青年たちは今(2)名護市長選・左派こそ自己改革を/中田省二

 春霞のただよう季節となりました。こんにちは、中田省二です。
 沖縄県の名護市で行われた市長選では、自民・公明・維新推薦の渡具知氏が当選しました。

「目先の利権に転ぶ若者」と左派知識人が言い放った

辺野古ゲート前 私は怒っています。選挙結果に怒っているわけではありません。今回の選挙結果では、10代から30代までの半分以上が渡具知氏に投票したことを左派がないがしろにしているから怒っています。某左派系著名人は、大した知識のない若者に選挙権を与えたことが誤りだと言い放ちました。他にも左派系運動家は、若者が目先の利権に転がされたと言いました。

 私は怒っています。二度も書くくらいですから、よっぽど怒っています。自身の支援する候補者に投票しなければ、「知識がない」と若者を中傷し、金権政治を行う自民党に投票した若者を目先の利権に飛びついたとあざ笑う。こういった他者の主体性を不躾に扱う正義漢どもには、もうこりごりです。「目先の利益の何が悪いんや」と喉元までこみ上げてきて、このように書いてしまいました。目先の利益は語れないけど、遠い未来については語れると主張するほうがよっぽど胡散臭くないですか?

 「知識がない若者」や「目先の利権に転ぶ若者」と暴論を唱える左派の一部は、主体性を喪失した無責任な人間と呼べないでしょうか。なぜなら、彼らは若者を獲得できなかった原因を自身の中から見つけ出さないからです。こういった外部に責任を転嫁する論理はよくあります。方針と戦略のミスを棚上げにして、部下の能力不足と詰るパワハラなんて、それで成り立っているようなものです。他にも「すべては安倍政権と国家権力の妨害」論から「不正選挙」論まで「外部に責任転嫁」コーナーの陳列棚はいっぱいです。

敗北は、主体的に担った人々、左派全体で引き受けるべきだ

名護の海底(埋め立て予定地)

名護の海底(埋め立て予定地)

 私は年長者に虐められるタイプの若人なので、こういった理不尽な言いがかり(あえて意味を反復させました。)にはほとほと我慢ができません。先の議論を続けると、「若者に知識がない」と発言した左派著名人は、高校教諭に言われた通りに10代は投票したと例えました。では、この著名人の方にはその高校教諭たちを組織化することが出来なかったことへの反省があるのでしょうか。

 今回は、自民党側が「知識がない」若者の心を掴む術に反対派よりも長けていたに過ぎません。ようするに今回はそういう選挙への真心で負けたのです。選挙結果を眺める限り、凄まじい大差と言うわけではありませんから論理の穴は多少ありましょうが、基本的に私は選挙の技術論の敗北だと考えています。「愛することも天性のものでなく、一定の技術」と偉大な社会心理学者のエーリッヒ・フロム先生も仰いましたように、大概は技術論の話です。

 選挙や運動の敗北は、主体的に担った人々、そして、左派全体で引き受けるべきです。もちろん、責任の比重はありますが、「おっしゃ、やったるぞ!」と思ったのであれば、その人にもその人なりの責任があります。別段、「責任」というのは悪いものではありません、悪しからず。

人々の生活基盤に根差して「日々のお米の話題」が重要だ

稲嶺名護市長 次に「総括」をどうしたらいいのかという議論に移ります。
 ここからは、今回の選挙に関して述べさして頂きます。私は、「反原発」、「沖縄基地移転反対」、「反ヘイトスピーチ」、「憲法九条改憲反対」、「反安倍政権」という訴えのみでは、人々の生活基盤に根差していくには抽象的レベルが高いと考えております。例えば、「俺の飯は豪華になるの?」という無党派層の問いに対し、私は反原発で回答できません。「それは議論の内容が違うから」と回答するのは無意味です。この国の多くは無党派層ですから、全員が関係する「日々のお米の話題」は重要です。従って、これらの話題と選挙戦略を兼ねますと、支持者や参加者が一発で「豪華にできる」と回答できる分かりやすいスローガンが必要なのではないでしょうか。

 そこで公的支出の拡大や労働者集団の復権及び強化といった旧来の左派的スローガンです。某政党が発表し撤回した公務員の給与カットなど論外であり、ポピュリズム・人民主義に対して、俄然やる気にならないといけません。
 ご高齢の方は、何をいまさらと感じるかもしれません。しかし、あくまで私の認識ですが、「左翼は憲法9条と基地問題に関心はあるけれど、経済的な発言をしない」と一般の人々に認識されています。私は左翼の友達は少ないですが、一般の友達は多いほうですので信憑性があると自分では思います。

左派性・革新性の肝は現在とは異なった未来を提案していく姿勢にある

名護署「仲間を返せ」 私はずっと同じことを主張するのが得意です。なので、今回も例外なく毎度お馴染みの主張をします。既存の反対の行動は、革新、言い換えれば社会建設のための一手段として投じているようにはみえません。憲法9条改憲反対行動の一つとってもそうですが、般若心境の四文字と互角に張り合うのではないかと疑うほど、聞き慣れてしまって革新性を感じません。

 そもそも、革新とはなんでしょう。革新とは既存の制度や常識を変えることを、新しくすることを意味します。既に今回の沖縄県の名護市市長選では、60代以上の半分以上が稲嶺氏に投票しているのに対し、10代から30代の「知識がない若者」では逆転現象が起きています。この結果から導き出せるのは、保守派は左派になっているという事実です。失礼な言葉を使わせて頂きますと、死なない高齢者はいないので保守化してしまうと負けてしまいます。今回の選挙結果から、意味不明な自民党の改憲案のほうが革新に映っているのです。革新性の肝とは、意味不明な案であろうと現在とは異なった未来を提案していく姿勢にあります。

 大昔、宇宙飛行士が月面に着陸した時、子供たちは空に夢を抱いた。有色人種がアメリカの大統領になった時、社会の進歩であると大衆は熱狂した。革新の根幹には、これと同様に明日への創造性があるのです。私たちは日進月歩ではあるけれど、人類社会を進展させていることに胸を高鳴らせるのです。

変わらなければならないのは左派自身ではないか

11・27 高江・辺野古の新基地建設断念せよ!新宿デモ 「目先の利益」にも立ち向かえる経済左派としての復活は、「構造改革派や資本主義の庇護者」と揶揄されてしまうかもしれません。しかし、ユートピアへの理想だけではお腹がふくれません。よく議論される市民社会の登場人物は、労働者が大半です。彼らの財布が空っぽだと、論じる市民社会も成り立ちません。

 今後の「知識がない若者」の獲得には、左派全体の責任意識と明日につながる総括、そして経済左派として確立がカギなのではないかと考えています。
 最後に、変わらなければならないのは、安倍政権でなく、まず自分自身です。左派全体での意識的変革を求めます。



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