米国「軍産複合体」のおそるべき戦後世界史(下)/関西M

前号よりの続き
 戦争は人類最大の罪とは言いながら、なぜ世界からその火種が尽きないのか?。それは戦争が誰かの活動によって引き起こされる極めて人為の物だからだ。つまりは、彼ら戦争を仕掛ける戦争屋―死の商人たち。彼らの根強い経済的希求から起こされる物が大半だからだ。ベトナムもイラクもアフガンも。
 戦争は、それを願望する米国・軍産複合体による虚構から始まっている。世界から締め出されつつある米国覇権の最後の最前線…極東暴発の引き金は日本発になる危険が近づいている。(関西M)

軍事経済の「成功体験」に味をしめた米国支配層

 為政者にとって「軍事経済」こそ、構造不況を解決する最大の特効薬であった。軍需物資は、売れ残りのリスクも無ければCMも不要。調達と称して「国家」が言い値で買う。適度に戦争が長引く限り大量の国家的注文は続く。
       
 40年代前半米国大衆に、野蛮なジャップとナチスを撲滅せよと敵愾心に裏打ちされた熱狂的愛国心が渦と巻いた。大衆娯楽の人気者が戦費調達宣伝をハリウッドと連動し訴えた。映画では、気づかぬようフィルムの一瞬に戦意高揚のサブリミナル映像を流した。瞬く間に税金が徴収でき、巨額の戦費も非常時国債で可能となった。第2次大戦と、それに続く朝鮮戦争で、米国は全てにおいて未曽有の成功体験を収めたのだ。

■世界何千万もの民衆の命と流血の中にどす黒い倒錯的な味をしめる

 米国資本主義は大不況を解決し、世界覇権をかつての宗主国英国から引き継ぎ「国際連合」の旗の下、戦後世界の盟主となった。
第一次大戦での米兵
 戦争漬けの歴史だった米国ではあるが、30年代までは比較的軽武装の国であった 。驚く事にその軍事支出は当時GNP1%を下回っていたのだ。戦後日本がそうであったように、他の帝国主義国家と比較し軍事費負担が格段に軽かったことが米国の大衆経済を分厚く多様にし、巨大な潜在能力を育んだ。第一次大戦の実写映画における米兵の、鉄兜さえ扁平で締まらないフェルト主体の戦闘服の彼らを見れば判る。

第二次大戦では苦戦した米国 第2次大戦では、米軍は旧式の軍用機・戦艦などの軍事体制で、緒戦で日独に苦戦を強いられた。ここから米国の産官学一体となった戦争推進体系が高速で動き出す。
 この苦い経験から米国の支配層は、米国覇権を認めない中ソ<共産陣営、民族主義 ・左翼勢力>など全てを封じ込めるために戦時動員体制を解かず、世界中に軍事基地を張り巡らす。
 GNP軍事費の割合は 7%程度(60~80年平均)と跳ね上がり、耐久工業財生産総額にしめる国防総省調達分の比率ではなんと15-20%程と戦争発動のため、戦火を拡げるための総動員経済たる悪循環の(戦争勢力にとっては好ましい)国営企業的仕組みの末に現在の体制となった。

世界は核の「怪物」に怯え、怪物の「核」に晒される

 資本主義での圧倒的な力による恒久安定こそ米国支配層と多国籍企業たる大企業の最大の目標となった。
 陸海空軍では、1発で第2次大戦に投入されたあらゆる火力の7~10倍もの破壊力をもつ水爆(20メガトンで)の開発に狂奔し、それをどう世界に堂々とあるいは裏密約で有効配備するかに熱中した。

 なにしろ核兵器は、超お得!だ。核弾頭1発あたり当時の換算でわずか400万ドル。割安で、しかもわずかな兵員スタッフで運用制御が出来る。
 核物質のゴミは大量に出るが、そんなモノ、極東の日本に押し付けて平和の火だ、「原子力発電」だと適当にノシを付ければ日本最大の新聞社主らが何とかするだろう。そんな戦略が当初からあったのかは、今後の検証で明らかになろうが、60年代には最大で3万発。これまで総計で7万発もの水爆弾頭を彼らは造った。
 この地球上で、あの悪夢の第2次大戦での爆風が7万回も繰り返される計算だ。これは「狂気」の所業だ。 

