資料】ソウル宣言(グローバル社会的経済フォーラム 2013)

この宣言文はグローバル社会的経済フォーラム (GSEF) 2013(11月5-7日)韓国ソウルにおいて採択された。
仮訳:丸山茂樹 2013年11月12日 直訳するとか分りにくい箇所などを一部補っている。

―新たな協働の発見― ソウル宣言

世界の危機と社会的経済

Old Economy

 2008年のアメリカ金融危機に端を発した危機が2011年のヨーロッパ財政危機へ、更に最近のアジア及び新興国経済の金融不安に繋がった。かような危機が市場原理主義への過度な傾斜と、ほとんど規制のない金融世界化の結果であるという事実を否定することは出来ない。

 経済危機は所得の両極化(富者と貧者の格差拡大)と社会的排除をもたらした。これによって経済危機は様々な社会的・政治的な危機へと発展していったのである。また化石燃料への過度な依存が、気候温暖化、生物多様性の破壊、そしてエネルギー・食糧危機など人類の生存自体を危険に陥れる生態系問題を生ぜしめている。

 かような危機に直面して我々は“多元的な経済”を模索する多様な動きに注目している。今、世界中で起こっている“社会的経済の運動”が、両極化(富者と貧者の格差拡大)、社会的不平等と社会的排除、そして生態系の破壊という諸問題を解決することができる新しい希望として浮上している。我々参加者たちは社会的経済が“さらに湧き出る希望の世界”“さらに湧き出る希望の暮らし”を人類にもたらす贈り物になると信じている。

社会的経済は なぜ重要であるか?

New Economy

 社会的経済は信頼と協同を基礎にして効率性と平衡性そして持続可能性を同時に達成しようとする。協同組合、人々が住む地域の企業(マウル=村や町の企業)、社会的企業(営利本位の企業を除外)、信用組合とマイクロ金融、そして非営利諸団体などが社会的経済を構成している。勿論、慈善団体と社会的投資部門も非常に重要である。このような社会的経済こそが公共部門と市場経済との調和をつくりだし、現在のグローバルな危機を克服することが出来るのだ。社会的経済は地域、国家、そしてグローバルな次元において、経済、社会、文化および生態系問題にたいして総合的に接近するという特徴を備えている。

 社会的経済は何よりも社会的に疎外された人々が仕事の場をつくること、尊厳性を回復する場合において必須的な存在である。特に教育と福祉、保健と介護サービスなどの関連材(relational goods)を供給する社会サービス部門において、社会的経済は驚くべき成果をあげている。また社会的経済は持続可能な共同体の形成と食料の安全保障において非常に重要である。社会的経済はこの間、充足することのできなかった必要(needs)を社会の構成員の協同によって解決するという点において社会革新(social innovation)の最も重要な土台なのである。

 地域共同体の持続可能なエネルギーの生産、ローカルフード運動、公正貿易(フェアトレード)などの多様な社会的経済は、我々が当面する生態系の危機を克服するのに効果的であることを立証してきた。生態系の問題を解決するためには、地域の社会的経済が国際的な協約へ加入すること、国家次元のエネルギー体制の転換を促すことなどを通じて、世界と国の多くの諸制度と結合しなければならない。

 社会的経済は、草の根の参加型民主主義(participatory democracy)と地域の社会的および経済的な再生を実現するための土台である。社会的経済に内在している民主的な意思決定と参加は、現在の危機を克服しようとする場合に必須である。また危機を克服し、社会的統合を成し遂げるうえで、連帯と持続可能性の精神を人々に教え悟らしめるという点において、社会的経済の重要性は大きな国際協約から個人の規範に至るまで、全ての次元において日々重要性を増している。

グローバル社会的経済のネットワークを目指そう

 今、人類が直面している問題はどんな国でも1国が単独でも解決することの出来ない問題である。我々が当面している問題を解決するためにグローバルな連帯を追求しなければならない第一の理由はここにある。他者とのネットワークを通じて我々は地域共同体と国家を包括するグローバルな社会的経済の連帯関係を構築しなければならない。

