民意に対する政権の焦りと恐怖に駆られた「緊急事態法の先取り」である。ここに、発足したばかりの第3次安倍政権の極右・反動的性格が一層極まった形で表れている。

 第3次安倍政権の狙いは、その閣僚人事・自民党人事の布陣から見て、衆参「3分の2」議席を保持し、安倍総裁任期を延長して長期(安定)政権を確保し、任期中に明文改憲実施にあることが透けて見える。重視すべきは、アベノミクス破綻を取り繕う28兆円の財政施策、TPPの批准などとともに、政権の目玉として「働き方改革」を第1の課題として、挙げたことにある。
残業代がセロに! 安倍首相は改造内閣の「最大のチャレンジ」は、「働き方改革」とのべ、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現を挙げ、「非正規」という言葉をこの国から一掃すると広言した。これは、連合崩壊の始まりなどを見据えて、いま政府が国会に提出している「残業代ゼロ」法案に典型を見るように、何の障害もなく長時間労働、低賃金、不安定雇用を拡大し、大企業・財界に都合のいい働き方を推進する新しい攻撃である。

 安倍政権が参院選直後に沖縄の高江を急襲し、政策の目玉に「働き方」改革を持ってきたのは、政権と資本のがわの11選挙区での敗北の総括であり、貧困と格差にあえぐ民衆の怒りと闘いの今後の発展への危機感、恐怖の表れで、次の衆院選、「国民投票」などの局面への布石とみなければならない。
 こうした意味において、情勢を切り開き反転攻勢に転じる要は、沖縄の闘いの発展とともに、貧困と格差に苦しむ非正規労働者の組織化を軸に、労働運動の再生をめざす闘いにある。

 今、近畿地方において、連帯ユニオン・関生支部を軸に着々と組織されている「1万人の闘争力・財力・センター持った運動と組織」建設を急ぎ、これをばねに、貧困と格差と闘う「業種別職種別ユニオン」を構想し、全国的に労働運動再生への大きな流れをつくり出す事である。(詳細次号)
 沖縄の高江・辺野古工事強行を阻止し、貧困と格差と闘う労働運動再生に全力を挙げよう!
(編集局I)

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