沖縄慰霊の日「平和宣言」全文

慰霊の日

慰霊の日 糸満市摩文仁の平和祈念公園(出典:琉球新報のtwitter

沖縄県は6月23日、「慰霊の日」を迎えた。73年前、アジア太平洋戦争最後の激戦地沖縄で20万人を超える人々の死と共に戦闘が終結した。糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」が開催され、翁長雄志知事が「平和宣言」を読み上げた。また沖縄県浦添市立港川中学3年の相良倫子(さがらりんこ)さん(14)が、自作の平和の詩「生きる」を朗読した。以下に「平和宣言」の全文を紹介する。

沖縄慰霊の日「平和宣言」
沖縄県知事 翁長雄志

平和宣言を読み上げる翁長雄志知事 二十数万人余の尊い命を奪い去った地上戦が繰り広げられてから、73年目となる6月23日を迎えました。

 私たちは、この悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さという教訓を学び、平和を希求する「沖縄のこころ」を大事に今日を生きています。

 戦後焼け野原となった沖縄で、私たちはこの「沖縄のこころ」をよりどころとして、復興と発展の道を力強く歩んできました。

 しかしながら、戦後実に73年を経た現在においても、日本の国土面積の約0.6%にすぎないこの沖縄に、米軍専用施設面積の約70.3%が存在し続けており、県民は、広大な米軍基地から派生する事件・事故、騒音をはじめとする環境問題等に苦しみ、悩まされ続けています。

 昨今、東アジアをめぐる安全保障環境は、大きく変化しており、先日の、米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化への取り組みや平和体制の構築について共同声明が発表されるなど緊張緩和に向けた動きがはじまっています。

 平和を求める大きな流れの中にあっても、20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでしょうか。日米両政府は現行計画を見直すべきではないでしょうか。民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません。「辺野古に新基地を造らせない」という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません。

 これまで、歴代の沖縄県知事が何度も訴えてきたとおり、沖縄の米軍基地問題は、日本全体の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべきものであります。国民の皆様には、沖縄の基地の現状や日米安全保障体制の在り方について、真摯(しんし)に考えていただきたいと願っています。

 東アジアでの対話の進展の一方で、依然として世界では、地域紛争やテロなどにより、人権侵害、難民、飢餓、貧困などの多くの問題が山積しています。

 世界中の人々が、民族や宗教、そして価値観の違いを乗り越えて、強い意志で平和を求め協力して取り組んでいかなければなりません。

 かつて沖縄は「万国津梁(しんりょう)」の精神の下、アジアの国々との交易や交流を通し、平和的共存共栄の時代を歩んできた歴史があります。

 そして、現在の沖縄は、アジアのダイナミズムを取り込むことによって、再び、アジアの国々を絆(つな)ぐことができる素地ができてきており、日本とアジアの架橋(かけはし)としての役割を担うことが期待されています。

 その期待に応えられるよう、私たち沖縄県民は、アジア地域の発展と平和の実現に向け、沖縄が誇るソフトパワーなどの強みを発揮していくとともに、沖縄戦の悲惨な実相や教訓を正しく次世代に伝えていくことで、一層、国際社会に貢献する役割を果たしていかなければなりません。

 本日、慰霊の日に当たり、犠牲になられた全ての御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧(ささ)げるとともに、恒久平和を希求する「沖縄のこころ」を世界に伝え、未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる「平和で誇りある豊かな沖縄」を築くため、全力で取り組んでいく決意をここに宣言します。

「生きる」相良倫子さん
「生きる」
沖縄県浦添市立港川中学校 3年 相良倫子

 私は、生きている。
 マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、
 心地よい湿気を孕んだ風を全身に受け、
 草の匂いを鼻孔に感じ、
 遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。

 私は今、生きている。

 私の生きるこの島は、
 何と美しい島だろう。
 青く輝く海、
 岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、
 山羊の嘶き、
 小川のせせらぎ、
 畑に続く小道、
 萌え出づる山の緑、
 優しい三線の響き、
 照りつける太陽の光。

 私はなんと美しい島に、
 生まれ育ったのだろう。

 ありったけの私の感覚器で、感受性で、
 島を感じる。心がじわりと熱くなる。

 私はこの瞬間を、生きている。

 この瞬間の素晴らしさが
 この瞬間の愛おしさが
 今と言う安らぎとなり
 私の中に広がりゆく。

 たまらなく込み上げるこの気持ちを
 どう表現しよう。
 大切な今よ
 かけがえのない今よ
 私の生きる、この今よ。

 七十三年前、
 私の愛する島が、死の島と化したあの日。
 小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。
 優しく響く三線は、爆撃の轟に消えた。
 青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。
 草の匂いは死臭で濁り、
 光り輝いていた海の水面は、
 戦艦で埋め尽くされた。
 火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、
 燃えつくされた民家、火薬の匂い。
 着弾に揺れる大地。血に染まった海。
 魑魅魍魎の如く、姿を変えた人々。
 阿鼻叫喚の壮絶な戦の記憶。

 みんな、生きていたのだ。
 私と何も変わらない、
 懸命に生きる命だったのだ。
 彼らの人生を、それぞれの未来を。
 疑うことなく、思い描いていたんだ。
 家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。
 仕事があった。生きがいがあった。
 日々の小さな幸せを喜んだ。手をとり合って生きてきた、私と同じ、人間だった。
 それなのに。
 壊されて、奪われた。
 生きた時代が違う。ただ、それだけで。
 無辜の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。

 摩文仁の丘。眼下に広がる穏やかな海。
 悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。
 私は手を強く握り、誓う。
 奪われた命に想いを馳せて、
 心から、誓う。

 私が生きている限り、
 こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。
 もう二度と過去を未来にしないこと。
 全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。
 生きる事、命を大切にできることを、
 誰からも侵されない世界を創ること。
 平和を創造する努力を、厭わないことを。

 あなたも、感じるだろう。
 この島の美しさを。
 あなたも、知っているだろう。
 この島の悲しみを。
 そして、あなたも、
 私と同じこの瞬間(とき)を
 一緒に生きているのだ。

 今を一緒に、生きているのだ。

 だから、きっとわかるはずなんだ。
 戦争の無意味さを。本当の平和を。
 頭じゃなくて、その心で。
 戦力という愚かな力を持つことで、
 得られる平和など、本当は無いことを。
 平和とは、あたり前に生きること。
 その命を精一杯輝かせて生きることだということを。

 私は、今を生きている。
 みんなと一緒に。
 そして、これからも生きていく。
 一日一日を大切に。
 平和を想って。平和を祈って。
 なぜなら、未来は、
 この瞬間の延長線上にあるからだ。
 つまり、未来は、今なんだ。

 大好きな、私の島。
 誇り高き、みんなの島。
 そして、この島に生きる、すべての命。
 私と共に今を生きる、私の友。私の家族。

 これからも、共に生きてゆこう。
 この青に囲まれた美しい故郷から。
 真の平和を発進しよう。
 一人一人が立ち上がって、
 みんなで未来を歩んでいこう。

 摩文仁の丘の風に吹かれ、
 私の命が鳴っている。
 過去と現在、未来の共鳴。
 鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。
 命よ響け。生きゆく未来に。
 私は今を、生きていく。


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辺野古、土砂投入阻止!8・11沖縄県民大会に結集しよう!
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