TPPの今国会批准を阻止しよう!-「強行採決」隠さない安倍政権!なぜ急ぐか

TPPの今国会批准を阻止しよう!

「強行採決」辞さない安倍政権 なぜ急ぐ?

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 今臨時国会でのTTP審議は10月末から始まる。安倍政権は11月中には関連法案を仕上げ、批准にこぎつけたい意向だ。これに対して野党は維新を除いて反対を貫く方針を打ち出している。また、TTP反対をかかげた運動を積み上げてきた市民運動も、今を最大の山場とみて、この秋、各地でさまざまな取り組みを計画している。
 その一方で、TPP交渉を強引ともいえる手法で引っ張ってきたアメリカで、ここへきてTPP反対が大きな流れになり、当面議会承認の見通しは立たなくなっている。それを見て日本以外の他の交渉参加国も模様眺めに転じ、年内批准をめざして動いているのは安倍政権だけ、という状況が生まれている。

◆「強行採決の形で頑張る」
辞任した福井理事(左)と安倍首相

辞任した福井理事(左)と安倍首相


 まず国内の状況から見ていく。安倍政権の今国会にかける姿勢を示唆したのが、衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会の自民党理事だった福井照議員の「強行採決という形で実現するよう頑張らせてもらう」という9月29日の発言だった。
 福井議員はこの発言の責任をとってその後理事を辞任したが、その際記者団に対し「安倍首相の思いを申し上げた」とも語った。はしなくも安倍政権のTPPに対する国会運営方針を暴露してしまった形だった。昨年の安保国会の再現を狙っているとみることができる。

 そうした政権側の強気は安倍一強体制だから出てくるのだろうが、それだけに詰めの甘さも目立つ。アメリカのTPP交渉を仕切ったマイケル・フローマン米国通商代表とコンビを組んで動いた日本側のTPP交渉を仕切った甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題はまだ政治的道義的決着がついていない。外務省のTPP協定文書の翻訳に多くの誤訳が見つかったというのも、政府側の詰めの甘さの表れだろう。外務省によると「国有企業」を「国内企業」とするなど致命的な誤りが18か所みつかった。こうなると、交渉そのものが真剣に行われたのかどうかさえ疑わしくなる。だからこそ、強行採決で強引に押し切ろうということになるのかもしれない。

◆「自己中心的姿勢」を強める米国

米ワシントン州での反TPPデモ

米ワシントン州での反TPPデモ

 11月に大統領選挙を迎える米国で、クリントン、トランプ二人の候補がそろってTPP反対を唱えていることは、日本国内でもたびたび報じられている。その背後には、TPPで職を奪われ、下流に落ち込んだ白人元中間層の怨念があるともよくいわれる。TPPをめぐる米国の政治的背景がここにあるとすれば、経済的背景は何か。

 最近、『東洋経済』誌に興味深い論文が載った。同誌の特約記者リチャード・カッツ(在ニューヨーク)の「TPPは米国の『善意喪失』を如実に示している―ヒラリー政権誕生でも市場開放は望み薄」という記事だ。「第2次世界大戦後に米国は世界で『善意の覇権(Benign Hegemon)』を握ってきた」という書き出しで始まる同記事は「米国は自国市場を開放し、他国の繁栄を手助けしてきた。だが今日、こうした通商の面で米国の覇権から善意が薄まってきている。これに伴い、米国の影響力も低下するかもしれない」と述べ、「米国は事実上、自ら描いた通商協定から去ろうとしているのだ」と結論付ける。いまや米国は「自己中心的姿勢を強めつつある」という認識である。

◆終焉を迎えつつあるグローバリズムとTPP

30万人が参加したドイツTTIP反対デモ (ATTAC関西ブログより)

30万人以上が参加したドイツのTTIP反対デモ(ATTAC関西ブログより)

 このリチャード記者の分析から見えてくるのは、80年代に始まり、東西冷戦終了後の90年代から世界を動かしてきた市場原理に基づくグローバリズムと米国一極支配の構造が終焉の時を迎えつつあるということである。
 問題はTPPだけではない。オバマ米大統領がTPPと並んで重視してきたEUとの自由貿易協定TTIP(環大西洋投資経済連携協定)は頓挫している。EU各国で反発が強まったからだ。そのEU自体、イギリスの離脱決定で揺れている。ドイツでは9月17日にベルリンを始め七つの都市で32万人が参加するデモが行われた。

