書籍紹介】本山美彦『アソシエの経済学』(社会評論社)

本山美彦「アソシエの経済学」(社会評論社)紹介
本書はコモンズ編集部にて割引価格で直販しております。(2014年4月現在)
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 TEL:03(3389)0411 E-mail:rev@com21.jp

労働者の協同世界=アソシエを、資本の支配する世界を超えて創り出しておかなければ、この世の中はもう維持されなくなるだろう。資本家のアソシエーションが機能しなくなったのなら、労働者のアソシエーションを創り出そうではないか。本書はその意味を込めて、「アソシエの経済学」の構築を意識し、共生(個々人が連帯しながら共に生きる)社会を生み出すことのできる可能性を日本社会の伝統に求めた。


 発行元:社会評論社
 体 裁:単行本: 304ページ
 定 価:2700円
 著 者:本山美彦
 ISBN-10: 4784518258
 ISBN-13: 978-4784518258
 発売日: 2014/04
 本山美彦さんの本(Amazonサイト)

書評(公益社団法人 国際経済労働研究所サイトより)
本山美彦『アソシエの経済学』(社会評論社) 経済学の使命とはいかなるものか?経済学の根幹にかかわる、この問いに答える本山美彦氏待望の最新刊「アソシエの経済学」(社会評論社)が2014年3月に刊行される。

 2011―13年に開催されたあの「日本の強み・弱み―その仕分け―研究会」。研究会の成果が今、世に送り出される。本山氏は研究会主査として、一貫して労働組合の結束の必要性を説き、研究会の集大成として、プロジェクトの理論的なベースを「アソシエ」として発表した。プロジェクトで現役の労働組合役員が報告した各産業の強みと課題を、本山氏が理論としてまとめ上げたのが本書である。講演会では、最新刊を読み解く指針はもちろん、3年にわたるプロジェクトの真髄が語られる。

 「労働者はコストではなく資本である」という信念の下、「労働の尊厳」を取り戻す。この大いなる挑戦に労働組合が一丸となって取り組むことは、まさに18-20世紀の思想家たちのいう「アソシエーション=労働者の協同世界」である。今この時代に、さまざまな産業の組合が連帯し、日本の強みを生かした社会を作る。その熱いメッセージを受け止めて頂きたい。

著者紹介:本山美彦(もとやま・よしひこ)
本山美彦(京都大学名誉教授) 1943年神戸市生まれ。京都大学名誉教授。公益社団法人・国際経済労働研究所前理事。元・日本国際経済学会長(1997~99年、現在、顧問)。元・京都大学大学院経済学研究科長兼経済学部長(2000~02年)。元・日本学術会議第18期第3部(経済学)会員(2000~03年)。元・大阪産業大学学長(2010~2013年)。

 世界経済論専攻。金融モラルの確立を研究テーマにしている。貨幣現象を取り上げて、現代社会の倫理的側面を明らかにしてきた。近年は米国主導の「グローバリズム」のいかがわしさを指摘する一方で、同国の世界戦略や、対日経済圧力の実態などの問題点について、他の論者に先駆けての解明を行ってきた。

 その成果は、『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ―米国の対日改造プログラムと消える未来―』(ビジネス社、2006年)、『儲かれば、それでいいのか―グローバリズムの本質と地域の力―』(共著、「環境持続社会」研究センター、2006年)、『金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス―』(岩波書店、2008年)などにまとめられている。最近の著書に『韓国併合―神々の争いに敗れた「日本的精神」』(御茶の水書房、2011年)がある。

 公益社団法人国際経済労働研究所前所長。近年は日本国際経済学会顧問として、日本における国際経済学の発展にも力を注いでいる。

目指そう「アソシエ のモラル」確立を 本山美彦
(『コモンズ』2014年1月号より再録)

資本家のモラルは崩壊した

資本家のモラルは崩壊した

「グローバリズム、IT化の荒波に適応できない者は、自らに能力がなかったものとして、職場から去れ」という、過酷な競争を経て生き残ったカリスマ的経営者や、彼らに擦り寄る著名評論家から発せられる脅迫的言辞が、多くの市民に焦りだけでなく恐怖を与えている世の中になってしまった。

 ごく少数の企業のみが生き残り、多くの優良企業がばたばたと倒産していく惨事を多くの人々が見ている。それは自然災害ではなく現代社会が作り出した人災である。人々は、この惨事に怯え、「生き残るためにはもっと働かなければならない」との強迫観念に駆られて、日々悪化する労働環境の下で、明かりも見えない暗いトンネル内を走り回っている。経営陣からの恫喝にさらされて、市民は、心を萎えさせ、追い詰められている。

