砂川事件再審・最高裁が内容審理なしで棄却の卑劣!
伊達判決を生かす会が声明

伊達判決を生かす会が声明
人権侵害に目をつぶり自分たちの身内をかばった卑劣

伊達判決を生かす会が声明
 米国機密文書公開によって暴露された、田中耕太郎最高裁長官(当時)の砂川事件審理の不正。それによって当時の被告らは憲法37条が保証する「公平な裁判所」による審理を受けることができなかった(→参照)。この事実を是正するため「伊達判決を生かす会」より提起されていた砂川事件の再審請求について、最高裁第二小法廷は請求の内容を全く吟味せずに「門前払い」とする特別抗告棄却の決定を下した。判決理由はわずか三行半で、文字の通りの「みくだりはん」を突きつけたのである。伊達判決を生かす会はただちにこれに抗議する記者会見と院内集会を開き、以下のとおり声明を発表した。

砂川裁判 再審請求棄却判決についての声明(全文)

2018年7月19日

 昨日(2018年7月18日)、砂川事件の再審請求事件について、最高裁第二小法廷 (裁判長菅野博之、裁判官鬼丸かおる、同山本庸幸、同三浦守)は、2017年11月 15日の東京高裁即時抗告棄却決定に対する再審請求人の特別抗告を棄却する決定(以 下「本決定」という)を出し、再審請求を認めなかった。これは誠に不当かつ政治的な 決定であり、強く抗議する。

 砂川事件は、半世紀前、(旧)立川町にあった米軍立川基地の拡張に対する反対闘争の 過程で基地の中に入った人々を「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条 に基づく行政協定に伴う刑事特別法」に違反するとして起訴した刑事事件であり、一審 東京地裁は被告人に無罪判決(伊達判決)を言い渡したが、検察官から直接最高裁に上告した「跳躍上告」により、1959年12月16日の最高裁大法廷判決はこの無罪判決を破棄して事件を東京地裁に差戻し、差戻後の東京地裁は被告人に罰金2000円の有罪判決を言い渡し、この判決が確定していた。

田中耕太郎最高裁長官

田中耕太郎

 ところが、当時最高裁大法廷の裁判長であった田中耕太郎最高裁長官が、事件を審理していたさなかに、アメリカ大使と公使に「プライベート」に会って、別紙「最高裁長官田中耕太郎が米側に伝えた情報一覧表」のとおり、裁判の見通し、審理の進め方、一審判決に対する否定的評価など多数の裁判情報を米側に伝えていた事実が2008年に 発覚した。そこで、2014年6月、元被告人と遺族の4名が、最高裁大法廷判決は「公平な裁判所」による裁判を刑事被告人に保障した憲法37条1項に違反していたとして 東京地裁に再審請求をした。

 これに対し、2016年3月、東京地裁は再審請求を棄却し、請求人は東京高裁に即 時抗告をしたが、東京高裁は上記の抗告を棄却するとの決定を出し、これに対し請求人 が最高裁に特別抗告を申し立てていた。

 特別抗告を棄却した本決定の理由は、特別抗告の理由が、単なる法令違反の主張であ って、「憲法の違反、憲法の解釈の誤り」(以下「憲法違反等」という)の主張ではない というものである。

 しかしながら、別紙一覧表(下段pdf)を見れば、砂川事件の元被告人(再審請求人)たちを裁いた最高裁大法廷が憲法37条1項が定める「公平な裁判所」ではなく、元被告人たちが公平な裁判所の裁判を受ける権利を奪われていたことは、一目瞭然である。請求人の主張が憲法違反等の主張にあたらないとして門前払いをした本件決定は、ことさらに憲法に基づく実体判断を回避したものと言わざるを得ない。

 また、刑事訴訟法411条は、上告裁判所は、「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」 があり、「原判決を破毀しなければ著しく正義に反する」ときは原判決を破毀することが できると規定し、これは本件再審請求事件の特別抗告事件にも準用される。

 しかし最高裁第二小法廷は、刑訴法411条に基づいて被告人に対する憲法上の権利 侵害を救済しようとはしなかった。何故か、その理由は、司法のかばい合いであり、ま た司法が政治権力に迎合したからである。その結果、最高裁は人権の砦の役割を完全に 放棄してしまったのである。

 本件において、東京地裁、東京高裁、そして最高裁は、1959年に砂川事件を審判 した最高裁大法廷が憲法違反の不公平な裁判所であり、刑事被告人が憲法で保障された 権利を侵害されたという明らかな人権侵害に目をつぶり自分たちの先達をかばったので ある。本決定によって司法は完全に地に落ちたと言っても過言ではない。

 しかし、本決定によっても砂川事件大法廷判決の背後で行われた田中耕太郎裁判長の いわば犯罪的である裁判情報の漏洩と偏頗な訴訟指揮という歴史的事実を消し去ること はできない。

 「公平な裁判所」(それは1950年の最高裁判決によって、「事実としての公平な裁 判所」ではなく、「偏るという心配を人に抱かせることのない裁判所」という意味である) であることは裁判の大前提である。審理中の刑事裁判の裁判長が被害者とプライベート に面会し、裁判の見通しや審理の進め方、原判決に対する評価等を伝えたとすれば、そ の裁判所が「公平な裁判所」と言えないことは常識である。

 砂川事件大法廷判決が、憲法違反の裁判所による裁判であったことは、もはや明白と なった。本件再審請求によって、この事実を白日の下にさらし、砂川事件第一審伊達無 罪判決を社会的に復権させたことで、再審請求人の目的は十分達し得たものと考える。

 なお、残るは何故最高裁が人権の砦の役割を完全に放棄してしまったのかであるが、 これを解明するのは学者とジャーナリストの役割であることを付け加えておきたい。

2018年7月19日

砂川事件再審請求事件
再審請求人:土屋源太郎、椎野徳蔵、武藤軍一郎、坂田和子(坂田茂遺族)
常任弁護団:吉永満夫(弁護団代表)、武内更一(主任弁護人) 遠藤憲一、細川潔、山田智明

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