「アラブの春」から6年 中東の今を見る/佐藤隆

2010年「アラブの春」から6年 中東の今をみる
佐藤隆/愛知連帯ユニオン

■膨大な民衆の犠牲を生みだす帝国主義の「対テロ戦争」

テロリストたちが米兵の相手だ、と聞かされていました。しかし、実際のテロリストは自分たちであって この占領自体がテロそのものだ、と悟りました(イラク戦に参加した米軍兵士の証言)

テロリストたちが米兵の相手だ、と聞かされていました
しかし、実際のテロリストは自分たちであってこの占領
自体がテロそのものだ、と悟りました(イラク戦に参加
した米軍兵士の証言)出典 tabilabo.s3.amazonaws.com

 アメリカ帝国主義と有志連合、及びロシア帝国主義による「対テロ戦争」は、中東の民衆に膨大な犠牲を日々生みだして強行されている。まったくもって許せない!(→参考情報)

 日本の安保関連法は憲法を踏みにじってアメリカの軍事政策に協力していくものだが、それは東アジアにおける対中国封じ込めとともに、中東地域における「対テロ戦争」によって構成されている。
 「対テロ戦争」の非人道性はアメリカの戦争政策とそれに追随する日本の安保政策の不正義を端的に示すものである。

■アメリカ帝国主義支配政策の破綻がもたらす今の中東紛争

中東MAP_アラブの春その後 中東を自らと自らの同盟国の力で単一的に支配することができなくなったアメリカは、中東の地域権力を個別に支援し、対立させ、分断して支配するという政策を現在は取っている。
 それが、サウジアラビアなどスンニ派の勢力とイランの影響を受けたシーア派に連なる勢力の対立を泥沼化させ、この地域を際限のない紛争の地域としてしまっている。
 紛争の根源はアメリカなど欧米帝国主義にあるといえる。欧米帝国主義が、「テロとのたたかい」などといって自らを正当化することほど恥知らずなことはない。
 アメリカは「人権外交」などと称しながら、一方では「絶対君主制・政教一致」のサウジアラビアを支援し、他方ではイラクのマリキ政権を支援しているのである。
 「テロ」を作り出した根源は地域の対立を煽ってきたアメリカの支配にあるのだ。

■地域権力の対立各宗派~民族の相克

トルコ政府の対ISIL融和政策とISILによるクルド人へのテロに抗議するデモ隊を拘束するトルコ警察(2015.7)

トルコ政府の対ISIL融和政策とISILによるクルド人へのテロに抗議するデモ隊を拘束するトルコ機動隊(2015.7)

 現在の中東では、サウジアラビアなど湾岸諸国及びトルコが支援するスンニ派勢力と、イラン政府―イラク・マリキ政権(イスラム法治国家連合)-シリア・アサド政権(アラウィ派)-イエメンのフーシ派―レバノンのヒズボラ等のシーア派系勢力の対立が激化している。
 アメリカは1979年イラン革命以後、サウジなど湾岸諸国とエジプトを枢軸に中東の支配を実現していたが、2003年イラク・フセイン政権を崩壊させて以降、イラクに親米政権を築けず、自らが「テロ支援国家」に指定するイランとの繋がりの深いシーア派のジャファリーやマリキなどと同盟関係を築くという矛盾した政策をとることとなっている。
 他方、同じスンニ派でも、トルコ政府はクルド人を弾圧する国内の政治体制から、シリアやイラクのクルド人勢力とは対立を深めている。

■ISIL=「イスラム国」ダーイシュ台頭の背景

イラク軍に殺害されたISILとされる死体(2016.7)

イラク軍に殺害されたISILとされる死体(2016.7

 イラク・マリキ政権のスンニ派住民弾圧が、スンニ派住民と旧フセイン政権の幹部、イラクアルカイダ機構を結びつけ、「イスラム国」を誕生させたという。
 「イスラム国」とアメリカ帝国主義は現在、激しく対立しているが、アメリカがイラク戦争を遂行し、その後のイラクをマリキ政権に任せたことが「イスラム国」を誕生させたといえる。
 イギリスより広大な地域を支配する「イスラム国」について、「反帝国主義的だ」という評価がある一方、アメリカがイラク戦争当時からイラクの3分割支配(北―クルド、中―スンニ、南―シーア)という絵を描いていたこと、2014年6月に「イスラム国」がイラク第2の都市モスールを難なく制圧したことをもって「イスラム国」建設はアメリカ謀略だとする評価もある。
 共に極端な見解で正しくないであろう。アメリカは地域権力を相互に支援して対立を煽り、分断支配を狙いながら、コントロールを失って地域の紛争を拡大していると見るべきと思う。

