4・27板門店宣言への道 – かくも長き戦争と分断の歴史

2018・4・27 板門店宣言 朝鮮戦争終結へ、固い誓い
民衆による「風」吹く、日本・沖縄にも…板門店会談
終戦宣言と半島非核化 軍国反動層封じる、平和への大きな歩み
米軍による<極東軍事支配構造>突き崩す

 2018年4月27日、韓半島を南北に分断する北緯38度線の板門店(パムンジョ)。分断と戦争の悲劇的象徴たる場で南北両首脳は出会い、両者にしか出来ない事を成し遂げた。両首脳は韓半島にこれ以上の戦争はなく、新たな平和の時代が開かれたことを8千万の両国国民と全世界に厳粛に宣言したのだ。南と北は、韓半島で先鋭化する軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため共同で努力して行くとしている。
 この奇跡の歩みよりを確かなモノにした背景には、太陽政策を唱える文在寅大統領を押し上げた韓国の民衆パワーがあり、その機微を捉えた金正恩委員長の深謀がある。この紙面では長きに亘った朝鮮戦争と韓半島民衆の苦難の歴史を再確認してみたい。(関西M)

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日本のわれわれは今何をなすべきか(上)/村山和弘

韓半島民衆の悲惨と苦難の歴史
血の抵抗と民衆革命に向かう韓国民衆が歴史開く

■ 東西対立下での代理戦争 - 朝鮮戦争の内実

 第2次大戦後の歴史で最大の悲劇の一つとされる朝鮮戦争。それに続く南北分断固定化と各々の体制維持のための軍事支配下の民衆弾圧など、韓国・朝鮮民衆の苦難史は半世紀以上をとうに越す。―― 朝鮮側の南進か、それとも韓国側の国民大虐殺に見られる抑圧体制が誘因か。未だその開戦前後の史実に関して多くの論議が飛び交う。この朝鮮戦争の実態に迫るには、韓半島2国の宗主国であった日本を隷下にし、その後もアジアに様々な政治・軍事的工作を続けた世界覇者米国と米軍の動きからまず検証を始めねばならない。

■ 朝鮮戦争までの極東情勢

 第2次大戦での帝国日本敗北後の韓半島南部は、連合国軍最高司令部(GHQ)下の沖縄駐留第14軍部隊により半島38度線以南の占領が行なわれ、軍政が敷かれていた。
 1948 年8月15日李承晩大統領による大韓民国が樹立され、韓米両国は暫定軍事協定を締結。同年には北部朝鮮からのソ連軍全面撤退に合せ1949年6月段階で約5百人の軍事顧問団を残したのみで米軍も撤退した。
 その背景は米国が、朝鮮半島有事の際の作戦推進基盤を日本に求める構想にあったとされる。1950 年における米第5空軍の第一主務として、極東での即応体制の維持が明記され、 朝鮮半島もカバーできる部隊配置となっていたとの軍事シフトからもそのことは明らかだ。
 日本占領軍としての米軍任務は、同年1 月のアチソン(Dean. G. Acheson)米国務長官の声明にあるように、東アジアにおける米国の戦略拠点として日本の確保にあった。この時から米軍シナリオは、極東軍事支配の要石としての日本の育成(?)と言う流れに主眼が置かれていたのだ。

■ 米国、共産中国成立に脅威

 だが1949年10 月中華人民共和国の成立に慌て、米軍は千島―日本―沖縄―フィリピンの防衛線に実体を与えるため、沖縄での基地整備に邁進する。50年に巨費を投じ基地用地を沖縄の人々から取り上げ、強制接収。米国の極東軍事拠点として空軍機能拡充を中心に、陸軍・空軍基地~港湾の整備にも着手した。

■ 1950年開戦前後の国家犯罪

 1950年6月25日金日成主席率いる朝鮮軍が、中国毛沢東とソビエト連邦スターリンの同意を受けたとして38度線を越え韓国に砲撃を仕掛け朝鮮戦争は勃発した。
 すぐに韓国李大統領は、南側での反乱鎮圧を口実に南朝鮮労働党関係者を大量処刑する保導連盟事件を起こす。この韓国軍・警察によって共産主義者との嫌疑をかけられた20万人~114万人に上る民間人が裁判なしで虐殺されたとまで主張のある未曾有の歴史事件がそれだ。
 さらには戦争前に発生した済州島4・3事件*などは、李承晩ら韓国軍国主義者たちによる許されざる国家犯罪として糾弾されなければならない。