 2013年グローバル社会的経済フォーラム(GSEF)は、アイデアと経験を共有する回路として、全世界の我々は皆、未来をめざす新しい社会的経済のパラダイムを開くために積極的に協力する場である。

 このフォーラムは、世界共同体が社会的経済の運動の成長を支援することによって、未来の新しい議題を提示する重要な機会であると思う。我々は次のような進展を皆が共に到達するように努力することを誓う。

  1. 各地方政府は公共―民間―共同体のパートナーシップを通じて持続可能な社会的経済のネットワークを構築し、主要な社会的経済の諸主体の間の交流と協力を推進する。
  2. 我々は皆、市民の権限の重要性を認め、各社会的経済の多様で広範囲の共同体のリーダーシップを支持する。
  3. 我々は皆、社会的経済についての認識を高く揚げた、相異なる諸集団のための学習のプログラムを開発して、その成果を相互に共有する。
  4. 我々は皆、社会的経済を振興するために標準的な教科書と市民教育のプログラムを共同で開発することにした。かような努力は市民社会の影響力と力量を増進させるものである。
  5. 我々は皆、社会革新をするために我々の経験とビジョンを共有し、人的資源の育成のため、諸都市間の社会的経済の人的交流のプログラムを積極的に運営する。
  6. 我々は皆、リアルタイムで、インターネット及びその他の意思疎通手段を通じて社会的経済に関連した情報を交換し、社会的経済の新しい研究成果を討論し、共有する。各都市の政府はこのような情報に立脚し、政策を随時調整することが出来るように努力する。
  7. 我々は皆、社会的経済と市場経済及び公共経済とが調和をつくりあげることが出来る発展モデルを開発する。政府の公共政策は、かような目的を達成できるようにすることである。
  8. 我々は皆、社会的経済の連合体と社会的経済の支援組織を形成しようとする努力を積極的に支持しつつ、このような諸組織が社会的経済の活動方向を決定して共同プロジェクトを推進する場合に、決定的な役割を果たすという点を深く認識する。
  9. 我々は皆、深刻な低開発と貧困の問題を経験している開発途上国についての責任意識に共感し、社会的経済を通じて貧困国家の経済、社会、文化、環境に対する統合的な接近を通ずる解決方法を模索する。
  10. 我々は皆、社会的経済のグローバルな共同行動を推進し、社会的経済を運営し発展させるためにグローバルな協議体の形成を支援することにした。女性団体、労働団体、環境団体など社会的経済の多様な諸運動もこのような過程に共に参加するであろう。

 グローバルな社会的経済の協議体の建立を推進するために、ソウルに臨時の事務局をつくり、2014年に総会を開催すべく準備する。全ての参加者は2014年の総会において主催都市の選定、事業内容の確定などのために具体的な活動計画を樹立することに協力する。 2013年国際社会的経済フォーラム 11月5~7日 ソウルにて会合

この宣言文は大韓民国のソウルにおいて採択された。
<参加都市>
ボローニャ市(イタリア)、エミーリア・ロマーニャ州(イタリア)、京都市(日本)、モントリオール市(カナダ)、ケベック州(カナダ)、ケソン市(フィリッピン)ソウル市(韓国)、横浜市(日本)。
<参加団体> アジア・ベンチャー・フィランソロフィー・ネットワーク(シンガポール)、シャンティエ(カナダ)、グループSOS、HKCSS(香港)、K2インターナショナル・グループ(日本)、レガ・コープ・ボローニャ(イタリア)、レガコープ・エミーリアロマーニャ(イタリア)、ローカリティ(英国)、ソーシャル・トレーダーズ(オーストラリア)、ソウル社会的経済センター(韓国)。

(『コモンズ』第67号11面)

