連載】都知事選挙の意味するもの ―「細川勝手連」事務局長を担って(2)

第二回 細川・小泉の発言を信じるか

布施哲也(前清瀬市議会議員)

悔い改める人を信じたい細川勝手連

 元首相の細川護熙氏が、都知事選に立候補するのではないかと聞こえてきたが、とても信じられなかった。昨今の日本の首相は、属国の提督ほどの権力しかないが、それでも、第一の権力者といえばやはり首相となる。その権力の頂点を極めた人物が、都知事選に立候補するという。信じられなかったことはもうひとつある。立候補の目的が、原発ゼロ・再稼働阻止を掲げ、国の原発政策を改めさせるためだという。小泉純一郎氏が、脱原発をはっきり主張していることは承知していたが、その小泉氏が全面的に応援するとも聞く。この立候補の目的の二つに驚かされた。
 
 原発は、細川・小泉両氏の指摘を待つまでもなく、その他のことが成就されようとも、それらをすべて覆してしまう。高齢の文化人が、細川候補の応援にかけつけたが、想像力の問題となる。安倍の原発推進が、先の戦争に至る道を彷彿とさせるからだ。戦争をしてはならない、原発を稼働させてはならないという目的のため、それにいたる手段こそ、一緒にしなければという危機意識からだ。

 細川と小泉の両氏は、街頭演説で「首相として原発を推進したことは間違いだった」と、明確に発言した。間違いを指摘されて、言い繕うことはあっても、自分の非を認める人はまずいない。両氏の原発ゼロ発言を、本心は別なのだと、批判する人がいるが、二人の言葉を信じたい。核の平和利用=原発を認めていたのに、いつの間にか、自分は昔から脱原発だったと主張する方もいるが、やはり、悔い改めたという人の言葉は重い。

小泉の原発ゼロを問う

 誰が言い出したかは知らないが、「新自由主義者だって反原発」という言葉がある。都知事選は、このことにどう対峙するかの違いが、選挙の関わり方の違いとなって現れた。新自由主義が意味するものを肯定する方は、特に問題はないだろうが、否定する立場ではかなり意識してしまう。

 細川氏が新自由主義を信奉しているとは思わないが、彼の公約のなかに「経済特区の活用」があり、このことを捉えて非難をする。公約の特区が、安部内閣の「国家戦略特別区域」そのものであるならば、それは、TPPの地域限定版だとの指摘となる。これまで反・脱原発運動を担ってきたと自負する人たちの多くは、とても肯定できないはずだ。
世界唯一の高レベル放射性廃棄物最終処分場オンカロ(100年後の完成を目指して現在建設中)
 でも、どんな選挙でもおなじだが、自分と百%おなじ考えを持つ候補者なんていないし、相対的なものだろう。揚げ足とまではいわないが、この公約を取り上げて、「だから細川はだめなんだ」と、非難してもはじまらない。やはり、東京から原発ゼロ、再稼動の阻止は大きい。この実現の延長線上にこそ、新自由主義に対峙すると信じたい。

 一方の小泉氏の脱原発の考えは、彼が口にするオンカロ視察がある。核廃棄物の処分場であるフィンランドのオンカロのことは、毎日新聞の「風知草・小泉純一郎の〈原発ゼロ〉」が詳しく報道している。
 「……三菱重工業、東芝、日立製作所の原発担当幹部とゼネコン幹部、計五人が同行した。道中、ある社の幹部が小泉にささやいた。〈あなたは影響力がある。考えを変えて我々の味方になってくれませんか〉小泉が答えた。〈オレの今までの人生経験から言うとね、重要な問題ってのは、一〇人いて三人が賛成すれば、二人は反対で、後の五人は『どっちでもいい』というようなケースが多いんだよ〉……〈一〇万年だよ。三〇〇年後に考える(見直す)っていうんだけど、みんな死んでるよ。日本の場合、そもそも捨て場所がない。原発ゼロしかないよ〉今すぐゼロは暴論という声が優勢ですが。〈逆だよ、逆。今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ〉野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。あとは知恵者が知恵を出す……」(毎日新聞・八月二六日)

公共選択論と反原発

『日本再生最終勧告』(ビジネス社)
 世界でここ一ヵ所しかない最終処分場のオンカロは、二〇二〇年に利用がはじまる。想像力の問題なのだが、視察は二〇一三年の八月だと聞くが、この年の三月には、『日本再生最終勧告』(ビジネス社)が出版されている。加藤寛氏の著だが、氏は小泉氏の師であり、構造改革や郵政民営化のブレーンだ。小泉原発ゼロの原点はここにある。

 本書によれば、原発は経済合理主義に反するため、政治が決断しなければという考えだ。公共選択論からその答えを導き出しているが、それは、政治家、官僚、企業家の目的は、利己的利益を最大限追求する、ということが前提となる。一方、原発の建設・維持は民間企業が担うのだが、それは、カネを生み出す社会的な規制と、膨大な国家予算をつぎ込むことでしか成立しない。

 脱原発論が公共選択論からも導き出されることは否定しないが、その公共選択論が、原発推進の後押しをしてきたという事実は消えない。この論は、三者の利己的利益の追求を当然視して、原発から得る利益も容認してきた。でも、自己利益を最大限追求するという前提が成立するとは限らないし、ここから導きだされる「小さな政府」についての批判もある。原発は生みの親とまでは言わないが、その発育を助けたものに、三行半を突きつけられている。問題は前提ではなく、原発そのものへの考え方となるだろう。

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↑フィンランド「オンカロ」建設のドキュメンタリー映画『100000年後の安全』

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