砂川闘争から沖縄・横田へ 伊達判決59周年記念集会

憲法から生まれた伊達判決を活かそう! 砂川闘争から沖縄、横田へ! 7・15伊達判決59周年記念集会
 7月15日、砂川裁判の被告らによる「伊達判決を生かす会」主催、「商社九条の会・東京」共賛による「憲法から生まれた伊達判決を活かそう! 砂川闘争から沖縄・横田へ 伊達判決59周年記念集会」が飯田橋の東京仕事センター地下ホールにて開催され、260人以上の人々が参加した。
 午後からの集会に先立ち、午前の部では映画『流血の記録・砂川』が上映され、当時の生々しい様子が画面いっぱいに映し出された。

■ 流血の砂川闘争が引き出した日米安保体制の違法性(伊達判決)

砂川闘争 最初に砂川事件について解説が必要である。事件は、1955年に米軍が接収し使用していた旧日本陸軍立川基地を拡張するため、旧砂川町(現在は立川市に編入)の農地接収を発表したことから始まった。
 基地拡張に反対する農民らの反対運動は砂川町の町ぐるみの運動へと発展し、56年には警官隊と反対派の激しい衝突へと発展していった。そして警官隊の振り下ろす警棒によって文字どおり「流血の砂川」と言われる闘争となったのだ。

砂川闘争 翌1957年は、基地内民有地への強制測量阻止闘争が激化し、反対派は測量を何度も阻止した。この闘争のさなかの7月8日、支援の学生、労働者が基地内に1メートルほど立ち入ったが、警察はそれから2カ月以上も経ってから突然、この「侵入」を理由として23人を検挙したのである。しかも軽微な刑罰でしかない「建造物侵入」ではなく、日米安保条約によって米軍基地に適用され、より厳罰となる「刑事特別法違反」を適用したのである。反対運動への脅しであった。

 ところがこの裁判において驚くべきことが起こった。1959年3月30日、東京地裁伊達秋雄裁判長は「米軍の駐留を定めた日米安保条約は軍備を持たないとした日本国憲法に違反する」ことを理由に、米軍基地に立ち入った被告らを全員無罪としたのである(伊達判決)。これは歴史に残る名判決と言っていいものだ。

■ 危機におちいった日米両政府の卑劣極まる「跳躍上告」

 反対運動への見せしめの積もりが、かえって日本政府の「違憲性」が問われる結果となってしまった。翌年1960年の安保改訂に向けて、これを「違法」とする判決のままで改訂交渉をすることはできない。

米国に審理内容を秘密裏に流しその意向に沿って判決を書いた田中耕太郎最高裁長官

米国に審理内容を秘密裏に流し、その意向に沿って判決を書いていた田中耕太郎最高裁長官

 追い詰められた政府はこれを解決するために、高裁を飛び越して最高裁への「跳躍上告」という前代未聞の奇策を実行したのである。その上で最高裁田中耕太郎裁判長は「国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については司法審査の対象から除外すべき」という『統治行為論』によって「一審破棄・原審差し戻し」という、一方的に政府の側に加担する判決をくだしたのである。
 『統治行為論』とは、「政府のナワバリに裁判所は口を出さない」ということで、司法を行政に従属させるものであり、三権分立の原則を踏みにじるものである。

■ 衝撃の新事実発見さる!アメリカに隷従する日本の実態!

砂川事件の米公文書発見を報じる記事

砂川事件の米公文書発見を報じる新聞記事

 伊達判決から50年近く経過した2008年、この砂川裁判に関わる新事実が米公文書館から国際問題研究家の新原昭二さん、ジャーナリストの末浪靖司さん、布川玲子山梨学院大教授らによって発見された。さらにその後も5年間にわたって新事実を示す文書が次々と公開されてきた。

 アメリカは民主主義の根幹である「人々の知る権利」を尊重する国で、行政に関わるどんな秘密文書も50年後には必ず公開しなければならないことになっている。公開された文書では伊達判決に対して当時のマッカーサー駐日大使と岸政権、そして最高裁田中長官とが協議し、駐日大使の示唆のもとで判決内容を決めたことが明らかとなったのだ。

 裁判官は原告と被告との双方に対して等距離の位置にいなければならない。これは原則中の原則である。また審理や裁判内容について事前に外部に漏らすような事があってはならない。ところが田中長官は一方的に国の側に加担し、また事もあろうに外国人に審理内容を明らかにするばかりでなく、アメリカの意向に沿って判決を決めたのである。

 日本における協議内容は米大使を通じて米本国にも筒抜けであった。大使からの示唆は「米本国からの示唆」である。日本がもはや国権の最高機関においても「対米隷属」状態であることは明らかである。

■ 反撃の狼煙あがる!伊達判決を生かす会の結成と再審請求

土屋源太郎さん

土屋源太郎さん

 米公文書館からの新事実に基づいて、砂川闘争の元被告である土屋源太郎さんは、故中村順英弁護士や三宅弘弁護士らと共に2009年3月、内閣府、外務省、法務省、最高裁に対して砂川事件裁判にかかわる文書・記録の開示請求を起こすとともに、同じく元被告の坂田茂さん(故人)、椎野徳蔵さん、武藤軍一郎さんらに連絡を取り、再審請求運動を起こそうと決めた。50年前の判決は裁判を受ける者に認められなければならない公平・公正の原則を明らかに踏みにじっているからである。こうして同年6月6日、「伊達判決を生かす会」が発足したのである。


■ 砂川闘争から沖縄、横田へ! 東北アジアに平和のきずなを!

伊達判決59周年記念集会 当日の集会は会発足以来10回目の集会となる。
 当時全学連で活動し逮捕された元被告で共同代表の土屋源太郎さんは当時を振り返り、伊達判決が出た時にはまさかあんな判決が出るとは思わなかったと語った。あの闘いは憲法裁判としてあっただけではなく、沖縄につながる闘争として今日的に重大な意味を持っていると語った。

 同じく元被告の武藤軍一郎さん、竹内更一弁護士らが紹介され、これまでを振り返って感想を述べた。常任弁護団長の吉永弁護士は裁判所において、今日横行している「だましのテクニック」について解説して見せた。

伊達判決59周年記念集会 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの宮平真弥さん、横田基地もいらない市民交流会の井出由美子さん、商社九条の会東京の三浦恒紀さんの連帯のあいさつのあと、一橋大学名誉教授で憲法学の山内敏弘さんが「九条改憲論の危険性と伊達判決の今日的意義」と題し、砂川事件の背景となる当時の状況や、伊達判決の出された経緯、また「統治行為論」についての解説、安倍政権が策動している九条改憲論や集団的自衛権の問題を語り、最後に軍備無き平和維持のために東北アジアの平和条約の必要性を力説した。

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