■「アラブの春」とは何だったのか

「アラブの春」の発端となったチェニジア「ジャスミン革命」(2010)

「アラブの春」の発端となった
チェニジア「ジャスミン革命」(2010)

 2010年12月17日、チュニジア中部シディ・ブジドで、失業中だった26歳の男性モハメド・ブアジジが警察に抗議するために焼身自殺を図った。そこから民主化闘争が一気に拡大、チュニジアでベン・アリ政権、エジプトでムバラク政権を相次いで打倒し、アラブ社会全域に広がった。それはアラブ民衆の積年の怒りの発出として、アラブに新しい世界を築くための偉大な一歩であった。しかし、この「アラブの春」は、リビア内戦、シリア内戦となって現在の混沌へと至っている。
 2011年リビア内戦でNATO軍がカダフィ政権打倒のために空爆で介入した事実などから、「アラブの春」自体を「帝国主義の謀略」だとする評価もある。しかし、真っ先に打倒されたベン・アリ政権やムバラク政権が親米政権としてアメリカの中東支配の支柱だったことを考えると、これも極端な評価に思われる。

シリア内戦で米無人攻撃機の90%、ロシア空爆機の98%が誤爆。ほとんどが民間人だった。写真はロシアに空爆された地域

ロシアに空爆された建物の写真(2015.7)
シリア内戦で米無人攻撃機の90%、ロシア空爆機の
98%が誤爆。ほとんどが民間人や民間施設だった。

 シリア内戦では、アメリカは、アサド政権への空爆をひかえ、反政府派の国民戦線や自由シリア軍への対空砲火の提供を拒否するなど、反政府闘争の支援に抑制的な態度で臨んでいる。他方、アサド政権を支持するロシアは反政府派地域への空爆を強行している。アメリカのシリア政策の基本は、リビア等の無政府状態の出現の教訓から、「バシャール・アサドなき現体制の保持」であると見受けられる。その点では、アサド政権を支持するロシアの政策とバシャール・アサドの退陣を求めるアメリカの政策は似通っているともいえる。

 偉大な「アラブの春」から6年、現在の中東は苦難の時を迎えている。平和とすべての民衆の生存権が保障されることが未来ある社会を築いていく礎だ。資本主義自身はフランス革命から続く100年の内乱を経て歴史に誕生してきた。「資本主義に代るもうひとつの世界」は、現在の苦難を越えてその姿を現すに違いない。

■ヨーロッパにおける「テロ」を越えて

フランス労働法改悪反対デモ

警察の「対テロ厳戒」を突破して決起した、
フランス労働法改悪阻止50万人デモの参加者

 中東・アラブ地域の紛争の拡大と連動して、2015年1月7日、フランス・パリにおける「シャルリー・エブド」事件、2015年11月13日、パリ市街と郊外のサッカー競技場とコンサート会場における銃撃・爆弾事件、2016年3月22日、ベルギーのブリュッセル空港及びマールベーク駅における連続爆破事件などが起きている。
 他方、このような事件をも契機に、ヨーロッパでは移民排斥を訴える極右の排外主義暴力が多発している。ヨーロッパにおけるイスラム系移民の問題は、失業や貧困など、アメリカにおけるアフリカ系住民(黒人)の問題に似ている。
 資本主義を変革する左翼運動が、移民の権益闘争と固く連帯していけるかどうかが、「テロ」を乗り越えいく試金石だと思う。

(「コモンズ」98号の目次にもどる)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. またも国策弾圧!8・28 武建一委員長逮捕

