青年たちは今(3)官邸前行動レポート/高屋直樹(直接行動)

官邸前行動レポート直接行動(DA)高屋直樹
官邸前行動レポート写真1森友学園の全貌解明と関係者の責任追及を行い
民衆の力で安倍政権を退陣させよう。

エスカレートしている警察の規制

官邸前行動レポート3写真 森友学園問題をめぐる官邸前の抗議行動が続いている。呼びかけたのは2015年の安保法制反対運動の過程で登場したSEALDsや、共謀罪反対でこの間官邸前や国会前で運動を展開してきた「未来のための公共」ら学生有志だ。現場では、他の反原発運動などでよく見かける人ももちろん多く見かけるが、思いの外若い参加者や、初めてこういった抗議行動に参加したであろう、ぎこちない動きの参加者が目立った。

 安保法制をめぐる国会前の行動の際と比べるまでもなく、警察の規制は格段にエスカレートしてきている。
官邸前行動レポート2 国会議事堂前駅の構内では、出口から参加者を出さないように鉄柵と警察官による無茶苦茶な規制が行われた この間の官邸前行動でも日に日に警備の厳しさは増すばかりだ。ロープや鉄棒で固定した鉄柵を何重にも路上に設置し、コーンとポールで括られたエリア(警察が言うところの「参加者ブース」)の外で少しでも滞留すると執拗に怒鳴られ、見えないところで小突かれたりもする。官邸前に一番近い国会議事堂前駅の構内では、駅から参加者を出さないように鉄柵と警察官で出口を封鎖するという無茶苦茶な規制が行われた。
 3月16日(金)の官邸前行動では2名の逮捕者や多くの怪我人が出た。

「路上決壊」を恐れる警察権力との攻防

官邸前行動レポート4 ここには安保法制制定阻止運動の過程でつくりあげた「路上決壊」という絵を彼らがどれほど恐れているのかが可視化されている。一方、参加者の側も繰り返し決壊を目指し、自然発生的な規制線の突破や警察への抗議がポツポツと出てくるようになっている。

 様々な現場や抗議現場を経験してきたであろう活動家たちは、やはり決壊を目指してそれぞれ試行錯誤している。たとえば国会議事堂前駅が封鎖されているため、付近の別の駅でタクシーに乗り換え、官邸前で降ろしてもらうという戦術がSNSで拡散された。実際にこの戦略が功を奏したのかどうかはわからないが、それぞれが懸命に警察の規制をくぐり抜けようとする努力が行われていた。30日にはようやく歩道を全面決壊させるに至ったが、事態の深刻さを鑑みれば、やはり規模が小さすぎると言わざるを得ない。

解放感に満ち溢れた韓国の運動の姿を思い起こす

ソウル キャンドル革命 今回の騒動で明らかになった政治の私物化や様々な隠蔽工作を見るにつけ、韓国の運動の姿が思い起こされる。韓国ではチェスンシルゲート事件が明るみになって以降、数ヶ月に渡って大規模なデモや集会が頻発し、そしてそれらが様々な労働現場や学園の闘いと組み合わさることによって朴槿恵を引きずり下ろすことができた。

 私は2016年のソウルで行われた民主労総の労働者大会に参加したが、大会後のデモはソウル市長の協力のもと、歩道・車道関係なく人が溢れ、圧倒的な解放感に満ち溢れていた。誰が指示するでもなく、解放された車道のあちらこちらでミニ集会やシュプレッヒコールが沸き起こる。警察官の姿も2、3人ほどしか確認できず、ただぼーっと突っ立っているだけだった。デモや集会の場においては警察官など少なければ少ないだけ良い。

官邸前でのコールに思う
お願いでなく私たち自身の力で情勢を切り開く

官邸前行動レポート なお、コールのスタイルはSEALDsらが続けてきたものと大体同じようなスタイルで行われた。「安倍(昭恵は)は出てこい!」とか「嘘をつくな!」といったコールには、全くその通りだと思うので合わせられる。しかし「官僚頑張れ!」というコールはさすがに唱和できなかった(「国民なめんな」も同様だが)。佐川を証人喚問した結果を知る今となっては、その理由はあえて言わなくてもご理解いただけるだろう。

 やはり私は、官僚や警察、国家をはじめ、誰かに頭を下げて「お願い」し期待するのではなく、私たち自身の力によって情勢を切り開くことにあくまでこだわりたい。他にも「有志」に言いたいことは色々あるが、それこそ彼らに頼んで官邸前を仕切らせているわけではないので、私たちは私たちなりに納得のいくスタイルと筋を通してこれからも声を挙げ続けるつもりだ。

単なる政治スキャンダルとして片付けてはならない

 以上、官邸前の様子を簡単にお伝えしたが、今回の一件に声をあげていない人々は一連の報道をどう受け止めているのだろうか。官邸前抗議行動の参加者の多くは「全貌解明を!」とは言いつつも、文書の改ざんや土地の値引きに関して、おそらく誰がどのように関与しているのか皆なんとなくわかっている。そして、一連の事態に驚きと怒りを持っているだろう。

 ところが、この問題に対する社会全体のムードは「政治家の先生方には困ったもんだねぇ」という諦めや冷笑の混じったものが優勢になっていないだろうか? 少し前でいえば南スーダン日報破棄事件や、今回の大規模な公的文書の改竄が次々に明らかになったことなどの累積によって、もはや安倍や麻生が発するひとつひとつの嘘やデタラメそれ自体は驚きを持って受け止められなくなっているのではないだろうか? こうしたムードは他の諸現場、諸問題にも大きく影響を与えていく。いかなる結末を迎えるにせよ、この事件を単なる政治スキャンダルとして片付けてはならない。

 森友学園問題で日本国内が紛糾する一方、東アジアでは情勢が変化の兆しを見せている。他の課題も山積みだ。一刻も早く森友学園の全貌解明と関係者の責任追及を行い、民衆の力で安倍政権を退陣させよう。

(注――タイトル、小見出しなどは編集部の責任でつけています。)

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2018.4.14 国会前5万人結集でついに車道決壊IWJより)

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