安倍政権を追撃し「働き方改革」法案を廃案へ/仲村実

連休の谷間に「働き方」法案審議入りの暴挙

「働き方改革」 安倍政権は、「裁量労働制の対象拡大」を削除した「働き方改革」関連法案を今国会で成立を狙って4月6日に閣議決定し、「改ざん・隠ぺい・セクハラ発言」に抗議する主要野党抜きで、衆院厚生労働委員会での審議入りを強行しました。連休の谷間での暴挙に、労働組合で作る「雇用共同アクション」が緊急抗議を行いました。
 安倍政権が成立強行を狙う「働き方改革」とは、本質的には財界や大企業にとって労働者をいかに「働かせやすく、使いやすくする」かということです。簡単にいえば、労働者を生産に必要な時は引き寄せ、生産が縮小・中止の場合はすぐに辞めさせられるような法律をつくることです。

労働者保護の破壊

 産業革命によって個々の雇用主が、労働者をそれも年少者や若い女性を奴隷のごとく長時間、低賃金、職場環境劣悪状態で酷使し、そのことが放置され労働力の全体が磨耗・摩滅し、枯渇していく状態でした。最初の労働者保護法は10時間労働としてできます。多くは遵守されなかったが、徐々に浸透していきます。

 現在、いろんな労働者保護法がありますが、罰則の無い法律や例外規定も山ほどあります。よく見ておかないと誤魔化され・だまされ、経営者の都合のいいように使われます。
 安倍は、資本なり財界や大企業の意向を汲んで、歴史的な産物である労働者保護法を、逆に保護をつぶそうとしています。これが「働き方改革」の大きな狙いです。もう一つは、労資関係を雇用関係のない契約形態に変えようとしていることです。

「働き方改革」関連法案の大きな問題点

雇用共同アクション 財界が今一番やりたいのは、「高度プロフェショナル制度」の創設です。
 1985年に労働者派遣法という法律が創られました。それまでは労働者を供給・派遣するということは法律で禁じられ、労働組合が職業安定法に基づいて唯一できることになっていました。しかし、経営者が都合のいいようの形で実態的にはやっていたんです。非合法でやっていたことを合法化するために労働者派遣法を13職種に限定して、給与の非常に高い高度の専門職が対象ということでスタートしました。

 「高度プロフェショナル制度」の場合は、時間管理でなく成果管理ということ、それも年俸が「1075万円以上の人」を対象としています。労働者派遣法は、対象が16職種となり、今日では製造業もOKとなっています。
 同じように「高度プロフェショナル制度」も創設してしまうと、財界が主張している年収400万円となり、時間管理をなくす労働者を増大させることにつながっていきます。

 次に「残業時間の罰則・上限規制」、残業協定36協定のことです。これも基本は1日8時間、1週40時間働くというのが基本です。残業することは本来例外なんです。残業協定を結ぶ場合、労働組合がしっかりして職場で過半数を組織していれば規制ができます。ただ、今の36協定は破ったとしても罰則がありません。罰則を決める法案ですが、例外の例外で上限は過労死ラインの月100時間です。

 さらに「同一労働同一賃金」で、非正規社員の待遇改善を図るとしています。これは完全にウソです。労働契約法をめぐる長澤運輸、ハマキョウレックス、郵政労働者の裁判でわかるように、雇用形態とか責任度合いとか社会通念と適当なことを理由に、一部の手当てしか認めない最高裁判決でそれを判例として決着をつけようとしています。

 安倍は「非正規」という言葉をなくすといっていますが、半年、1年の有期などのいわゆる非正規雇用労働者が全雇用労働者の40%に近づいている現実を完全にごまかしています。残業時間の罰則を売りにして、「高度プロフェショナル制度」の創設をセットで成立させる新手のやり口です。

「働き方改革」関連法案を廃案にしよう

賃金低下、長時間労働、失業 安倍が今国会の冒頭、1月22日の施政方針演説のトップで「働き方改革」にふれました。一番の目玉です。安倍は、以前のホワイトカラーエグゼンプション、残業ゼロ法案の失敗を総括して、単独でなく関連法案として必ず成立させようとしています。

 今回の関連法案以外で、関心を持って運動と闘いを強めなければならないのは、兼業とか副業を認めるよう宣伝されています。介護職やトラック運転労働者は長時間残業込みで生活しているという実態があります。低賃金と長時間労働の固定化、それと併せて兼業OK、ダブルワーク歓迎、テレワークで仕事、自宅で仕事とかという具合です。政府も財界も非常に多様な雇用形態をつくるべきだとの具体化です。

 資本の動きもグローバルになっていますから、少子高齢化の日本では外国人労働者も雇いたいし、「高度プロフェショナル制度」にしなければ日本の優秀な労働者、人材が海外に出て行くという。実際やっていることは、いかに規制を緩和して、いかに労働者を自由に安価に使うかということです。

 安倍のいう「働き方改革」法案を絶対に許してはならない。労働者派遣法の苦い経験があります。今後は、解雇の金銭解決、職業安定法の改悪・労働者供給事業つぶしの攻撃も強まると思います。
 経済闘争も政治闘争も闘うまともな原則的労働組合に対し、資本と権力は弾圧攻撃をかけます。そして連帯ユニオン関西生コン支部のように反独占闘争を中小企業経営者との一面共闘の体制に、分断を持ち込みくさびを打ち込んできます。

 労働者保護法としてある労働基準法など労働関連諸法、その規制外しと解体を許さない闘いによって、労働者階級の団結は強まります。
 現下の安倍「働き方改革」関連法案強行突破を阻止する闘いを強め、廃案に追いつめよう。(労働プロジェクト・仲村)

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