    2018-9-21

    またも国策弾圧!8・28 武建一委員長逮捕に連帯労組らが抗議声明

季刊「変革のアソシエ」No.33

最近の記事

  1. 11月紅葉のイラスト
    超えてきた徴用工の幾山河 国会がネゴトばかりをくりかえし 政治家を問えば民度もまた問われ…
  2. 大阪広域協に大阪府警の家宅捜索の手
     9月5日、連帯労組と近隣の各協同組合に様々な妨害行為を繰り返す元凶、大阪広域生コンクリート協同…
  3. 第54回関生支部定期大会
    大津警察留置所よりの武委員長の定期大会への挨拶 (要旨) 弾圧は不当労働行為であり 独占禁止…
  4. 第54回関生支部定期大会 武洋一書記長
    大弾圧に揺らぐことない不動の確信、11月反転攻勢へ決意打ち固める  10月14日、第54回関生支部…
  5. コモンズ最新号目次
    ※次号発売日までに、順次Web上でも公開していきます。お急ぎの方は書店売り・郵送・定期購読を是非…

職場・労働相談はこちら(外部リンク)


連帯労組の闘い ↑ 映画「フツーの仕事がしたい」より 労働相談は連帯ユニオン

行動予定

11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
18
10:00 港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内
港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内
11月 18 @ 10:00 – 15:30
港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 日 時:2018年11月18日(日)10:00~ ■ 会 場:田中機械 構内(地図)  JR環状線「弁天町駅」南口下車 徒歩10分  〒552-0011 大阪市港区南市岡3丁目6−26 ■ 主催:全国金属機械労働組合港合同     港合同もちつき実行委員会  連絡:TEL06-6583-4858 ■ 共催:NPOみなと
10:00 第12回「国際有機農業映画祭」/市... @ 法政大学市ヶ谷キャンパス
第12回「国際有機農業映画祭」/市... @ 法政大学市ヶ谷キャンパス
11月 18 @ 10:00 – 19:45
第12回「国際有機農業映画祭」/市ヶ谷 @ 法政大学市ヶ谷キャンパス | 千代田区 | 東京都 | 日本
第12回「国際有機農業映画祭」~世の中、えらいことになるでえ ■ 2018年11月18日(日) 10:00~19:45(開場 9:30) ■ 会場:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート棟 G201教室  〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1  http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html ■ チケット:  一般 前売り¥2,000/当日¥2,500  25歳以下 前売¥500/当日¥1,000  中学生以 下無料 *25歳以下、中学生は当日身分証を提示 ■ 上映スケジュール:  10:00 海―消えたプラスチックの謎  11:15 狂った蜂2 〔本邦初上映〕  13:40 3分ビデオ(15分)  14:00 たねと私の旅 〔本邦初上映〕  15:50 シンポジウム これからを話そう  17:05 トマト帝国  〔本邦初上映〕  18:35 大平農園401年目の四季  19:45閉会 ■ 公式:http://www.yuki-eiga.com/ *上記の映画祭ウェブサイトから作品の詳細・予告をご覧いただけます。 ■ 主催:国際有機農業映画祭  法政大学大学院グローバルサステナビリティ研究所 ■ 協力:NPO法人アジア太平洋資料センター  NPO法人日本有機農業研究会  NPO法人 日本消費者連盟 ■ 協賛:アジア農民交流センター  たねと食とひと@フォーラム  (株)EMジャパン  特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター https://youtu.be/yXKTG3WDMUo
13:30 アイヌ民族連帯!大阪交流集会 ア... @ PLP会館
アイヌ民族連帯!大阪交流集会 ア... @ PLP会館
11月 18 @ 13:30 – 16:30
アイヌ民族連帯!大阪交流集会 アイヌ民族の遺骨をコタン(郷里)にかえせ! @ PLP会館 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 日 時:2018年11月18日(日)13:30~16:30 ■ 会 場:PLP会館 4階小会議室  〒530-0041 大阪市北区天神橋3−9−27  http://plp-kaikan.net/access/a_index.html ■ 参加費:¥1000円 経済的に厳しい方は受付でご相談下さい ■ 講演:川村シンリツ・エオリパック・アイヌ     平田 幸 ■ ビデオ上映『アイヌシモリに生きる』 ■ 主催:「北方領土の日」反対!「アイヌ新法」実現!全国実行委員会・関西  連絡TEL06-6304-8431(労働者共闘) https://www.dailymotion.com/video/x6qfzsl
