講演】東アジアの平和を!韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生を受けて/李泳采(イ・ヨンチェ)(恵泉女子学院大学教授)

  これからの30年間に向けて、韓国は第二の民主化運動の起点に立った。これからは政治民主化だけでなく財閥解体が課題となっています。サムスンを改革できるのかできないのか。できなければこの革命は失敗です。政治経済の両方を変えて新しい社会へ向かいたい。

南北交流再開と経済共同体化をめざし東アジアの平和建設へ

 しかしもうひとつ、韓国には「分断」の矛盾があります。文在寅大統領時代にどうやって北朝鮮の核ミサイル問題を解決し、南北首脳会談によってもう一度南北和解を成し遂げるのか。これにかける時だと思います。大統領選挙キャンペーンの時の公約があります。

「機会は平等に、過程は全て公正に、結果は正義になる社会を創る」
「韓国を、常識や正義が認められる国にする」
「国家は正直さを回復する」

サードミサイル配備反対のためソウルに集まった
地元星州住民代表2千人(レイバーネットより)

 朴槿恵前大統領は国民に何も言わないでサードミサイルシステム(北朝鮮に対抗する米軍のシステム)配置を決めました。日韓慰安婦問題も当事者に一言も言わないで政府間合意をしてしまいました。これに関して撤回するか、白紙に戻すか-日本ではそれしか興味がないようですが-問題は民主主義社会なので、最低限国民を説得する義務があるということなんです。

 場合によっては議会でこれを批准する義務がある。国会でこれを検証し、その結果、国民が反対であればその要望をつきつける。そのために私たちはこの政権を支持するのです。それはこの政権が1700万のキャンドルデモの上に成立している政権だからです。この政権が再び誤った行動に走れば、いつでも100万人が集まって抗議をする。そういう時代になったのです。

 安保政策については辺野古問題も含めて検討が必要ですが、米軍撤退の場合には「自主防衛」が問題になります。その時には国防費があがるという矛盾もありますが、韓国はまだ「戦時作戦統制権」(戦争などの有事に軍の作戦を指揮する権限)を持っていません。それを取り戻すためにも、自主国防に切り替えサードミサイルはやめる。そして朝鮮戦争の「停戦」体制を「平和」体制に切り替え、東アジアの平和構築をなんとかしたいという事です。

 そして南北関係については、北朝鮮と韓国は何があっても経済統合し、東アジアの新しい経済領域を作りたいと考えています。これをどういう風に具体化してゆくのかをいくつか見ていきます。

 2000年6月、金大中(キム・デジュン)大統領時代、そして2007年10月、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代に南北会談が行われました。経済交流が行われ、開城(ケソン)工業団地が拓かれ、鉄道がつながって、私たちはこの時代、統一が進むと思いました。しかしこれは挫折させられてしまいました。

 金大中さんの太陽政策は、和解を進め、交流することが目的だったのですが、盧武鉉さんの発想は違うところがありました。
 第2回目の南北首脳会談では経済を統合する案が検討されました。盧武鉉さんは38度線近くの開城地区だけでなく、いつも紛争地域となってきた地域を経済共同体にする、そして開城公団みたいなものをいくつも作る。南北の経済をリンクさせれば、政権が変わって戦争になっても南北は交流できる。例え保守政権になっても変わらないように、首脳会談を制度化してしまおうとしていたのですが、政権が交代して挫折させられてしまっている状態にあります。

天安艦事件と辺野古問題――韓国と沖縄はつながっている
沈没した天安(チョナン)艦

沈没した天安(チョナン)艦

 文在寅さんは挫折した盧武鉉さんの夢を再建して、何があってもこの夢を制度化したい。
 2010年3月26日、韓国の哨戒艇天安(チョナン)艦沈没事件が起こり、46名の若者が死にました。そのあと11月には延坪(ヨンピョン)島砲撃事件が起こり、まさに朝鮮半島は戦争寸前状態にまで陥りました。

 天安艦大事件の真相はいまだに不明なところもありますが、韓国ではこれは「北朝鮮の謀略だ」と言われます。この事件は実は日本と沖縄に非常に密接な関係があります。2010年3月、日本では政権交代で民主党鳩山内閣が誕生し、「普天間基地の県外移設に向けてがんばります」と事件の2日前まで言っていました。しかし事件が起こり、5月に「これは北朝鮮のしわざ」ということになると、首相は県外移設案の撤回を仲井真県知事に伝えました。これは日本の外務省の妨害もあったかも知れませんが、朝鮮半島の有事事態が沖縄の問題を決定したわけです。

 この事件がなんでこのタイミングで起こったのか。本当に「北朝鮮のしわざ」なのか。私は鳩山さんとラジオ番組で討論したことがあり、この件に関して聞きました。本当に北朝鮮の問題でやめたのか。沖縄の問題は朝鮮半島の問題とリンクされています。沖縄に海兵隊が駐留したこと、日米安全保障条約が結ばれたことも全部、朝鮮戦争が起きてからのことです。

次ページ:日・韓・沖縄をセットであつかう米軍

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