主張】日米首脳会談が示したことは何か―戦争でなく平和な東アジアを!

日米首脳会談が示したことは何か

日米安保条約を破棄し、戦争でなく平和な東アジアを!

5月18~24日、沖縄・稲嶺名護市長が訪米し「辺野古新基地中止」を訴える!

ユーラシアの「地殻変動」の中の日米首脳会談

4月23日、来日したオバマ大統領と日米首脳会談がおこなわれた

4月23日、来日したオバマ大統領と日米首脳会談がおこなわれた

 今回の日米首脳会談は、ユーラシア大陸で進む冷戦後最大の「地殻変動」の中での会談であった。つまり、グローバル資本主義の世界的危機を根拠に、ユーラシア大陸の西の端の西欧と東の端の朝鮮半島までの「両端」を切り取るように形成されてきた米帝国の一極覇権体制が歴史的没落過程に入り、この両端でロシアの台頭とクリミア併合事態、中国の台頭と軍事大国化・海洋進出が進み、ヘゲモニー抗争も激化し、世界は新秩序を巡ってどのような変容を遂げていくか。そのことが現在の世界的危機の中心問題にある。これはこれで日米核安保同盟の動揺と変容を大きく規定し、わたしたちが生きる東アジアがもう一つの世界的激動の中心舞台に競り上ってきた所以である。

 オバマ大統領のアジア歴訪は、この「地殻変動」に対応したアジア太平洋地域に戦略的重心を移す「リバランス(再配置)」戦略によるもので、一方で台頭する中国との「結託と抗争」の「米中新型大国関係」を重視しながら、他方で今回の日本での尖閣に安保適用、韓国での有事指揮権の米軍保持、マレーシアでの包括的パートナー確認、シンガポールに米海軍新型艦船の配備、フイリピンでの米軍の再拠点化などに見るように、目下の同盟国を米戦略下に再配置し強固に固め、中国の海洋進出を牽制することにあった。

 日米首脳会談に臨むオバマ米政権の最大の関心事は、11月大統領選の中間選挙と5月から始まる予備選をにらんで、TPPで牛肉・豚肉・自動車など関税撤廃に日本に最大の譲歩をさせて成果を挙げること。「国賓」として迎えた安倍政権の最大の狙いは、国際的孤立の中で5月以降の国内政治の中央突破をにらんで、盤石な日米同盟堅持と「尖閣」への安保適応による後ろ盾、「集団的自衛権行使容認」への支持を取り付けることにあった。

日米首脳会談の結果が示したこと

 周知のように「日米共同声明」が公表されたのは、TPP問題でぎりぎりまでの協議の結果、オバマ大統領の韓国への離日20分前という異例の事態となった。

 共同声明は、「米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」「米国は、集団的自衛権の行使に関する事項について日本が検討を行っていることを歓迎し、支持する。」「(原発推進の)日本のエネルギー基本計画を歓迎」など、安倍政権の求めに応えその戦争政策支持を表明し、日米軍事協力指針(ガイドライン)の見直しなど日米軍事同盟の「強化」を確認した。

 この見返りにTPPについては、「前進する道筋を特定した」「大胆な処置を取る」と、「見えない約束」(山田俊男自民党参議院議員・元農協中央会専務理事)も懸念される事実上の基本合意の確認となった。また会談では、普天間米軍基地の名護市辺野古移設・新基地建設について安倍首相が「強い意志をもって早期かつ着実に工事を進めていく」と表明し、共同声明には「早期移設および沖縄の基地の統合は、長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在感)を確かなものにする」と、辺野古強行と沖縄への米軍駐留の半恒久化方針を合意した。

「戦争同盟」に変貌する日米安保同盟

4月19日、辺野古ではテント座り込み10周年の集会と神事がおこなわれた

4月19日、辺野古ではテント座り込み10周年の集会と神事がおこなわれた

 日米首脳会談が示したことは、第1に、安倍政権は沖縄の140万県民と、TPPに反対する全国の農漁民・商工業者の民意を踏みにじることを〈担保〉、〈取り引き材料〉に、尖閣への安保適用と、集団的自衛権行使支持の米政府の「お墨付き」を手にした。

