連載】都知事選挙の意味するもの ―「細川勝手連」事務局長を担って(1)

第一回 猪瀬と東電の攻防

布施哲也(前清瀬市議会議員)

細川護熙氏の立候補をどうみるか
布施哲也さん

布施哲也さん


 1月19に実施された沖縄名護市長選挙は、現職の稲嶺進氏が圧倒的な勝利を得た。そして、同日行われた南相馬市長選挙でも、国と東電を鋭く追及しつづける桜井勝延氏が再選を果している。このことから私たちは、初めてではなく、何度目かにはなるが、学んだはずだ。そして、都知事選挙はその延長線上にあった。これまでの私たちの勢力(革新・左翼・市民?)だけでは、戦争への道をひた走る安倍政権に抗し得ないことを。加えて、なによりも私たちの喫緊の課題である原発ゼロ、再稼働阻止が実現できないことを。

 細川護熙氏が都知事選に立候補し、小泉純一郎氏が全面的に支えるという。脱・反原発運動を担ってきた私たちのとるべき道は定まってくる。私たちは、このことを待っていた。彼ら二人とは、国家感が違う、文化が違う、彼らは新自由主義者だと、敵対・無視をしていいのだろうか。脱・反原発運動は、旧来の勢力だけでは勝てないことを、私たちは知っているはずだ。細川護熙氏の原発ゼロを掲げての立候補は、私たちの運動の正しさが証明されたことにもなるからだ。

 これまでのしがらみや、政党との関係からか、ためらいがあることは承知している。でも、第二、第三の細川・小泉が生まれることを求めるならば、自由に行動できる人は、自由にその意思を明らかにするべきだ。それが、「脱原発都知事を実現する会」であり、「細川勝手連」となって結びつく。そして選挙は終わった。今は、またとない機会を活かしきれなかったことが悔やまれる。

都知事選前の猪瀬と東電の攻防

猪瀬直樹 猪瀬直樹氏の辞職により都知事選挙となった。辞任の原因に関心が向かうが、マスメディアは、徳洲会から5000万円をもらったことを、東電病院がらみで槍玉に挙げる。でも、本当だろうか。またもや、トカゲの尻尾が切られたことになる。東電福島第一原発の事故後になるが、猪瀬は副知事として、知事として、東電についてどういう発言をしてきたのか、そして、何をやってきたのかを検証したい。猪瀬辞任には、東電の存在が見え隠れするからだ。

 猪瀬は、東電の存在を揺るがすことをいくつか実行する。ひとつは、多摩川にある水力発電所の電力の売却先を、東京電力から新電力(特定規模電気事業者)のF―Powerに替えたことだ。2年間で13億円の増収になるが、東電側は反発して52億円の違約金を請求する。次は、都の施設の電力の供給先を、これも東電から新電力に替えている。当面は48施設だが、350施設、10万キロワットを目標にする。都施設の1割の供給量となる。

 都が自前の発電所を持ち、都の施設にPPSを通じて供給するため、100万キロワット級の天然ガス火力発電所計画を立案する。この計画は、圧力に負けて原案決定後の数ヶ月後に中止となっている。そして、東電の数多い子会社とそのまた子会社の実態を明かし、子会社との随意契約がはびこり、その反社会的な取引実態を暴露する。

 ここに示した都の施策は、結果として、電力会社の地域独占の弊害、送配電網を利用するための託送料金の軽減などに結びつく。電事連の会長(関電社長)は、発言している。地域独占、送配電の分離となると、原発は維持できないと。猪瀬がどこまで脱原発を真剣に考えていたかは知らない。でも、副知事として、都知事として、東電と遣り合ってきたことの行き着く先は、原発がなくても都民の生活は大丈夫だということの証明となっている。こんな猪瀬が都知事であっては、東京電力は困ったはずだ。

応援の後に残ったもの

 舛添が都知事となる。安倍に負けたということだ。候補者への一本化要請は、無理筋であることは承知していたが、声をあげることが重要で、これができたことを評価したい。そして、問題もいくつか浮上する。

 第一には、田母神が若者の支持で、60万を超える票を得たということだ。この人物にこれだけの支持者がいるということは、この国の病が深刻化していると理解する。そして、もう一つは宇都宮陣営の選挙の認識となる。「共産党の志位和夫委員長は10日、同党が推薦した宇都宮健児氏と党本部で会談し〈大健闘だ〉と総括した。宇都宮氏は〈元首相連合に勝った。達成感がある〉と伝えた」(日経2月10日)。「舛添・安倍に負けた」と総括できないのは、もうひとつの病といえる。

 私たちはこの選挙で再認識した。安倍の暴走により、旧来の保守勢力の分裂・分岐が始まっていることを。このチャンスを活かし、まともな人たちと連携することの大切さを。

 私たちは、輸出関連大企業の僕となるのを拒否し、戦争をする国を拒否する。そして、生命・環境を大切とする人たちとのネットワークを大切にする。このことは、目的ではなく、手段を第一とする政党・政治勢力を疑う対象とする。このままの体質を持ち続けるならば、その存在意義が問われることになる。そして、私たちには、そういう政党・政治勢力との付き合い方が問われている。私たちの未来は、私たちの具体的な行動にある。(つづく)

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