特集】種子法廃止で多国籍企業の手に堕ちた…日本の食と農の未来は?

モンサントの種子ビジネス 日本政府は今国会に主要農産物種子法、いわゆる種子法の廃止法案を提出、可決成立する。種子法はコメ、麦、大豆という人びとの食生活に欠かせない重要農作物の種子を都道府県を軸に公的に育成管理することを定めた法律だが、廃止法案によって、種子市場は内外の資本に解放されることになる。
 この背景にあるのは、世界的な農業と食をめぐる資本の再編成だ。今、世界の種子市場の60%は三社に握られる種子独占体制がつくられつつある。種子を握るものが農業と食料を握るといわれている。世界の農と食は多国籍アグリビジネスの手中に完全にとらえられた。今回の種子法廃止は日本におけるその受け皿づくりとみてよい。(大野和興)

【目次】
● 急速に進む農薬・種子業界の買収と合併劇(PAGE1
● 各国で広がる寡占への懸念
 ・シンジェンタ買収は「前進」?
 ・米国 議会で広がる寡占への懸念   (PAGE2
 ・カナダでも警告のレポート
 ・EU委員会は寡占に厳しい姿勢
 ・モンサントはバイエルが買収か
● 【参考】関東/東北わが国の事例から  (PAGE3
  多国籍企業の種子支配に対抗―「種の交換会」
● 【参考】インド綿花生産者の自殺とモンサントの戦略


急速に進む農薬・種子業界の買収と合併劇
2013_世界の種子企業占有率
 上図は2013年現在における世界の種子・農薬市場の企業による占有率をみたものである。この中で2015年12月、4位のダウ・ケミカルと2位のデュポンが対等合併して「ダウ・デュポン」となることが発表された。さらに2016年2月には、中国化工集団(ChemChina)がシンジェンタの買収を発表した。同年9月には、バイエルが遺伝子組み換え種子の最大手で種子分野で世界一のシェアを持つモンサントを買収することを提案、モンサントが受託した。EU委員会は今年3月27日、ダウとデュポンの合併を条件付で承認した。

 こうした資本の寡占化の動きに対し、農業団体や環境・食糧農業問題を扱うNGOなどは反発している。今年3月27日、大地の友・欧州、グレイン、グリーンピース・欧州、農薬行動ネットワーク・欧州、国際有機農業運動連盟・欧州など、欧州の200余りの農業団体やNGOがEU委員会ユンカー委員長に、3つの農薬・種子企業の合併と買収を認めないように求める連名の公開状を送った。

 公開状は、合併・買収による3つの企業で世界の農薬の7割、商業的な種子の6割をコントロールすることになり、農業と食物システムに対して過度な支配力を持つことになると指摘。また、品種の多様性を減らし、農民の選択の自由と権利を害し農薬への依存を増やすこと、食糧主権への侵害、途上国での飢餓撲滅への打撃であるとも指摘している。

各国で広がる寡占への懸念
2016_農業・種子資本の再編
● シンジェンタ買収は「前進」?

 農薬と遺伝子組み換え種子大手のシンジェンタ(スイス)は8月22日、中国化工集団公司による買収に関し、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)から認可を受けたと発表した。
 対米外国投資委員会とは、米国の国家安全保障の観点から、国内資本の買収案件を審査する米国財務省の下部機関。2月に明らかになったシンジェンタの買収は、中国化工集団公司が430億ドルで買収し傘下に収めるもので、EUなどの関係各国の独占禁止機関の審査を受けている。シンジェンタは発表で、買収は年内に完了すると楽観的な見通しを述べている。

次ページ→『米国:議会でも広まる寡占への懸念』

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