韓国での自国民大虐殺*済州島4・3事件
=1949年4月~5月。李承晩軍事政権による赤狩り大粛清。
島民の5分の1にあたる6万人が殺され、島の村々7割が焼き尽くされた。この時に日本へ逃れ流入した島民も多かった。


■ 1953年休戦後も過酷な運命


  開戦後3年当事国の朝鮮・韓国はもちろん、西側陣営諸国を中心とした国連軍と、東側には中国から人民義勇軍も参戦。半島全土は戦場と化して荒廃し、戦線は血みどろの毎日が続く。国連空軍側はその間、 休戦協定への心理的な圧力を加えるため、51 年9月には原爆投下を想定した模擬弾による「ハドソン湾作戦」、52 年6月鴨緑江発電所の爆撃、53年5月の平壌近郊のダム爆撃(平壌市民の大量水死を企図したもの)など非人道的攻撃を続けた。
 だが遂に1953年7月27日、国連軍と中朝連合軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し、休戦に至った。
 その協定地・北緯38度線付近の休戦時の前線が軍事境界線として認識され、朝鮮半島は北部の朝鮮民主主義人民共和国と南部の大韓民国の南北二国に分断された。
 その後も韓国での光州事件、北の大飢饉・脱北者など民衆への不幸は続き、双方の国家首脳暗殺企画~未遂事件など様々の過酷な運命と歴史の下、今日に至った。

世界が会談結果を歓迎――
日本だけ部外者との焦り

中朝韓米首脳写真
【ソウル共同】韓国大統領府は会談結果などについて「米中など主要国首脳に大統領が直接電話するなどして説明する」と発表した。
 南北首脳会談で年内に朝鮮戦争の終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換するために米国や中国を交えた協議を推進すると合意したことを受け、韓国政府は28日以降、実現に向け米中への働き掛けを本格化させる。

【朝鮮中央通信】同通信は28日、27日の南北首脳会談を伝えた。会談後に発表された板門店宣言も、「完全な非核化を通じた核のない朝鮮半島」という表現も含めてそのまま全文を報道した。核開発問題を巡る北朝鮮の新たな方針は伝えていない。
 同通信は首脳会談を詳しく報道。会談について「北南関係問題と半島平和保障問題~非核化問題などについて意見交換した」と説明。記念植樹や夕食会の様子も伝えた。

【北京/ワシントン 27日ロイター】 両首脳会談に、トランプ米大統領のほか中国やロシアから歓迎の声が上がった
米国:トランプ大統領は早朝ツイート「時間が経たないと分からないが、良いことが起きている!」。「朝鮮戦争は終結する!米国、並びに偉大なる米国民は朝鮮半島で今起きていることを大いに誇りに思うべきだ!」とした。
同大統領はまた、中国習近平国家主席の貢献も称え、「主席の尽力がなければ、道のりはもっと長く厳しかった!」と強調した。
中国:中国外務省は「すべての関係国が対話機運を維持し、朝鮮半島の非核化と政治的な安定プロセスの促進に向け、共に取り組んでいくことを望む」と声明を発表。「中国は今後も積極的な役割を果たしていく」とした。
ロシア:ロシア大統領府は、プーチン大統領が長らく南北首脳会談実施を呼び掛けてきたとし、会談の実現は非常に前向きな動きとの見解を表明。報道官は、金委員長と大統領との間の会談の可能性について、ロシア政府は半島の緊張緩和につながるいかなる対応も歓迎すると述べた。
安倍にとどめを
【中国・新華社】南北首脳会談に対し、日本は焦っていると報道。
 「南北首脳会談が行われている中、日本政府は27日、加藤拉致問題担当大臣が5月3日に訪米すると発表した。
 また、河野太郎外務大臣も早期に米国と韓国を訪問する意向を示している」と伝えた。
 その上で「南北首脳会談・米朝首脳会談において、日本はずっと部外者となることを心配している。政府高官が次々と訪問するのは焦りの表れだ」とした。

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