 第2に、安倍首相が「盤石」と笑みを浮かべた日米同盟の間にある軋みと矛盾が鮮明になったことである。それは、共同記者会見で、オバマ大統領が尖閣への安保第5条の適用を旧来の米政権の立場の踏襲だと言い、「尖閣の主権の帰属については立場をとらない」と安倍の「日本の領土である」という主張に組みせず、逆に「(中国、韓国などと)対話や信頼醸成の取り組みがなく、事態の悪化を見続けることは大きな誤りだと安倍首相に伝えた」と述べたことに現われた。米韓首脳会見では「従軍慰安婦問題は重大な人権侵害」とも言い放った。

 しかしながら、米政権は安倍政権の歴史修正主義や尖閣などでの軍事的挑発が米リバランス戦略を掘り崩すとの観点から釘を刺しつつも、米国防予算の削減と陸・海軍の縮小による穴を辺野古新基地建設・沖縄米軍基地の恒久化や集団的自衛権行使で米軍と地球の裏まで行って戦争する自衛隊で埋め、総じて日米軍事同盟の「戦争同盟」への転進を合意した。現憲法は米国に押し付けられたものと主張して「戦後レジームからの脱却」を称揚してきた安倍政権も、国際的孤立と国内慎重派説得のために米政府の〈お墨付き〉を頼りにせざるを得ず、米戦略の懐中で経済的にも軍事的にも一層の対米隷従を深める以外にない。

 第3に、鮮明となったことは、日米安保条約による日米同盟は、TTPにみる保険や年金、知的財産にまで及ぶ経済的文化的側面と、沖縄・全国の米軍基地、原発推進も含めた軍事的側面を持つということである。よって、集団的自衛権行使容認・9条壊憲による安倍政権の「戦争国家」への策動を阻止する闘いは、戦後の「平和国家」に覆いかぶさり、米軍基地の根源でもあり、沖縄への「構造的差別・暴力」を強制する日米安保条約を破棄する闘いと一体である。
 問われているのは、戦争ではなく日米安保条約を破棄し、憲法9条を広げ、東アジアの不戦・平和共同体の構想と行動である。

沖縄の怒りを背に名護市長の訪米行動の成功を!

 安倍政権は、集団的自衛権行使容認に向け、自らの私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書を連休明けの5月12日の週にも出させ、「首相見解」ともいうべき「政府方針」を示し、公明党との協議を進め、夏までの閣議決定を目指している。集団的自衛権の行使を容認すれば〈海外での武力行使〉を禁じ不可能にしてきた憲法上の歯止めをなくす。憲法は統治者を縛る規範である。閣議決定だけで規範を変えることは立憲主義を無視する暴挙であり、許すことはできない。

 日米両政府が「強い意志をもって早期かつ着実に進める」としたその沖縄では5月中旬に平和行進が行われ、名護現地からは沖縄県民の怒りを背に、18日より稲嶺名護市長が訪米し、米政府、各省、各界に「辺野古埋め立て、新基地中止」を訴えて行動する。これにこの1月に「辺野古中止を」と国際声明を出したノーム・チョムスキー氏やオリバー・ストーン氏ら世界の識者・文化人が連携する。そして第5期沖縄意見広告運動がこれらと連携して、19日~21日の3日間米大手紙ワシントンポスト〈ウエブ版〉に英文広告を出す。国際的連帯で稲嶺市長の行動を支えよう! 日米両政府への反撃はここからだ。(2014年5月5日)

5/2琉球新報(クリックで拡大)

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海外の著名人も連帯
「米国市民と同様に、
 人権と自然環境の権利を沖縄県民に返さねばならない」


 5月2日付琉球新報・沖縄タイムスに意見広告運動が掲載されました。
 第5期沖縄意見広告運動が名護市長訪米に合わせ、5月19日から3日間、ノーム・チョムスキー氏やオリバー・ストーン氏ら世界の識者・文化人のメ―セージを載せて、米大手紙―ワシントンポスト紙(ウエブ)に「辺野古反対」の意見広告を実施しました!


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