14:30 井筒高雄さん 横田基地へのオスプ... @ 青梅市福祉センター
井筒高雄さん 横田基地へのオスプ... @ 青梅市福祉センター
11月 18 @ 14:30 – 16:30
井筒高雄さん 横田基地へのオスプレイ配備と安部9条改憲について @ 青梅市福祉センター | 青梅市 | 東京都 | 日本
市民講座2018 横田基地へのオスプレイ配備と安部9条改憲について 講師:井筒高雄さん(元自衛隊レンジャー隊員) ■ 日 時:2018年11月18日(日)  14:00開場 14:30~16:30 ■ 会 場:青梅市福祉センター第1・2集会室  〒198-0042 東京都青梅市東青梅1丁目177−3  https://www.city.ome.tokyo.jp/korei/fukushi_center.html ■ 資料代:¥300 高校生以下無料 ■ 講 師:井筒高雄(元レンジャー隊員) ■ 主催:青梅九条の会  連絡TEL0428-31-1302(中村 項)
11月
20
18:30 原発事故から7年『福島の今』講師... @ ウイングス・京都
原発事故から7年『福島の今』講師... @ ウイングス・京都
11月 20 @ 18:30
原発事故から7年『福島の今』講師:和田央子さん/京都 @ ウイングス・京都 | 京都府 | 日本
■ 日 時:2018年11月20日(火)18:30~ ■ 会 場:ウイングス・京都  〒604-8147 京都市中京区東洞院通六角下る御射山町262番地  地下鉄烏丸御池駅・地下鉄四条駅・阪急烏丸駅、下車徒歩約5分  https://www.wings-kyoto.jp/about-wings/access/ ■ 講 師:和田央子(放射能ゴミを考える福島連絡会) ■ 主催:ユニオンネットワーク・京都  連絡TEL075-691-6191
11月
21
18:30 辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター
辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター
11月 21 @ 18:30 – 21:30
辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター | 文京区 | 東京都 | 日本
■ 日 時:2018年11月21日水曜日 18:30〜21:30 ■ 会 場:文京区民センター  〒113-0033 東京都文京区本郷4-15-14  都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」A2出口すぐ   東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」下車徒歩3分  https://goo.gl/maps/Td9nCJ52W9F2 ■ 資料代:500円 ※予約不要:直接会場においでください 【講演1】大久保奈弥さん(東京経済大学経済学部准教授) 『サンゴの移植は環境保全措置となり得ない』 プロフィール:立教大学文学部ドイツ文学科卒業。東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学研究科 資源育成学専攻 博士前期課程修了。東京工業大学生命理工学研究科 生体システム専攻 博士後期課程修了。東京工業大学博士(理学)。主な研究分野は、サンゴを中心とした海洋生物。主な担当科目は、生命の科学。「海の生き物を守る会」運営委員。 【講演2】柳川たづ江さん 『戦場・戦争体験を私たちはどう受け継ぐか―― 腹話術で伝える 父・日比野勝廣の沖縄戦』 ■ 共 催:沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)/沖縄平和ネットワーク首都圏の会 ■ 連絡先(沖縄戦首都圏の会)  〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2-19-8杉山ビル2F千代田区労協気付   TEL :03-3264-2905 FAX: 03-6272-5263   郵便振替 口座番号 00150-0-706527 加入者名 沖縄戦首都圏の会
11月
23
14:00 パリ5月革命・プラハの春から50年... @ スペースたんぽぽ
パリ5月革命・プラハの春から50年... @ スペースたんぽぽ
11月 23 @ 14:00
パリ5月革命・プラハの春から50年 朝鮮半島と世界のパラダイムシフトを問う 鵜飼哲さん他 @ スペースたんぽぽ | 千代田区 | 東京都 | 日本
