南北民衆と連帯し朝鮮戦争終結の実現へ
東アジアの平和に敵対する安倍政権を打倒しよう!
6月12日、トランプ米国大統領と朝鮮人民民主主義共和国(朝鮮)の金正恩国務委員長による史上初となる米朝首脳会談がシンガポールで開催された。全世界が注目する中で、両首脳が笑顔で握手を交わし、「共同声明」に署名した。トランプ大統領は、会談後の記者会見で米韓合同軍事演習中止の意向を表明し、適切な時期に両首脳が相互に訪問し合う考えも表明した。(関連記事6面参照)
1、 米朝首脳会談で何が合意されたか
共同声明は、両首脳が「新たな米朝関係確立と、朝鮮半島における永続的で強固な平和体制構築に関連する問題をめぐり、包括的で真摯な意見交換」を行い、「トランプ大統領は朝鮮に安全の保証を提供することを誓約し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む断固とした揺るがない決意を再確認した」と表明した。
また両首脳は「新たな米朝関係の確立が朝鮮半島および世界の平和と繁栄に貢献する」との認識に立って、第1に両国民の平和と繁栄への切望に沿って新たな米朝関係の確立に全力を挙げる、第2に朝鮮半島で持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する、第3に「板門店宣言」を再確認し朝鮮半島の完全な非核化に全力で取り組む、第4に戦争捕虜・行方不明兵士の遺骨収容と返還を全力で進める――との4項目合意を表明した。
6月19日、トランプ大統領は「8月米韓合同軍事演習」中止を決定し、朝鮮側から主要なミサイルのエンジン試験施設破壊も約束され、両国間で合意を具体化する複雑で長いプロセスへの交渉が始まっている。
2、その歴史的意義とわれわれの態度
米朝首脳会談の歴史的意義は、昨年来の一触即発の核戦争の世界的危機を回避し、長年にわたり砲火を交え銃口を向けあってきた両国首脳が歴史上初めて対面し、両首脳の名によって「板門店宣言」を米国も共に確認し、「新しい米朝関係の確立」-朝鮮戦争の完全な終結と平和協定の締結に向けて歴史的一歩を踏み出した事にある。
世界史の観点で見れば、1945年以後の世界で冷戦構造が唯一残存してきた朝鮮半島がその足枷を脱し北東アジアに平和体制構築へ踏み出すことで「戦争と対立」でなく「平和と協働」の世界への世界史的一大転換点を画すものと言える。
この歴史的激動の根本に働いている基本的力は、決定的には文政権誕生と「板門店宣言」に貫く「キャンドル革命」に見る韓国労働者民衆の闘いの力である。この根底には、トランプ政権の圧力路線の破産、「米国第一主義」と「米中貿易戦争」に象徴されるように終焉に向かう資本の戦後世界の基軸国・米帝の没落と衰退、超大国・中国の台頭と新たな世界秩序をめぐる再編と抗争、延命と利益を求める米軍産複合体の動向、米戦争戦略の転換がある。
こうした見地と認識に立って、わたしたちは米朝首脳会談と「共同声明」を歓迎する。
この間、日本のメデイアや専門家から「具体性が乏しい」とか「北朝鮮がまた合意に背くだろう」などの朝鮮敵視と植民地意識丸出しにした「共同声明」への懐疑論が流布されてきた。問題があるとすれば、トランプ政権の内部対立と国内基盤の脆弱さやその「気まぐれ」によって合意実現への厳しい道のりも予想される。
しかし「主人公はわたしたちだ。自らの運命は自ら決定する」と韓国労働者民衆によって開始された朝鮮戦争の終結―平和への朝鮮情勢は後戻りすることはあり得ない。大事なことは、南北朝鮮労働者民衆と共に国際的連携を強め、前に進み行動することである。
3、東アジアの平和への流れに敵対する安倍政権打倒こそ責務
問われているのは、日本の労働者民衆の闘いである。
糾弾すべきは、右往左往し、一人孤立し、その醜態を世界にさらしてきた安倍政権である。
米朝会談と共同声明に臨んで、安倍政権は日本の朝鮮侵略戦争と植民地支配、南北分断に対する歴史責任をあいまいにしたまま、拉致問題を政権延命に利用するための日朝首脳会談を模索するポーズを取りながら、「圧力と経済制裁」を主張し朝鮮敵視政策を取り続けている。
そして重要なことは、トランプ大統領の「米韓合同軍事演習」の中止、「在韓米軍の撤退・削減」の公言から米国が同盟国への防衛関与から徐々に手を引くのではないかとの懸念を高め、「在日米軍撤退の国難」とばかりに米軍を引き止めに走り、トランプ政権の言いなりにさらなる兵器購入と思いやり予算など防衛費分担を増やし、攻撃兵器保有など軍事増強を強めていることである。
これを端的に示しているのが、「北のミサイルの脅威」の強弁による1基1千億円もする陸上配備型ミサイルシステム、イージス・アショア(Aegis Ashore)の秋田・山口配備の策動、オスプレイの全国配備であり、その最たるものが辺野古新基地建設強行のための8月17日の土砂投入宣言である。
だが今、南北・米朝両会談の合意は、辺野古新基地建設はいうまでもなく在沖海兵隊と米軍基地の存在や南西諸島の軍備増強の根拠を突き崩し、安倍政権の9条改憲―戦争国家に向かう足元がガラガラと音を立てて崩れている。
本紙5月号1面において、「板門店宣言」は朝鮮戦争を契機に成立し戦後日本の「この国のかたち」と沖縄への米軍基地の強制、日本の対米隷従の政治と社会のあり方を決めてきた戦後の「サンフランシスコ・システム」-日米安保体制を根本から揺るがし突き崩すもので、これを好機として日本の労働者民衆が自分の手でそれを終わらせる時が来た、と訴えてきた。
今、米朝会談と共同声明はそれを一層はっきりとさせ、この行く手を阻んでいるものこそ、安倍政権であることを浮き上がらせている。
全国から安倍政権を追い詰め、包囲し、打倒しよう!
南北朝鮮民衆と共に朝鮮戦争の終結-平和協定締結の実現を求め闘おう!
日朝平壌宣言を踏まえ日本の植民地支配の謝罪と清算を前提に、日朝国交正常化―日朝平和条約締結への民衆運動を強めよう。
・緊急の課題である辺野古への8月土砂投入を阻止し、沖縄から米海兵隊の撤退、米軍基地撤去を求め闘おう!
これら闘いの発展から、戦後の対米隷従の「この国のかたち」を根本より革命する主体と運動の大きな流れを創りだしていこう。 (7月5日記)
辺野古、土砂投入阻止!8・11沖縄県民大会に結集しよう!
辺野古新基地建設で、沖縄防衛局が8月17日に土砂投入開始を沖縄県に通知。これを受け「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」は、8月11日土砂投入阻止に向け県民大会を開催する。目標は3万人超!闘いはヤマ場を迎える。現地に結集し、沖縄―本土を貫く闘いの新しい流れをつくろう!
時―8月11日午前11時、会場―那覇市・奥武山公園陸上競技場。