 そうした惨状が日常的なものになっている現在の政治・経済・社会システムを、カナダ籍のジャーナリスト、ナオミ・クライン(Naomi Klein)は「惨事便乗型資本主義(Disaster Capitalism)と名付け、人々の心を萎縮させ、そして懸命に働かせる支配者の理論を「ショック・ドクトリン」(Shock Doctrine)として糾弾する著作を刊行した(邦訳、幾島幸子・村上由美子訳『ショック・ドクトリン―惨事便乗型資本主義の正体を暴く』(上・下)岩波書店、2011年)。

 新保守主義者たちが、「新自由主義」というイデオロギー装置を開発し、グローバリズムのドクトリンとして世界を支配するようになって以来、確実に見える社会は、極限にまできた各産業の寡占化と、信じられないような所得格差の拡大である。新自由主義が勝利した地域は、どこでも、「判で押したように貧富の格差が拡大した」、新自由主義者は、「富裕層をさらなるスーパーリッチに仕立てる一方で、組織労働者階級を使い捨て可能な貧者へと追い」やっている。その勝利のツケは、「分配される富の拡大」という自由市場敬愛の約束への不信感の広がりとなって返ってきた(クライン、下、六四九ページ)。

 富と権力の偏在が、経済を傷つけ、民主主義を破壊し、人種差別を増長し、コミュニティを引き裂いている。しかし、こうした惨事が横行しながらも、その不合理を民主主義によって阻止する力を人々が蓄え出したことに、私たちは希望に満ちた新しい社会が到来しつつあることを感じられるようになった。自然が人類に示した摂理を私たちは見ることができる。これが、「アソシエ社会」、「共生社会」なのである。そのためにも、「アソシエのモラル=道徳」の確立が求められる。道徳は、きれい事で実現性のない代物のように見える。しかし、何事も敵に勝つことというリアリズムに還元してしまう類いの権力者に対抗できるのは、反抗する人間が身につけた高い道徳であると私は信じる。

 企業にとって、競争というのは神聖なルールである。このルールに則って勝ち抜くことが至上命令であるとの発言を企業人はよくする。しかし、実際には、いかなる手段を用いても、拡大に継ぐ拡大路線を推し進め、市場支配力を不断に増大させるというのが経営者の名誉である。大きく企業を成長させ、さらに世界一を狙う企業経営者が賛美される。勝ってしまえば官軍である。勝つためには人に言えない悪辣なことをしていたとしても、それは問われない。問われるのは敗者である。水に落ちれば、敗者は寄ってたかって叩かれる運命にある。現在の世界は、産業界の競争で勝ち抜き、帝国を築くことが起業家の資格であると見なす価値観で染め上げられている。

 良心のある理論家たちは、自らの理論にモラルを盛り込むべく苦闘してきた。過去の経済学者は、自身の研究をモラル・サイエンス(Moral Science)たらんとしてきた。古典派の経済学者たちの多くは、体制批判者でもあった。いまや、権力者に擦り寄り、権力機構に組み込まれることを誇りとする卑しい学者たちが氾濫している。
 モラルを確立しよう。年頭から恥ずかしいが、報告させて頂きたい。モラルの確立を訴える拙著が今年の三月に上梓される(『アソシエの経済学』社会評論社)。人格を無視されて、単なる物として扱われる社員の「労働の尊厳」を回復させよう。

著者講演会のご案内
変革のアソシエ第2期出発総会・記念講演会
 ――〈資本主義の危機と「3・11」以後の新たな時代の希望を!〉

『変革のアソシエ』第2期出発総会

※チラシ表裏ダウンロード


日時:4月20日(日)午後3時――
会場:連合会館(旧総評会館)2階203号大会議室
地図:http://rengokaikan.jp/access/
資料費:500円

■記念講演
●「袋小路に入った資本主義―スマホ・ブームに見る沈黙の螺旋―」
  本山美彦(京都大学名誉教授) 
●「東アジアの中の沖縄―辺野古新基地は対中戦争の準備―」
  伊波洋一(沖縄・元宜野湾市長)

主催:変革のアソシエ
〒164―0001 東京都中野区中野2―23―1
ニューグリーンビル301号 協同センター・東京 内
http://homepage3.nifty.com/associe-for-change/
電話03(5342)1395  ファックス03(6382)6538

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