日米首脳会談,対米追従強め「日米合意」推進を公約した野田政権

オバマ大統領、辺野古移設の結果を出せと威嚇

オバマ・野田会談 世界が再び大恐慌の危機への瀬戸際にあるなか、9月21日(日本時間22日)、ニューヨーク市内で、野田首相とオバマ大統領の日米首脳会談がもたれた。
 「米国は震災からの日本の立て直しを支援する。ただ日米にはそれ以外に重要な作業がある」と会談冒頭にこう切り出したオバマ大統領は、普天間移設や環太平洋連携協定(TPP)など、日米間の懸案事項を自ら列挙して「結果を出せ」と野田首相に迫った。

 明らかに外交慣例上は異常といえるオバマのなりふり構わぬこのような威嚇に、野田首相は沖縄・米軍普天間基地の名護市辺野古への「県内移設」について、「日米合意にのっとって全力をつくす」と、またTPPについても「早期に結論を出す」と公約した。
 野田首相はかねてからの自説である日米同盟基軸を平身低頭に強調してオバマ大統領のご機嫌を取り、会談後、「日米同盟を深化させることで合意ができた」と、卑屈な対米追従会談の成果を挙げて見せた。恥知らずにも程があるというものである。

オバマ大統領の窮地は「日米合意」見直し交渉の好機

 重要なことは、オバマが日米間の最優先課題とする普天間移設問題にしめした苛立ちと威嚇の背景である。
 デフォルト危機を先延ばししたもののリーマンショック以来、世界恐慌のふちに立つ世界的危機の震源であり続けている国家債務危機と基軸通貨ドルの暴落、9%台の失業率とこれに対する米民衆の不満の高まりなど、オバマ大統領は支持率の低迷にあえぎ2012年大統領選での再選が見通せないでいる。そこに、米連邦議会上院が、債務危機のための軍事費削減にからんで7月に在沖縄海兵隊のグアム移転費を2012年会計年度予算から全額却下し、グアム移転の「前提条件」となる普天間基地「移設」について来年の5月までに議会への進展状況の報告を求め、年内に具体的進展がない場合は予算がつかない可能性がでてきた。また、レビン上院軍事委員長ら超党派議員有力者たちが、「日米合意」の「辺野古移設は非現実的で実行不可能」とする提言を発表し、新基地計画見直しを盛り込んだ国防権限法案の成立をめざして攻勢を強めている。

 つまり、オバマ政権は窮地に立っており、それはそれで日本政府が沖縄県民総体の意思の表示によって破綻が鮮明となっている「日米合意」の見直しと普天間海兵隊基地の無条件即時閉鎖と返還を求め、米政府と交渉する好機なのである。そして、日本政府に問われているのは、もはや民主党に望むべくもないが、政権交代時に公約として掲げた対米追従の日米関係・日米同盟の見直しが主張されてしかるべき時期でもある。

 にもかかわらず野田政権は、米政府に屈し、原発独占大企業・財界言いなりに、原発再稼動と原発維持・TPP・大増税を推進し、沖縄県民には「辺野古移設が実現しなければ普天間は固定化する」と脅し、「日米合意」強行をしようとしている。

仲井真沖縄県知事訪米とニューヨークタイムズへの沖縄意見広告

 野田首相や玄葉外相が米政府と「日米合意」の強行を確認していた9月21―24日、ニューヨークタイムズ(ウエブ版-全米・全世界配信)のワールド・フロントペイジに、「沖縄と日本の市民からアメリカ市民へのメッセージ」と銘打った英文の沖縄意見広告が掲載された。
 その主張は「世界一危険な普天間基地の閉鎖と辺野古移設反対」「(アメリカは財政危機なのだから)今こそ米海兵隊を沖縄から呼び戻せ」「軍事力に頼らない平和を」で、アメリカ在住の沖縄に心を寄せるNGOの協力を得て実現したものである。これは、ニューヨーク現地での日米首脳会談に対してもう一つの沖縄と日本の市民からの対抗意見の提示である。同時にワシントンで開催された「沖縄クエスチョンー地域の安全保障と日米同盟、そして普天間」における沖縄の仲井真県知事の「日米合意見直し」の訴えやレビン上院議員らとの会談を後押しするものである。(関連記事―沖縄短信

 いずれにしても、オバマ政権と米連邦議会内部からの動きを大きなチャンスとして、日米両政府の内外で「日米合意」を金科玉条として強行しようとしている「安保で飯を食う」(琉球新報9・21社説)安保マフィアにくさびを打ち、沖縄と日米両市民の連携と運動を強め、日米両政権に「日米合意」見直しを迫っていく時である。 
(9月30日記、あ)

コモンズ40号2011年10月5日より

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