殺人ロボットの時代が到来 アシモフの理想はどこへ/大野和興(ジャーナリスト)

アイザック・アシモフ(1920 – 1992)

アイザック・アシモフ(1920 – 1992)

 いまや古典となったSF(サイエンス・フィクション)の名作にアイザック・アシモフのロボットものがある。科学が進み、人間のように感じ、考える人型ロボットの物語である。

 『われはロボット』と題されたその作品の中で、アシモフは「ロボット工学三原則」なるものを打ち出した。三原則とは、「ロボットは人間に危害を加えてはならない」「ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない」「ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない」というものだ。自意識が生まれたロボットたちは、この三原則に縛られ、やがて自己崩壊を遂げる。

 この作品が発表されたのは1950年、今からほぼ70年前につくられたこの作品には、科学技術と人間についての深いペシミズムが流れている。そして70年後、殺人ロボットが登場した。

 兵器産業の最先端は「自律型致死兵器システム」の開発だといわれている。「人間の意思を介在させずに自ら攻撃目標を選別して殺傷する兵器」のことである。人工知能(AI)の急速な発達が、人に代わってロボットが戦争する時代を生みだしたのだ。このことを危惧して、アメリカに本拠を置く人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチなど世界20カ国以上の市民団体が「殺人ロボット反対」のキャンペーンを打ちだしている。
安倍のイスラエル支援
 日本がからむ最近の具体的動きとしては、軍用無人機ドローンのイスラエルとの共同開発がある。軍用無人機の開発ではイスラエルが世界をリードし、パレスチナへの攻撃に投入され、多くの市民を犠牲にしている。このイスラエルの技術に日本の高度なセンサー技術を組み込み、殺人ロボット機にしようというのが共同開発を進める防衛装備庁の狙いである。

 殺人ロボット兵器の登場は戦争の概念を大きく変える。同時に軍事技術と産業用ロボットとの境界が次第に消滅していく。ロボットはアベノミクスの最大の柱だが、それは軍需産業育成に他ならない。(大野和興)

「この世の中の最も悲しい側面は、社会が知恵を蓄積する速度よりも、科学が知識を蓄積する速度が上回っていることだ」。(アイザック・アシモフの言葉より)


ーーーーーーーーーーーーーーー
【参考】
日本がイスラエルと防衛装備研究 無人偵察機、準備最終段階(共同通信)

ガザ虐殺(2014)イスラエル軍は国連避難所まで攻撃。避難していたはずの肉親が殺され、泣き叫ぶ母と娘(田中龍作ジャーナル)

ガザ虐殺(2014)イスラエル軍は国連避難所まで攻撃。
避難していたはずの肉親が殺され、泣き叫ぶ母と娘。
(写真:田中龍作ジャーナル・取材カンパ募集中)

イスラエルとの無人機共同研究を狙う防衛装備庁に抗議の要請を!(レイバーネット)
[ネット署名]イスラエルとの無人機共同研究をやめてください!(change.org)
やはり「人殺し予算」ー防衛装備庁がイスラエルと兵器の共同研究、「死の商人」化する安倍政権(志葉玲の命で語れ!日本と世界)
「日本・イスラエル兵器共同開発に異議あり」専門家・ジャーナリストらが緊急集会(IWJ)

(「コモンズ」100号の目次にもどる)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. 文在寅(ムン・ジェイン)

    2017-9-15

    講演】東アジアの平和を!韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生を受けて/李泳采(イ・ヨンチェ)(恵泉女子学院大学教授)

季刊「変革のアソシエ」No.29

最近の記事

  1. 11・19 安倍改憲阻止!国会前行動
    安倍9条改憲を許さない、森友・加計学園疑惑徹底追及、 安倍内閣の退陣を要求する11・19国会議員会…
  2. 辺野古新基地反対運動に国際平和賞授与
     ドイツ・ベルリンに本部を置く国際平和団体「国際平和ビューロー」(IPB)は24日、スペイン・バ…
  3. 朝まで残業イメージ写真
    「働き方改革」のねらい  安保・戦争法・共謀罪、そして自衛隊の9条追加の改憲をもくろむ安倍政権は、…
  4. 関生春闘
    ミキサー車1000台 バラ車700台 かつてない規模の拡がり   大阪府管内各社へ要求 …
  5. コモンズ最新号目次
    一面 速報】関西生コン・労組連合会 12/12早朝からゼネスト突入 雇用破壊・労働時間…

特集(新着順)

  1. 朝まで残業イメージ写真

    2017-12-12

    雇用破壊・労働時間破壊を狙う安倍政権「働き方改革」/仲村実 ーナショナルセンターを超える共闘を各地でつくりだそう!

  2. 在韓米軍演習

    2017-10-26

    米国「軍産複合体(MIC)」のおそるべき戦後世界史(上)/関西M

  3. 開城(ケソン)工業団地・韓国の工場で働く朝鮮の労働者

    2017-10-20

    アジアの現実から朝鮮問題をとらえ直す/大野和興 -一体化するアジア経済

  4. 労働学校・アソシエ 特別シンポジウムの様子

    2017-10-17

    労働学校アソシエ8・26特別シンポ詳報

  5. 借金なし大豆

    2017-9-20

    種は誰のものか「種と百姓の物語」種子法廃止に思う(下)

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る