映画紹介】アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』

アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』


■初代「連帯」労組委員長とその家族を通して描くポーランド労働者の闘い

 ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督が、ノーベル平和賞受賞者のレフ・ワレサ元大統領を描いた長編作。ソ連を中心とする東ヨーロッパ諸国が次々と倒れた東欧民主化革命から25年。その口火となった、ポーランドのグダンスクにおける、スターリン主義国家で初の自主管理労組「連帯」の闘いを、その初代委員長レフ・ワレサと家族の日々を通して描く。

■ストーリー(以下、公式サイトより)

アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』 1980年代初頭、グダンスクのレーニン造船所で電気工として働くレフ・ワレサの家に、イタリアから著名な女性ジャーナリスト、オリアナ・ファラチが取材に訪れたところから映画は始まる。
 ワレサは彼女に、1970年12月に起こった食料暴動の悲劇から語りだす。当時、物価高騰に対する労働者たちの抗議行動を政府が武力で鎮圧する事件が起こった。両者に冷静になるよう呼びかけていたワレサは検挙され、公安局に協力するという誓約書に署名を強いられる。家族とともに質素な生活を送っていたワレサだったが、この事件以降、一家は歴史的な転換期に深くかかわることになる。ワレサ自身も次第に政治的感性を発揮し、リーダーとしての自覚も芽生えていく。そして80年8月、レーニン造船所のストライキ指導部のトップに立ったワレサは、「連帯」委員長として自由と権利のために戦う反体制の象徴になっていく。

 1970年から1980年代のポーランドをはじめとする東ヨーロッパの国々は、ソ連邦の傘下、検閲や思想統制など社会的に束縛され、極めて厳しい状況にあった。その体制に対して、人々が自由のために闘い、未来のために議論し、力を合わせて抗したことを、ワイダ監督は映画に記して、後の世代に残そうとした。
 ワイダ監督はワレサに敬意をこめながらも、彼を英雄としては描いていない。気高く、家族思いであるとともに、ユーモアがあり、弱くて傲慢でもある複雑な性格を持つ人物として描いている。また彼の英雄的行動の背景には妻ダヌタの存在があったことを、とりわけ大切に描いている。そこにはワイダ監督夫妻の体験も重ねているようだ。



■『大理石の男』『鉄の男』から30年を経て、
 ワイダ監督が最新作に込めたライフワークともいえるテーマ


われさ 2016年に90歳になるワイダ監督は、『地下水道』(56)、『灰とダイヤモンド』(58)など、第二次世界大戦におけるポーランドの苦難の歴史を描くほかに、『大理石の男』(76)、『鉄の男』(81)など、グダンスク・レーニン造船所の労働者をテーマに、戦後ポーランドの大きな転回点となった時代を描いてきた。 本作は、これら2作から約30年を経て、三度、同じテーマに取り組んだ彼のライフワークともいえる。

 撮影は35ミリと16ミリのカメラを併用し、当時撮影された膨大な記録映像に質感を合わせ、実写映像と見事に結合させた。音楽も大きな効果をあげている。80年代のロックミュージックを全編使用し、時代の高まりをリアルに生き生きと表している。また「鉄の男」から、ビラ配りのシーンや政労合意の調印がされた後の人気のない会場の情景を挿入し、過去の2作品との連続性を暗示させている。

コモンズ第70号の目次へ戻る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. 安倍米議会で従属宣言

    2017-6-21

    【投稿】韓国・中国民衆と連帯し、侵略の歴史を根本から変えよう/村山和弘

季刊「変革のアソシエ」No.32

最近の記事

  1. 三里塚空港管制塔占拠40周年集会
    ■ 編集後記  3月25日、三里塚空港管制塔占拠40周年集会に参加してきた。300名を超える盛況で…
  2. 櫻井よし子「気高く美しくあれ(笑)
    植村氏弁護団、法廷で追求 櫻井言説の嘘まみれに「断」!  ネトウヨアイドル・櫻井よしこ氏の嘘がばれ…
  3. 『香害110番―香りの洪水が体を蝕む』/日本消費者連盟
    人体も社会もむしばむ新しい公害「香害」  新しい公害として深刻な影響を生んでいる問題に香害があ…
  4. 労働学校アソシエ 学働館・関生
     社会変革を期し、働きながら「知」の獲得を目指す若者に向けた魅力の講座の数々。4月7日から第2期に入…
  5. 競争と分断の共進化から連帯と協同の共進化へ シリーズ連載(4) ― 関西生コンの社会闘争が切り開い…

職場・労働相談はこちら(外部リンク)


連帯労組の闘い ↑ 映画「フツーの仕事がしたい」より 労働相談は連帯ユニオン

特集(新着順)

  1. 櫻井よし子「気高く美しくあれ(笑)

    2018-4-30

    ネトウヨアイドル・櫻井よしこ氏の嘘まみれ言説に断 朝日の慰安婦記事への「捏造」攻撃が捏造だったと嘘を認める

  2. March_For_Our_Lives 命のための行進

    2018-4-26

    銃乱射事件から一ヶ月 全米で百万人が「命のための行進」

  3. 韓国キャンドル革命

    2018-4-23

    朝鮮半島と東アジア ― 現在そしてこれからをどうみるか

  4. 中朝韓米首脳写真

    2018-4-22

    南北朝鮮首脳会談開催へ – 動き出した朝鮮半島の平和プロセス

  5. 官邸前行動レポート写真1

    2018-4-18

    青年たちは今(3)官邸前行動レポート/高屋直樹(直接行動)

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る