日本のわれわれは今何をなすべきか(下)/村山和弘

前号よりの続き

4・27南北首脳会談と「板門店宣言」を受けて
日本の我々は。今何をなすべきか <下> 村山和弘

ソウル市青瓦台前6月.「民主労総」の闘いは続く

ソウル市青瓦台前6月.「民主労総」の闘いは続く

「米軍引き止め―軍備強化・日米軍事演習・辺野古強行」
軍産一体の「安倍」こそ、アジア民衆の敵!

韓国での闘いは続いている

韓国キャンドル革命 歴史の主人公は民衆です。
 朝鮮半島の植民地支配は、戦後は米アジア戦略の下で継続していました。米アジア戦略の要は日米(在軍政)同盟です。民衆の前に立つ敵は、軍事政権や反共独裁政権でした。そこに在韓米軍が控え、その背後に在沖米軍と日本国家と米国で、朝鮮半島の分断と韓国政権をコントロールしてきた。

 朴前大統領を倒した<ロウソク革命>の闘いは、これら「韓国で継続する植民地支配を倒した」のです。文在寅新政権が<日韓慰安婦合意の見直し>発言をした意味は明白です。それは日本の植民地支配に対する新政権の立ち位置です。

 今でも米軍が韓国の<戦時指揮権>を握っており、これは新植民地的・従属的と韓国内でも批判されてきた。在日米軍はどうか。同じ関係です。南北分断の戦時体制は日常的に「在日米軍」と「在韓米軍」は一体で指揮権は米軍です。

 米朝首脳会談での合意は、やがて在韓米軍の撤退へ、そして北朝鮮と戦争に備える「在日米軍撤退」となります。
 安倍政権は必死に在日米軍を引きとめている。安倍首相の考えは「中国と戦える軍事強国」になると決意し、また同時に「日韓条約の見直し」を課題にしている。

 南北首脳による宣言と米朝首脳による合意とは、分断終結(平和条約・米軍撤退)への希望です。喜ぶ南北朝鮮民衆と逆に安倍政権は深刻な立場。ここから「アジア民衆の敵・安倍」の構図があぶり出されました。

孤立する安倍政権の硬直した姿

安倍・トランプ 安倍首相によって「日本一国」だけが世界で孤立しています。
 日本政府は「北朝鮮の脅威は不変」と「日米演習・沖縄基地」は必要と叫んでいます。
 安倍政権は、危機に対応できない弱さから硬直化し、世界史の大転換という壁に衝突しもがいています。

 一方でこの安倍政権の本質的な危機を指摘できない知識人やわれわれの運動もあります。良心的と思われるマスコミでも、米国情勢の報道は「米マスコミのコピー」で、多数の知識人さえ「ニューヨーク・タイムズ」等大手マスコミをアメリカの良心と誤解しています。

 マスコミも企業体です。
 1960年代末、米マスコミはベトナム戦の極秘記事を「当時のニューヨークタイムズが第一号」で報じ、政府の発行差し止めに対して、次々と各紙が報道して頑張り、マスコミがベトナム反戦闘争を抑える役目を果たさなかった。
 米国は、その教訓から、その後、マスコミへの支配が強められ、今や、大手マスコミ100社は全て米軍産複合体の支配下にあり、でっち上げ記事も絶えず流されています。

「南北米の融和と平和」が安倍政権の土台を崩す

 トランプ米大統領は米朝首脳会談の合意の記者会見で「米韓軍事演習は不適切、グァムから韓国へ飛ばす大金の無駄遣い」と語り、他方で戦後日本の体制は憲法以上の存在である「安保条約体制」を「戦後の国体」と考えています。

安倍軍拡の象徴・イージス艦きりしま

安倍軍拡の象徴・イージス艦きりしま

 日米同盟の最大の実体は沖縄米軍基地です。
 本土の米軍基地を含め、軍需産業は「日本代表の大企業」で、群がる自民政治家が利権を貪り、歴代政権は財界の手先として国家の支配を継続してきました。
 大企業(新旧財閥)は、中小企業と地域へ「網の目」を巡らして日本の体制を維持しています。だが、日米同盟(実体・米軍基地)の崩壊は、戦後支配体制の瓦解となります。

 戦後日本(政財官)は、日米同盟(南北朝鮮分割)を前提にしてきました。
 実は、革新勢力も(自覚的にかは別に)同じ土俵の上で闘ってきました。
 在韓米軍撤退を掲げたカーター大統領に対して、当時の日本政府は「思いやり予算」で沖縄米軍を引き止めた。
 だが、今の米国は、カーター時代(1980年)と比較して軍産は衰退しており、何よりも、トランプを大統領に押し上げた労働者層はマスコミをほとんど信用していない。
 トランプ政治は、軍産向けの過激な戦争政治とトランプ支持の労働者層に向けた<硬軟を取り混ぜ政治>で、次第に軍産の力を削ぎながら独自の政権基盤を形成していると見ます。

 トランプ大統領が安定政権を作るには、11月中間選挙で<米朝首脳合意>が支持されて、政権基盤が整うことが必要ですが、国防省(ペンタゴン)長官は「トランプは軽率」と批判し、マスコミは一斉に「金正恩にだまされた」と誹謗しています。

民衆闘争が韓国の未来を切り開く

 6月22日、プーチン・文在寅首脳会談で「エネルギーベルト」の具体化が合意されました。極東ロシアの「極めて安価なエネルギー」が「韓国の技術力と北朝鮮の膨大な地下資源」が直結して「朝鮮半島は大国」になります。日本だけが旧体制で植民地支配の謝罪と日韓条約を居直ったままでは未来はない。

徴用被害者・大法院前記者会見

徴用被害者・大法院前記者会見

 大国化は高度経済発展の歪みを生む危険もあるが、市民・労働者の連綿とした民主化闘争の闘いの息吹が未来を決める。韓国の6月「統一地方選と国会議員補欠選挙」は南北融和の圧倒的支持だった。
 さらに重要なことは「ロウソク革命」の現場を担った市民・労働運動が引き続き持ち続ける熱気です。青瓦台前では「大統領は財界勢力に妥協するな!」、大法院前では「日本の強制連行の責任を追及を大法院は認めろ!」と高らかに響いています。

「侵略・植民地支配・分断」の戦後責任は日本に! 

辺野古基地建設への民衆的抵抗が

辺野古基地建設への民衆的抵抗が

 この米朝合意に対抗し6月22日、安倍政権は「米共同演習は極めて重要」「北朝鮮脅威は不変」「中国を警戒するイージス艦配備」をと発言しました。
 米軍を引き止める「辺野古新基地建設を加速する土砂投入」も宣言しました。6月23日「沖縄慰霊の日」の前日に、挑戦的な軍拡を宣言したのです。

 日本政府は今や、アジアの緊張緩和を阻止するために必死です。片や南北分断体制は、根幹で韓国民衆の闘争によって打ち破られています。日本の民衆は「南北分断と戦後体制を根底から打ち破る」歴史認識を今こそ持とう。韓国民衆の南北分断を打ち破った闘いに学び、応えよう。安倍政権を倒す闘いは、日本民衆のアジアへの階級的責任でもあるのです。 (了)

(編集部注―原稿・中見出しなど編集部で整理・編集しています。)


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