「沖縄の風」を国会に吹かせよう/伊波洋一さん(参議院議員)

辺野古新基地建設断念を求める7・31全国交流集会での伊波さんの発言

「沖縄の風」を国会に吹かせよう

伊波洋一(参議院議員/元宜野湾市長/沖縄意見広告運動全国世話人)

 本紙前号で既報のとおり、7月31日「辺野古新基地建設断念を求める7・31全国交流集会」が東京御茶ノ水の全電通会館と連合会館で開催され600人を超える人々が参集した。参議院選挙で沖縄から立候補し自民党現職大臣を11万票近くの大差で破り当選した伊波洋一さん(沖縄意見広告運動全国世話人)のあいさつをここに掲載する。

辺野古新基地建設断念を求める7・31全国交流集会

■県民のちからが現職大臣を破った

7・31交流集会での伊波洋一さんの報告

7・31交流集会で報告する伊波洋一さん

 ハイサイ。ご紹介いただきました参議院議員の伊波洋一でございます。
 本日、辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会、本当に沖縄が高江を中心に辺野古も含めていちばん緊張状態にあるなかで、こういう集会を通して運動をさらに拡げ、そしてまた沖縄と連帯しながら全国の課題としていただいていることに対して、心から敬意を表したいと思います。私も皆さんといっしょにがんばる決意です。

 ちょうど20年前の1996年に沖縄県議会議員に当選以来7年間県議をし、2003年、宜野湾市長選で当選しまして2期7年半、宜野湾市政を担当いたしました。その頃から普天間の返還に伴う辺野古新基地建設の問題が出ていました。当時は県知事も県議会も名護市長も基地建設推進でありましたが、宜野湾市長の立場で辺野古移設反対を掲げ、その不当性を話してまいりました。
 今回翁長知事を誕生させました島ぐるみ会議やさまざまな県民の応援を得て、7月10日の参議院選挙で、辺野古推進をしてきた現職大臣を破って当選できました事、本当にみなさんのご支援のお蔭だと思っております。
 当選後、21日の高江での集会や27日の国会議員としての行動に参加させてもらっておりますけども、これから国会で、今日皆さま方がここで報告されている様々な課題も含めてしっかり取り組んで行きたいと思います。

「沖縄の風」結成記者会見(琉球新報2016/7/26)

「沖縄の風」結成記者会見(琉球新報2016/7/26)

■「沖縄の風」を国会へ吹かせよう

 今回私は糸数慶子参議院議員とともに「沖縄の風」という会派を立ちあげ参議院で活動いたします。
 「沖縄の風」は幸いなことに外交防衛委員会と法務委員会に議席を得ることができました。私自身が外交防衛委員会の中で発言してまいります。毎週2回開かれるようですので、国会は国民に開かれた場ですから、この委員会を通して基地問題の認識につながるような具体的な議論をしていきたいと思います。

 今日問題になっております辺野古の問題、軍の主張は「普天間の危険を除去するためには辺野古への移設が必要だ」と言ってますけども、そもそも普天間の危険性を作ったのは誰なのか。
 むかし、米軍が占領して本土攻撃のための爆撃専用基地として普天間飛行場を作りました。その頃はどちらかといえば嘉手納が主で普天間は補助飛行場でした。私は普天間に住み隣の中学校で中学時代を過ごしていますが、その頃普天間飛行場は校舎からパラシュート降下訓練などをしているところが見えました。

 やがて那覇空港が返還となりました。那覇空港は空軍の飛行場で、海軍の対潜哨戒機がいましたが、その対潜哨戒機の訓練場所として普天間飛行場を新たに整備し、滑走路も2800メートルにまで拡張されました。
 ところが普天間飛行場は航空法上の「飛行場」の要件を満たしていません。ですから日本や外国の飛行機は普天間に降りられません。最初から危険な欠陥飛行場としてつくられたのです。
 1972年に沖縄が返還され72年ごろまでにできるわけですが、なぜ航空法に違反するような危険な飛行場を作ったのか。どういう根拠で作り、米軍に提供したのかを外交防衛委員会で聞いてみたいと思います。それがこんにちの普天間飛行場の危険性を起こしているのですから。

■危険な基地を容認してきたのは政府
航空法違反の危険な欠陥空港を造ったのは誰なのか(米軍普天間飛行場)

航空法違反の危険な欠陥空港を造ったのは誰なのか
(米軍普天間飛行場)


 政府は「知事が反対するから危険性を除去できない」と言ってるけれども、私が市長在任中には「普天間は危険だ」などとひとことも言っていませんでした。2004年、ヘリ墜落事故が起こり、それを契機に2006年の米軍再編合意で新たな基地を辺野古に作ることになり、その口実として「危険性の除去」を言いだしたのです。
 そもそもいまの普天間飛行場はそういう経緯の中で日本政府が造りあげてきたものである。そこへのオスプレイの配備も含めてそういう危険なものを積み上げてきたのが90年代からの流れなんです。
 1992年に空母「ベロ―ウッド」が佐世保に配備され、そして31ミュー部隊(海兵隊遠征部隊)が沖縄に配備され、その25機のヘリ部隊がそこに常駐するようになる。
 結局普天間の危険性について見逃してきたというより容認してきたのは日本政府なのです。それを言わずに、現在の危険性の責任を県に求めるのはおかしな話です。