1968年「パリ5月革命」「プラハの春」から50年 朝鮮半島と世界のパラダイムシフトを問う 11・23 シンポジウム ■ 日 時:2018年11月23日(金祝)14時開始(13:30開場) ■ 会 場:スペースたんぽぽ  〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2丁目6−2 ダイナミックビル4階  http://vpress.la.coocan.jp/tanpopotizu.html ■ 発言者:  鵜飼 哲(一橋大学教員、フランス文学・思想家)  原 隆(NO―VOX Japan)  草加耕助(ジグザグ会)  司会:津川 勲(差別・排外主義に反対する連絡会) ■ 会場費:500円 ■ 主 催:11・23シンポジウム実行委員会  連絡先:090-1429-9485(荒木) ●今から50年前、1968年に二つの大きな歴史的出来事が起きた。フランスの「5月革命」とチェコスロパキア(当時)の「ブラハの春」だ。一方は68年5月、大学や政府の管理強化に対するパリの学生反乱で始まり、ベトナム反戦運動とも結びついて西側先進国に波及。 既成の価値観や権威、秩序といった旧来の国家権力や体制の枠組み(パラダイム)に対する反逆が世界的規模でうねり、各国の社会運動や反体制運動に大きなインパクトを与えた。他方、「ブラハの春」は、「人間の顔をした社会主義」を掲げたドプチェク新政権による民主化を、8月旧ソ連と東欧諸国のワルシャワ条約機構が軍事介入によって圧殺し、「社会主義=スターリン主義」への幻滅を広げた。「社会主義」への信頼は地に落ち失望と怒りに取って代わられた。それは89—91年の東欧・ソ連の「疑似社会主義体制」の相次ぐ崩壊の連鎖をもたらす前奏曲になったとも言える。 ●この「冷戦」時代、資本主義と「社会主義=スタ一リン主義」の東西両陣営で同時期に起きた異議申し立ては、不公正・不平等な社会の変革を求め、民主主義を問う(あるいは真の民主主義を目指す)闘いであった。それは今日の草の根からの反乱のうねり ―欧米の占拠(オキュパイ)運動や韓国のキャンドル運動に象徴される世界中で登場した新しい変革の潮流— の歴史的な源流として捉えることもできるのではないか。89年「ペルリンの壁」が崩壊、「冷戦」そのものも終焉した。その一方で、米ソによって南北に分断された朝鮮半島は今も「冷戦」構 造を引きずったままだ。だがこの間の南北―米朝の首脳会談によって「世界で最後に残った冷戦構造」は終わりの始まり―つまりパラダイムシフト、歴史的転換を迎えている。 ●なぜ今、50年前の二つの歴史的出来事を問おうとするのか。そんな必要があるのか? それは端的に言えば、未来への扉を開くためには、過去と向き合い対話することによって、示唆や教訓を得て現状を打破していくことが肝要ではないかと考えるからだ。世界の歴史的な動きを俯瞰して見れば、「パリの5月」や「ブラハの春」は、遠い過去の、済んだ話なのだろうか。今日の政治状況に、それは重なっていることはないだろうか。「歴史とは現在と過去との対話である」とE・H・カーは述べた。だとすれば、私たちは現状の淀みの中で過去と対話し示唆を得ようとする思想的営為や議論を怠っているのではないか。行動も大事だが、思考停止に陥って井の中の蛙にならないために、立ち止まって、これでいいのかと考えることも必要ではないだろうか。 ●異論を認めぬ「反多元主義jを特質とした国家主義(ナショナリズム)が台頭する日本や世界は、かってないほどの危険水位に達している。何もしないことは、こうした現状を認めることになる。本当にそれでいいのか?世界はいま、国家主義と草の根からの民主主義という二つの大きな潮流が攻めぎ合う歴史の転換点にある。したがって国家主義との対抗軸を明確に打ち立てることは今日、世界共通の政治的なテーマであり「時代の要請」とも言える。そのことを問い、草の根から直接民主主義をいかに可視化するか。私たち自身のこれまでの思考―行動様式のパラダイムシフトもまた求められているのではないか。

特集(新着順)

  1. 第54回関生支部定期大会

    2018-11-13

    大津警察留置所よりの武委員長の定期大会への挨拶

  2. 第54回関生支部定期大会 武洋一書記長

    2018-11-12

    第54回 連帯労組・関生支部定期大会 大弾圧に揺らぐことない不動の確信、11月反転攻勢へ決意打ち固める

  3. 多田謡子さん

    2018-10-28

    速報】関生労組が本年の「多田謡子反権力人権賞」を受賞!

  4. 4・28「屈辱の日」、那覇で300人集会

    2018-10-20

    天皇制と闘うとはどういうことか(3)/菅孝行(評論家) 第三回 象徴天皇制 起源の欺瞞 ―「国体」護持のために沖縄は売り渡された

  5. 2018年3回目の南北首脳会談

    2018-10-16

    今年3回目の南北首脳会談 実質的な「終戦宣言」合意の重大性

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る