 新自由主義が世界を席巻する中で貧困の拡大、環境や地域の破壊、それに伴うナショナリズムの広がりとそれに伴うレイシズムの深化、民族・宗教・地域間の紛争の勃発へと世界は一変した。 いま必要なのは、そうした世界の現実の中にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を置いてみて、改めて根底からTPPとは何かを追求し、別の道はないのかをさぐり、提示することだろう。
(大野和興)

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行動予定

4月
23
18:00 第14回怒りのデモ 森友問題の核心... @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前
第14回怒りのデモ 森友問題の核心... @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前
4月 23 @ 18:00 – 20:00
第14回怒りのデモ 森友問題の核心は安倍昭恵と晋三だ! @ 大阪城公園「世界連邦平和像」前 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■日時:2018年4月23日(月)18時集会、19時デモ出発 ■場所:大阪城公園「世界連邦平和像」前  大阪市中央区大阪城1-1 (大阪城公園 大手前広場)  大阪城の西側。大阪府庁のほぼ正面の道路を渡った広場にあります。 ■主催:「森友問題」疑獄を許すな!実行委員会  連絡FAX06-6304-8431
4月
26
18:00 沖縄意見広告運動全国キャラバン ... @ 連合会館
沖縄意見広告運動全国キャラバン ... @ 連合会館
4月 26 @ 18:00 – 20:00
沖縄意見広告運動全国キャラバン 歓迎と激励の集い @ 連合会館 | 千代田区 | 東京都 | 日本
■ 沖縄から出発した全国キャラバン隊が東京に来ます 4.26「歓迎と激励の集い」に参加ください  1月17日に沖縄辺野古現地を出発点とした沖縄意見広告運動の全国キャラバン隊が、沖縄コースを経て、2月には四国コースを、さらに九州コースなどを回り、4月には23日名古屋、24日静岡、25日千葉を経て26日東京に入ります。  そこで、全国キャラバン隊の皆様を迎え、各地での行動報告を聞き、その労をねぎらい、激励する集いを持ちます。是非、ご参加ください。 ● 日時:2018年4月26日午後6時~ ● 会場:「連合会館」2階201号室  東京都千代田区神田駿河台3丁目2−11   東京・JR御茶ノ水駅より徒歩3分 ● 主催:第9期沖縄意見広告運動  http://www.okinawaiken.org/ 沖縄意見広告運動とは? 沖縄の痛みを、全ての人びとの痛みとして、みんなで受けとめよう! 「普天間即時閉鎖、辺野古(海・陸)やめろ、海兵隊いらない」 このような想いのもと、沖縄意見広告運動は2010年3月に発起されました。国内外の新聞各社への意見広告掲載を中心に様々な活動を行なっています。 意見広告には、公表可能な賛同者の方々のお名前を掲載しています。 【第8期 国内向け意見広告】 掲載日:2017年6月3日 掲載紙:琉球新報、沖縄タイムス、朝日新聞 各朝刊 賛同者総数:12,548件 公表可:10,481件 匿名希望:2,067件 賛同団体:437件 ■ 第9期広告の掲載日は6月3日(日)予定 1万5000件の賛同目標実現にお力を!  賛同者のみなさま。いつもご賛同、ご支援をありがとうございます。  第9期沖縄意見広告の掲載日は6月3日(日)を予定し、沖縄2紙と全国紙との交渉に入りました。9期の目標は、第8期の1万件越えの成果を受け、さらに15000件の賛同を目標に、運動拡大に取り組んでいます。  どうぞ、友人、知人へ賛同の輪を広げて下さい。  振込表付きの第9期新チラシが必要な方は事務局まで連絡ください。  すぐに、お送りします。 沖縄意見広告運動事務局 ● 電話 03ー6382ー6537 ● FAX 03ー6382ー6538 ● mail info@okinawaiken.org (「コモンズ」117号の目次にもどる)

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