農業のTPP体制化のもとで改めて有機農業の存在を考える/大野和興

 国際有機農業映画祭が今年で10周年を迎えた。毎年1回東京で開催、やがて全国各地で地域版が開催されるようになった。

 しかし一方で、この10年、農業はとてつもなく難儀な時代だった。世界のすべてを市場競争に任せるグローバリゼーションが吹き荒れるなかで、農民の農業は淘汰され、農民は土地から剥ぎ取られていった。その難儀さは年々深まっている。有機農業とは何だろう、そのことを考え込む10年でもあった。

◆農業のTPP体制化

 この11月にも国会でTPP批准、という話が伝わってきている。強行採決をしてでも批准を達成しようというのが安倍政権の方針だ。同時に、国内の農業体制は、すでにTPPを先取りして動いている。その典型が農協への攻撃である。これはすでに功を奏し、協同組合としての農協は解体されつつある。

 「協同組合としての農協」とは何かというと、小さきもの、日本の農業と農村を構成し、支えてきた1町から2町足らずの世界標準から見て極小サイズの農家が手を組んで外部資本などと対抗するための組織ということである。置賜の農村
 協同組合とは小さきものが肩を寄せ合い、自主的に作り運営するものである。現存農協は多くの欠陥を持ちながらも、その原理は捨てないで来た。そのことを証明したのは、東日本大震災と原発爆発後の福島県の農協の踏ん張りだった。

 TPPで農業への国際的な市場競争の持ち込みをめざす安倍政権にとって、弱者連合としての農協は最大の障壁だった。だから壊した。農協が壊れると小さい農家は困る。特に国民年金だけでは食えない高齢農家は生きていけなくなる。そしてむらがなくなる。農業の壊れは村の壊れにつながり、村が壊れたら農業も壊れる。

◆工場生産化する農業

企業の大規模工場で生産されるトマト(米国)

企業の大規模工場で生産されるトマト(米国)

 農業近代化が国是となった1960年代、国の農業近代化の柱は「機械化」「化学化」「施設化」だった。TPP農政でいま農業政策が最大の目玉としてあげているのは「IT化」「生命操作」「工場化」である。農業生産対策費のほとんどがここにつぎ込まれている。

 IT化とは人工知能化・ロボット化と言い換えてよい。農協を壊し、小さい農家を淘汰した後を担う。ロボットに手に負えないところは外国人労働者に任せる。バイオテクノロジつまり遺伝子組み換えやクローン家畜、さらに最新の生命操作であるゲノム編集などの生物工学を駆使して生命の持つ意味そのものを変える。
 そして土と土地ではなく工場生産としての農業をつくりあげる。ここには農民はいらない。土地と自然の制約から解放された農業は食の概念さえ変えていく。地産地消など意味を持たなくなる。

◆社会運動としての有機農業

国際有機農業映画祭2016 さて有機農業である。毎年、世界から集まる農業、環境、自然と人間を描いた映像をみんなで選び、上映する活動を続けながら考えたのは、有機農業の実践と思想をが持つ意味を世界の現実の中でどうとらえ返すかということだった。

 日本の有機農業は1970年代初頭、社会運動のひとつとして動きだした。“殺す技術”としての農薬を軸とする現代農業技術体系に対し、土・微生物・自然を掲げて、大規模ではなく小規模、競争ではなく共生、効率ではなく循環を対抗軸として位置づけた。生産者と消費者という近代社会が生んだ分業を否定し、交換と価格決定についての別のやり方、考え方を具体的につくりだした。

 単なる考え方、思想ではなく、農業生産と農産物交換の場で具体的な行為としてつくりだしたところに、有機農業運動のすごさがあった。国際有機農業映画祭10年を迎え、有機農業が持つこうした意味を改めてかみしめている。

国際有機農業映画祭2016

(大野和興/ジャーナリスト・国際有機農業映画祭運営委員会共同代表)