■無視されてきた日本の環境管理基準

20130725基地環境問題 かつてアメリカは国内の米軍基地も国内法を守らなくてもいいという時代がありました。ジミー・カーター大統領時代に、環境を守らせるための大統領命令が出て、今日では厳しい環境規制になっています。それを守らせないのが日本政府です。普天間においても本来ならば今のルールでは即座に閉鎖しなければならないのです。それなのに閉鎖させていないのはやはり国の責任ではないのか。

 2000年9月11日に、「環境原則に関する共同発表」を2プラス2で合意し、外務省のホームページにもきちんと掲載されています。それは在日米軍基地周辺の環境については日米政府は良好な環境にすることに合意し実施すると決められています。その基準はアメリカの基準か日本の法令基準のうち「厳しい方」に準拠し、基地周辺は良好な生活環境になると宣言しています。
 ところがこの合意が発表されたあと、悪化してきているんです。どうしてかというと、日米政府でいろいろ合意しますが、日本政府はそれを実施しないからです。この「合意」はあくまでも米国連邦議会向けの「アリバイ」に過ぎない。

 米国連邦議会は米軍の世界での活動について、「環境を守れ」とか、「安全を守れ」とか厳しく言っています。それを「日本でもやっているよ」というポーズで2000年9月11日の宣言が出されました。1996年から日本で行われている「JEGS」(日本環境管理基準)を2年ごとに改定し4年目で宣言したものです。
 ところが高江や辺野古ではいまだにそれは守られていません。どうして守られていないのか。沖縄で米軍基地を造るときに環境は無視していいというのは日本のルールであって、アメリカのルールではありません。アメリカではアセスが行われ、グァム移転が中止され、マリアナ射撃演習場も裁判になっています。日本もアメリカも同一環境基準で考えると宣言しているわけですから、日本の現状についてどう責任をとるのか、外交防衛委員会の中で日本政府の見解を明らかにしてもらいたいと思います。

■国民の人権よりも外国軍の方を優先

高江の機動隊の暴力

高江の機動隊の暴力

 報道によると、高江のあのような弾圧的な防衛省の対応は人権無視ではないのかという疑問に対して日本政府の国連代表が「一般的には日本は民主的な取り組みをしている」と言ったそうです。この「一般的」の中に沖縄は入ってないのかということもきちんと聞かなければなりません。
 私も基地問題をずっと取り組んできていますが、国会の中で解明してゆくやり方を学んで、国としてのアメリカに対する、米軍に対する対応を方向付けてもらわなければ問題の解決はできないと思っています。

 現場で闘いが起こっている一番の根源は、私たちの国が米軍のことは考えるが国民のことは考えないことです。沖縄にいるとそれがよく分かる。彼らは基地の中にいます。日本政府は基地のフェンスの中にいて私たち沖縄県民と対峙しています。機動隊も基地の中にいて県民は外にいます。国は常に米軍と一緒なのです。そういう国はどこにありますか? 外国軍隊の側にいて自分たちの国民に対して対抗している。日本ではそれが当たり前になっているけどそれはおかしい。

 沖縄はかつてはそうではなかった。住民も琉球政府も基地の外にいて共に米軍に向かい合っていました。日本政府は違うんですよね。基地の中にいて住民と対抗しているという現実をとても感じます。それが当たり前化している。多くの国民に理解してもらえるようにこの沖縄の現実を示していきたいと思います。

 学問的にも結論が出ている問題を、あえてその結論を無視して基地建設に奔走する我が国の政府っていったい何なんだろうか。また私は沖縄の先島で進められている自衛隊基地建設にも反対しておりますので、それも含めて「日本の防衛」について、いま安倍政権は憲法改正してまでアメリカに追随しようとしておりますけれども、果たしてその行く先に何があるのかを外交防衛委員会の中で考えて行きたいと思っております。

■日本全土の「総米軍基地化」が進んでいる

普天間基地のオスプレイ

普天間基地のオスプレイ

 そこにあるのは本当に日本の平和なのか。あるいは単なる「アメリカの楯」としての役割なのか。そこを見極めることも国として必要ではないかと思っています。もう沖縄だけではなく、沖縄から全国に進んでいます。1997年の新ガイドライン以来、全国の全ての基地が「沖縄米軍基地」化されている現実があります。

 例えば普天間飛行場の違法な2800メートル滑走路は今は宮崎の新田原(にゅうたばる)に2700メートルの滑走路として整備されています。辺野古だけではないんです。辺野古にも新田原にもつくられ、さらに普天間基地にいたKC135輸送機が岩国に移り、鹿児島の鹿屋にも移っています。鹿屋に大きなエプロンが造られ、訓練場が造られて、オスプレイやヘリ部隊がやってきます。そして1ヶ月に20日以上も夜も含めて訓練します。そうして九州の米軍基地がスムーズに行く。こういうことが今拡散しています。

 私たちの国が米軍基地になろうとしている現実を私たち自身がしっかり知ることで反対の流れをつくっていきたいと思います。私たちの国はもっと私たち国民の声を聴くような政府にしていかなければいけません。

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