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行動予定

10月
31
13:30 “他者への想像力”を~日韓の歴史認... @ オンライン
“他者への想像力”を~日韓の歴史認... @ オンライン
10月 31 @ 13:30 – 16:00
“他者への想像力”を~日韓の歴史認識をめぐる問題にジャーナリストと共に目を向けて @ オンライン
【同時通訳付き Web開催】 SJFアドボカシーカフェ第67回 “他者への想像力”を ~日韓の歴史認識をめぐる問題にジャーナリストと共に目を向けて~  組織ジャーナリズム・メディアの報道に接する日々において、政権に対する「忖度」やフェイクニュースの横行など目を覆うばかりの状況に不信感や危機感が高まっています。  長年メディアの中で活動をしてきたベテラン(?)のおじさん・おばさんたちも危機感を共有してきました。そこから、ジャーナリストを目指す若い人たちに「権力を監視し、市民の側に立つ」という姿勢を育んでもらおうと、「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」の活動が3年前から始まりました。  なぜ「日韓」なのか。日韓の間には、従軍慰安婦や徴用工の人たちのこと、強制労働など、今も「歴史認識」をめぐる問題が横たわっています。その解決のためには、まずお互いが相手を学び、理解していくことが必要です。その行為は、ジャーナリストにとって大切な“他者への想像力”に思いを寄せることにもつながります。  ジャーナリストが日々伝える「今」の一つひとつは、「過去」つまり歴史を背負っています。そこに目を向けられるようなジャーナリストが日本で、韓国でニュースを発信していければ、今のメディアは少しずつ変わっていけるのではないか。そんな日韓学生フォーラムの試みをもとに、日韓の皆さんと歴史認識を共有する道を探っていければと思います。 ゲスト 〇植村隆さん:  1958年、高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒、82年、朝日新聞社入社。大阪社会部記者などを経て、テヘラン、ソウル特派員。北海道報道部次長や外報部次長などを経て、北京特派員、函館支局長など。2014年、早期退職。17年秋に「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」をジャーナリスト仲間たちと立ち上げる。また現在まで、16年より韓国カトリック大学客員教授、18年より週刊金曜日発行人兼社長、19年6月から「金曜ジャーナリズム塾」塾長も務める。 〇西嶋真司さん:  1957年生まれ、早稲田大学卒。81年に「RKB毎日放送」入社。記者として報道部に配属され、91~94年にJNNソウル特派員。2000年に制作部に異動し、ドキュメンタリー番組を制作。18年に退社し、映像制作会社「ドキュメント・アジア」を設立。ドキュメンタリー映画の代表作に『抗い 記録作家 林えいだい』。現在は元朝日新聞の植村隆記者のバッシング問題をテーマにした映画『標的』を制作中。 〇「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」に参加し、現在メディアで働く記者や学生も出演します。 詳細 ●日時: 2020年10月31日(土)  13:30~16:00 ※受付時間13:00~13:25 ●会場: オンライン開催 ★オンライン会議システム・Zoom(言語通訳機能付き)を使用します。スマホやPC等の端末から参加いただけます。参加方法の詳細は、お申込みくださった方に10月26日までにメールいたします。 ★グループ対話セッション(逐語通訳付き)や、ゲストとの対話も行う予定です。聞くだけの参加も可能ですが、この対話の場を一緒につくれるよう、お声を出していただけましたら幸いです。参加者さまのお顔は写らないよう初めはこちらで設定いたしますが、グループ対話中は、自主的にお顔を写していただけます。 ●参加費: 無料  ※通信料は参加者さまのご負担となります。 ●お申込みフォーム: https://socialjustice.jp/20201031.html ★先着50名様。完全事前登録制(上記フォームからのみの受け付けとなります)。 ★締め切りは【10月25日】、または【定員に達した時点】の早い方とさせてください。 ●イベントホームページ: http://socialjustice.jp/p/20201031/ ★同時通訳(日本語・韓国語)をいたします。 ★韓国語でのご案内ページ http://socialjustice.jp/p/ko20201031/ もございます。オンライン開催のため韓国など海外からの参加も容易です。もしお知り合いで韓国語でのご案内の方がよろしい方がいらっしゃいましたら、こちらのリンクを広めていただけましたら幸甚です。 ― 助成: オープン・ソサエティ財団/JANICグローバル共生ファンド ― ■主催・お問い合わせ先: 認定NPO法人まちぽっと ソーシャル・ジャスティス基金(SJF) メール: info@socialjustice.jp
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