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行動予定

11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
18
10:00 港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内
港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内
11月 18 @ 10:00 – 15:30
港合同 第40回 交流秋まつり/大阪 @ 田中機械 構内 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 日 時:2018年11月18日(日)10:00~ ■ 会 場:田中機械 構内(地図)  JR環状線「弁天町駅」南口下車 徒歩10分  〒552-0011 大阪市港区南市岡3丁目6−26 ■ 主催:全国金属機械労働組合港合同     港合同もちつき実行委員会  連絡:TEL06-6583-4858 ■ 共催:NPOみなと
10:00 第12回「国際有機農業映画祭」/市... @ 法政大学市ヶ谷キャンパス
第12回「国際有機農業映画祭」/市... @ 法政大学市ヶ谷キャンパス
11月 18 @ 10:00 – 19:45
第12回「国際有機農業映画祭」/市ヶ谷 @ 法政大学市ヶ谷キャンパス | 千代田区 | 東京都 | 日本
第12回「国際有機農業映画祭」~世の中、えらいことになるでえ ■ 2018年11月18日(日) 10:00~19:45(開場 9:30) ■ 会場:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート棟 G201教室  〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1  http://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.html ■ チケット:  一般 前売り¥2,000/当日¥2,500  25歳以下 前売¥500/当日¥1,000  中学生以 下無料 *25歳以下、中学生は当日身分証を提示 ■ 上映スケジュール:  10:00 海―消えたプラスチックの謎  11:15 狂った蜂2 〔本邦初上映〕  13:40 3分ビデオ(15分)  14:00 たねと私の旅 〔本邦初上映〕  15:50 シンポジウム これからを話そう  17:05 トマト帝国  〔本邦初上映〕  18:35 大平農園401年目の四季  19:45閉会 ■ 公式:http://www.yuki-eiga.com/ *上記の映画祭ウェブサイトから作品の詳細・予告をご覧いただけます。 ■ 主催:国際有機農業映画祭  法政大学大学院グローバルサステナビリティ研究所 ■ 協力:NPO法人アジア太平洋資料センター  NPO法人日本有機農業研究会  NPO法人 日本消費者連盟 ■ 協賛:アジア農民交流センター  たねと食とひと@フォーラム  (株)EMジャパン  特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター https://youtu.be/yXKTG3WDMUo
13:30 アイヌ民族連帯!大阪交流集会 ア... @ PLP会館
アイヌ民族連帯!大阪交流集会 ア... @ PLP会館
11月 18 @ 13:30 – 16:30
アイヌ民族連帯!大阪交流集会 アイヌ民族の遺骨をコタン(郷里)にかえせ! @ PLP会館 | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 日 時:2018年11月18日(日)13:30~16:30 ■ 会 場:PLP会館 4階小会議室  〒530-0041 大阪市北区天神橋3−9−27  http://plp-kaikan.net/access/a_index.html ■ 参加費:¥1000円 経済的に厳しい方は受付でご相談下さい ■ 講演:川村シンリツ・エオリパック・アイヌ     平田 幸 ■ ビデオ上映『アイヌシモリに生きる』 ■ 主催:「北方領土の日」反対!「アイヌ新法」実現!全国実行委員会・関西  連絡TEL06-6304-8431(労働者共闘) https://www.dailymotion.com/video/x6qfzsl
14:30 井筒高雄さん 横田基地へのオスプ... @ 青梅市福祉センター
井筒高雄さん 横田基地へのオスプ... @ 青梅市福祉センター
11月 18 @ 14:30 – 16:30
井筒高雄さん 横田基地へのオスプレイ配備と安部9条改憲について @ 青梅市福祉センター | 青梅市 | 東京都 | 日本
市民講座2018 横田基地へのオスプレイ配備と安部9条改憲について 講師:井筒高雄さん(元自衛隊レンジャー隊員) ■ 日 時:2018年11月18日(日)  14:00開場 14:30~16:30 ■ 会 場:青梅市福祉センター第1・2集会室  〒198-0042 東京都青梅市東青梅1丁目177−3  https://www.city.ome.tokyo.jp/korei/fukushi_center.html ■ 資料代:¥300 高校生以下無料 ■ 講 師:井筒高雄(元レンジャー隊員) ■ 主催:青梅九条の会  連絡TEL0428-31-1302(中村 項)
11月
20
18:30 原発事故から7年『福島の今』講師... @ ウイングス・京都
原発事故から7年『福島の今』講師... @ ウイングス・京都
11月 20 @ 18:30
原発事故から7年『福島の今』講師:和田央子さん/京都 @ ウイングス・京都 | 京都府 | 日本
■ 日 時:2018年11月20日(火)18:30~ ■ 会 場:ウイングス・京都  〒604-8147 京都市中京区東洞院通六角下る御射山町262番地  地下鉄烏丸御池駅・地下鉄四条駅・阪急烏丸駅、下車徒歩約5分  https://www.wings-kyoto.jp/about-wings/access/ ■ 講 師:和田央子(放射能ゴミを考える福島連絡会) ■ 主催:ユニオンネットワーク・京都  連絡TEL075-691-6191
11月
21
18:30 辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター
辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター
11月 21 @ 18:30 – 21:30
辺野古・海は哭いている/文京 @ 文京区民センター | 文京区 | 東京都 | 日本
■ 日 時:2018年11月21日水曜日 18:30〜21:30 ■ 会 場:文京区民センター  〒113-0033 東京都文京区本郷4-15-14  都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」A2出口すぐ   東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」下車徒歩3分  https://goo.gl/maps/Td9nCJ52W9F2 ■ 資料代:500円 ※予約不要:直接会場においでください 【講演1】大久保奈弥さん(東京経済大学経済学部准教授) 『サンゴの移植は環境保全措置となり得ない』 プロフィール:立教大学文学部ドイツ文学科卒業。東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学研究科 資源育成学専攻 博士前期課程修了。東京工業大学生命理工学研究科 生体システム専攻 博士後期課程修了。東京工業大学博士(理学)。主な研究分野は、サンゴを中心とした海洋生物。主な担当科目は、生命の科学。「海の生き物を守る会」運営委員。 【講演2】柳川たづ江さん 『戦場・戦争体験を私たちはどう受け継ぐか―― 腹話術で伝える 父・日比野勝廣の沖縄戦』 ■ 共 催:沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)/沖縄平和ネットワーク首都圏の会 ■ 連絡先(沖縄戦首都圏の会)  〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2-19-8杉山ビル2F千代田区労協気付   TEL :03-3264-2905 FAX: 03-6272-5263   郵便振替 口座番号 00150-0-706527 加入者名 沖縄戦首都圏の会
11月
23
14:00 パリ5月革命・プラハの春から50年... @ スペースたんぽぽ
パリ5月革命・プラハの春から50年... @ スペースたんぽぽ
11月 23 @ 14:00
パリ5月革命・プラハの春から50年 朝鮮半島と世界のパラダイムシフトを問う 鵜飼哲さん他 @ スペースたんぽぽ | 千代田区 | 東京都 | 日本
1968年「パリ5月革命」「プラハの春」から50年 朝鮮半島と世界のパラダイムシフトを問う 11・23 シンポジウム ■ 日 時:2018年11月23日(金祝)14時開始(13:30開場) ■ 会 場:スペースたんぽぽ  〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町2丁目6−2 ダイナミックビル4階  http://vpress.la.coocan.jp/tanpopotizu.html ■ 発言者:  鵜飼 哲(一橋大学教員、フランス文学・思想家)  原 隆(NO―VOX Japan)  草加耕助(ジグザグ会)  司会:津川 勲(差別・排外主義に反対する連絡会) ■ 会場費:500円 ■ 主 催:11・23シンポジウム実行委員会  連絡先:090-1429-9485(荒木) ●今から50年前、1968年に二つの大きな歴史的出来事が起きた。フランスの「5月革命」とチェコスロパキア(当時)の「ブラハの春」だ。一方は68年5月、大学や政府の管理強化に対するパリの学生反乱で始まり、ベトナム反戦運動とも結びついて西側先進国に波及。 既成の価値観や権威、秩序といった旧来の国家権力や体制の枠組み(パラダイム)に対する反逆が世界的規模でうねり、各国の社会運動や反体制運動に大きなインパクトを与えた。他方、「ブラハの春」は、「人間の顔をした社会主義」を掲げたドプチェク新政権による民主化を、8月旧ソ連と東欧諸国のワルシャワ条約機構が軍事介入によって圧殺し、「社会主義=スターリン主義」への幻滅を広げた。「社会主義」への信頼は地に落ち失望と怒りに取って代わられた。それは89—91年の東欧・ソ連の「疑似社会主義体制」の相次ぐ崩壊の連鎖をもたらす前奏曲になったとも言える。 ●この「冷戦」時代、資本主義と「社会主義=スタ一リン主義」の東西両陣営で同時期に起きた異議申し立ては、不公正・不平等な社会の変革を求め、民主主義を問う(あるいは真の民主主義を目指す)闘いであった。それは今日の草の根からの反乱のうねり ―欧米の占拠(オキュパイ)運動や韓国のキャンドル運動に象徴される世界中で登場した新しい変革の潮流— の歴史的な源流として捉えることもできるのではないか。89年「ペルリンの壁」が崩壊、「冷戦」そのものも終焉した。その一方で、米ソによって南北に分断された朝鮮半島は今も「冷戦」構 造を引きずったままだ。だがこの間の南北―米朝の首脳会談によって「世界で最後に残った冷戦構造」は終わりの始まり―つまりパラダイムシフト、歴史的転換を迎えている。 ●なぜ今、50年前の二つの歴史的出来事を問おうとするのか。そんな必要があるのか? それは端的に言えば、未来への扉を開くためには、過去と向き合い対話することによって、示唆や教訓を得て現状を打破していくことが肝要ではないかと考えるからだ。世界の歴史的な動きを俯瞰して見れば、「パリの5月」や「ブラハの春」は、遠い過去の、済んだ話なのだろうか。今日の政治状況に、それは重なっていることはないだろうか。「歴史とは現在と過去との対話である」とE・H・カーは述べた。だとすれば、私たちは現状の淀みの中で過去と対話し示唆を得ようとする思想的営為や議論を怠っているのではないか。行動も大事だが、思考停止に陥って井の中の蛙にならないために、立ち止まって、これでいいのかと考えることも必要ではないだろうか。 ●異論を認めぬ「反多元主義jを特質とした国家主義(ナショナリズム)が台頭する日本や世界は、かってないほどの危険水位に達している。何もしないことは、こうした現状を認めることになる。本当にそれでいいのか?世界はいま、国家主義と草の根からの民主主義という二つの大きな潮流が攻めぎ合う歴史の転換点にある。したがって国家主義との対抗軸を明確に打ち立てることは今日、世界共通の政治的なテーマであり「時代の要請」とも言える。そのことを問い、草の根から直接民主主義をいかに可視化するか。私たち自身のこれまでの思考―行動様式のパラダイムシフトもまた求められているのではないか。

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