講演】東アジアの平和を!韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生を受けて/李泳采(イ・ヨンチェ)(恵泉女子学院大学教授)

 文在寅政権は「保守政権」といっても過言では無いほどの保守性があります。だから逆に、私たちは当選させた。運動側のイニシアティブをどこまでとるのか。これまではカリスマ性の無い人は大統領になれない時代でした。文在寅さんはカリスマ性がありません。韓国では「英雄の時代」は終わったわけです。しかし実は新しい「英雄」が登場しています。それは若い世代が「革命の世代」として育っていることです。彼らが運動を担っています。

共同経済開発計画によって切り拓く新しい時代

ドナルド・トランプ 韓国へのサードミサイル配備を巡って中国が反発しています。これについて解決の道はあるのでしょうか。北朝鮮のミサイルは文在寅さんが当選してからでも5回発射されています。これを誰が解決できるのか。解決方法はほとんどないのが現実です。

 それではトランプ政権は本当に北朝鮮を攻撃できるのか。常識的には出来ません。アメリカは戦後50年間、戦争シミュレーションをしてきましたが、何度やっても1時間の戦闘で200万人が死ぬという結果が出ています。今トランプのまわりには北朝鮮関係の専門家たちは誰もいません。だから逆に北朝鮮問題に興味はありません。何もしてないからカールビンソン空母部隊を送るだけです。

 中国はどうでしょうか。中国は北朝鮮を経済制裁で崩壊させると思いますか。中国はいま北朝鮮が核実験をしてくれることで、中国の問題が国際問題になっていません。北朝鮮の問題が中国を守っている状態です。だから北朝鮮を擁護しているわけです。

 経済制裁によって北朝鮮は内部崩壊するでしょうか。1990年にソ連・中国社会主義が崩壊し、94年に金日成が亡くなり、95年以後の3年間に飢饉で300万人が餓死した時、北朝鮮経済は全てが危機でした。しかしこれを乗り越えて金正日さんが登場しました。2011年、アメリカは金正日の死亡によって北朝鮮が倒れることを期待したら、金正恩が登場し、なんと6年目です。

 北朝鮮の方が世代交代は早いのです。こういう北朝鮮に対して誰が何をできるのか。核ミサイルで戦争になれば、被害者になるのはアメリカや中国ではなく韓国と日本です。私たちは運命共同体です。しかし、日韓が対立していたら、こういう場合にコントロールできません。

 韓国で考えられているひとつは「ロシアカード」です。プーチンに圧力をかけて、ロシアの天然ガスパイプを、北朝鮮を経由して韓国まで通すという国家政策を文在寅さんは考えています。このような「交換条件」を付けないと北朝鮮はミサイルを放棄しません。天然ガスパイプが通り、鉄道がつながると、韓国の若者に雇用が生まれ、これがヨーロッパまでつながる大きな展開となっていきます。

 文在寅さんはこの計画案によってトランプを説得できると思っています。彼はビジネスマンだから、「敵対政策ではお金にならないからパイプラインに投資したらどうか」という話にもしかしたら乗ってくるかもしれない。これまで中国・アメリカが「運転席」(外交の当事者の位置)にいたのを、「私たちが運転席に座るから」という方針です。
 文在寅さんは「韓国は当事者だ」と言っているのですが、それには私は違和感があります。「日本と韓国が当事者だ」と言っていただきたい。

戦争があってもゆるがない南北和解システムをめざそう

 ロシアを媒介にしてドラスティックに状況が変わり、米韓会談、米朝会談、南北首脳会談が行われた時、日本だけがバスに乗り遅れるということは無いだろうか。危機感を高めることはいいのですが、情勢が変わった時に日本が東アジアでイニシアティブをとれるような、もうひとつの戦略を準備しておかないといけない。

 新たな南北共同体による経済発展、これを文在寅さんはなんとか自分の任期のあいだにやりたい。韓国はサードミサイル配備によって中国から経済制裁を受けて痛い目に遭いました。だからいま、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長を東南アジアに送りました。ソウルと東南アジアの全ての国々が連係しています。東南アジアをつなげて新しい経済圏、南北経済共同体を作り、戦争があってもゆるがないような南北和解システムを作らないと、戦争にならざるを得ない。

 文在寅さんのこの構想に日本としてはどう対応してゆくべきなのか。「反日」「親北朝鮮」というフレームだけで危機を煽って韓国文在寅政権を潰してゆくべきなのか、このフレームから抜け出して、私たちがもうひとつの対話路線を作るべきなのか。

 北朝鮮の核ミサイルのためではなく、東アジアの未来のために互いに東アジアの一員として位置づけ合う。メディア、政策の問題もありますが、実は北朝鮮問題は私たちのこころの中にある「植民地」認識、また私たちの「優越感」、北朝鮮を斜めに見る「偏見」に問題があるのではないでしょうか。

東アジアの民衆の団結した闘いの中に沖縄があり辺野古がある

 韓国の民衆が国に期待せずに起ち上がった時期がありました。日清戦争で日本と清が朝鮮半島に介入した当時、朝鮮の大韓帝国は無能力でした。そこで民衆が起ち上がった。「東学の乱」は日本帝国主義によって虐殺され、つぶされました。1919年、植民地時代に3・1万歳デモが起きました。それは平和的な非暴力運動デモでしたが見事につぶされました。

次ページ:戦争か平和か、アジアの道を決めるのは日本

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10月
27
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
10月 27 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
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12月
3
19:00 元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
12月 3 @ 19:00 – 21:00
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」/神戸 @ 元町映画館 | 神戸市 | 兵庫県 | 日本
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会 「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」 ■ 日 時:2018年12月3日(月)19:00~21:00(開場18:30) ■ 会 場:元町映画館2Fイベントルーム  〒650-0022神戸市中央区元町通4丁目1-12  https://www.motoei.com/access.html ■ 講 師 井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員) ■ 参加費:1000円   ※お申込みなしでどなたでもご参加できますが人数把握のためご連絡くださればありがたいです。  メール:civilesocietyforum@gmail.com まで。 ■ 主 催:市民社会フォーラム  http://shiminshakai.net/post/4784 ■ ご案内  安倍首相は9月3日、防衛省の自衛隊高級幹部会同での訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法に自衛隊の存在を明記する改正に取り組む考えを改めて示しました。  10月から12月まで開会予定の通常国会でも、安倍首相は憲法改正の自民党案を提出し、早期の発議を目指す方針を明らかにしています。  はたして、自衛隊を憲法9条に明記すれば、日本の平和を保障することになるのか? 9条を現実に合わせて現状追認するだけのことなのでしょうか?  そして、有事があれば命がけで日本を守る自衛官たちも、憲法に自衛隊を明記することを望んでいるのでしょうか?  元自衛官の井筒高雄さんに、改憲発議がされようとする今、自衛隊を憲法に明記することの問題点についてお話しいただきます。 井筒高雄(いづつたかお)さん 1969年、東京都生まれ。 88年、陸上自衛隊第31普通科連隊に入隊。91年にレンジャー隊員に。 92年にPKO協力法が成立すると、武器を持っての海外派遣は容認できないとして翌93年に依願退職。 大阪経済法科大学卒業後、2002年から兵庫県加古川市議を2期務める。 元自衛官の立場から戦争のリアル、コスト、PTSD などリスクを 伝える講演活動を行う。 現在、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFP) 共同代表。 共著に『安保法制の落とし穴』(ビジネス社)、単著に『自衛隊はみんなを愛している』(青志社)など

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