冷戦体制下、軍事部門は莫大な雇用を生みだした
ロッキードF35戦闘機

 米国の雇用は90年代初頭で軍需産業部門(海軍造船所など国営軍需工廠を除<民問部門>に約300万人、国防総省雇用の軍事要員310万人の総計で600万人以上だ。
 そして軍需や軍事関連雇用は 特定地域に集中する傾向があり、地域経済を支える生命線となる。
          
 冗談ではなく、軍需産業こそもっとも労働組合の組織率が高く、独占的取引の恩典をいかし、他の平均より3割ほど高い賃金が「冷戦勝利のための経費」として彼らを優遇した。その職場は、男女差や人種間問題もむしろ少ない「理想の環境だ」と米国労組幹部は胸をはる。
 だから過疎地域や、中西部の旧工業地帯など遅れた米国地域ほど、熱狂的に戦争政策を支持する。それはライフルや銃にしがみつく頑固な草の根保守層と見事に重なる。  

すすむ戦争の「民営化」
PMCの社員

PMCの社員

 軍産複合体の膨張の末に、軍事の外注化・民営化も急速に広まっている。
 「民間軍事企業(PMC-Private Military Companies)」は、戦闘作戦、戦略計画 作戦支援、教練など戦争と深く関連する専門的業務を売る営利組織のことで、イラクに入ったPMC社員は各社あわせて約2万人。これはどこの国の駐留外国軍にも匹敵しうる脅威だ。

■日本経済を米軍産複合体と合体させようとする安倍政権

 世界に拡大するこの米国軍産複合体こそ、戦争を引き起こす主因だ。
 武器輸出禁止三原則の廃止など最近日本の軍事での動きは軍産複合体による戦争民営化を一層促進する。
 世界的な米軍再編の下で日米軍事一体行動が日米「軍産複合体」形成に間もなくつながろうとしている。ミサイル防衛(MD)構想での日米協力がそれであり、すでに日本企業の工場内に日米合弁会社を設立することが検討されていると識者は警告する。
 一連の安倍日本政府の「自衛隊を世界に雄飛させる」企ては、米国軍産複合体「死と恐怖の総合商社」からの一つの命令を受けてのモノに過ぎない。<完>

補)「MIC」極東拠点としての日本
  ~暗躍する<日米合同委員会>の正体
治外法権の象徴・横田基地(平壌への直行便もあると言われる)

治外法権の象徴・横田基地
平壌へも直行便があるとも

 はたして日本は主権を持った独立国なのか?。
 日本の空域の7割の制空権は、米国支配下にある。「横田幕府」と称される米軍横田基地―座間―横須賀など日本の首都を覆う全てが米軍管理下にある。その空域から米軍関係者やCIAは、日本と言うMIC極東拠点に気ままに出入りする。

 日本の裏玄関こそ横田基地だ。米軍関係者は横田か横須賀に専用機でやって来て、都心へヘリで移動。青山公園六本木ヘリポートに降り日米合同委員会の常設される「ニュー山王米軍センター」(米軍専用ホテル会議場)に着く。

堂々と都心にあるニュー山王米軍センター

堂々と都心にあるニュー山王米軍センター

 外国軍隊が駐留している国は独立国ではない。ゆえに占領日本のこれが真の姿だ。国会と首相官邸のすぐ近くから、彼らは自由に日本政府中枢に許可なく踏み込む。

 1973年作成の外務省「日米地位協定の考え方」なる文書には、これら米軍に治外法権的特権を与える根拠となる文書が存在する。この米国の圧倒的パワーの存在に気付く日本人は、政治家といえど少ない。報道も避けている。

■日米合同委員会の顔ぶれ

 日米合同委員会協議は、月2回秘密の会合として(ニュー山王ホテルで1回、外務省が設定した場所で1回)行われる。
 実施項目は主として日米合同委員会合意で規定される。詳細は「『日米合同委員会』の研究 – 謎の権力構造の正体に迫る」(吉田敏浩著、創元社、2016年)に詳しい。

 アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官チャールズ G シュローティ少将以下、在日米軍司令部第5部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長と大使館公使からなる。
 日本側代表は外務省北米局長、法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米参事官、財務省大臣官房審議官からなり、その下に10省庁の代表から25委員会が作られている。

 日本の全ての官僚組織が、事実上この日米合同委員会に直属統括されていると言って過言ではない。日本国憲法よりも日本国内閣決定よりも上位にある支配構造の骨格なのだ。



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