国の枠組みを破壊するTPP国会批准 阻止
国際資本の横暴に国民的怒りを
TPPの対立軸は、米国対日本という国益の対立ではなく、1%の国際資本家 対 全世界の99%の一般大衆との闘いである
今国会で安倍内閣が強行しようとするTPPの国会承認と批准をめぐって、国民的な反対行動を起こそうという緊急会合が、9月9日、大阪市西区の学働館・関生であった。これは、TPP法案の恐ろしい生活破壊の中身に対して抗議行動に立ちあがった全国の識者のうち、関西からも緊急の声を上げようと29の組織・個人の呼びかけ人を中心に集会となったものだ。
当日は、全日農・大阪保険医協会など法案で直接的な改悪を受けると懸念される団体、さらに山元一英全港湾大阪支部委員長、武建一連帯関生支部委員長ら労働者代表ほかTPP法案固に反対の広範な有識者で会場は盛況であった。
集会冒頭、呼びかけ人代表の服部良一元衆議院議員は、戦争政権が進める危険な法案の始めに打ち出してきたTPP法案の背景を考える時、広範な反対行動で批准を阻止するとの表明があった。
次いで、早くからTPPの危険な内容を説いてきた田淵太一同志社大学教授の「TPP-今、何が問題か」、また民主党政権時代の農水大臣で下野後は、TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会幹事長として国会デモの先頭に立つ、山田正彦弁護士からの講演があった。
■田淵太一教授・講演論旨
- 当初自由貿易でのチリ、シンガポールなど4カ国協議に08年米国が参加。<投資・金融サービス>の項目を追加した。
- 11年、民主党野田政権が「平成の開国」として交渉参加を表明。これが現安倍に引き継がれた。
- 中味は自由の名を借りた投資家のための協定で、交渉過程は一切秘密。文書すら全て黒塗りで<開示>したと言い張る不透明さ。
- 特に、投資家が他国規制で損害を受けた時に、その国の政府をも訴えるという悪辣なISDS(投資家対国家紛争処理)条項が問題だ。
- この国際資本を頭目とする投資家の連中が、世界の国や自治体に向けて行ったISDS訴訟は約700件で、2015年から急増。しかもほとんど米国企業が勝利を収めるおざなりの紛争委員会裁定でしかない。
- TPPにおける真の対立は、米国対日本という国益の対立ではなく1%の国際資本家対世界の99%の一般大衆との戦いである。
- TPP協定後は、医薬品価格が3倍になる…外資の製薬会社が価格決定に介入し、日本独自で決められない。
- 特許切れ医薬品を届け出すれば作れたジェネリック薬品が、同じく外資製薬会社は認めないため作れなくなり、安価な一般医療は難しくなる。
- 食品の安全性などでも遺伝子組み換え表示がされなくなるので、損なわれる…などまさに国民の生活の枠組みごと破壊されるだろう。
- 日本の農産物は7年後の再交渉で関税措置が撤廃され、全滅する恐れがある。
- ただし米国もトランプ・ヒラリー両候補者揃って国内の労働市場が没落するとして、同法に反対の流れも強まって来ており、1%の側の国際資本の横暴を断固許してはならない。