変革のアソシエ2014年度講座案内

 『変革のアソシエ』では呼びかけの趣旨に即した講座を、各々毎月一回のペースで開講しています。場所は東京・中野の協働センターアソシエ、各講座の定員は20人です。受講方法など詳しいことはこちらをご覧ください。本年度は以下のような講座が開講されます。

特別講座】東アジア論――東アジアの経済成長とグローバリゼーション
講師:平川 均(国士舘大学21世紀アジア学部教授
(全5回・第2水曜日、19時~21時)[5月14日開講]

香港の夜景

 東アジアは、過去半世紀近くにわたって目覚ましい経済成長を実現し、今では世界最大の経済圏に成長している。今世紀の中ごろには世界のGDP合計の半部をアジアが占めるだろうとの推計も出されるまでになった。地域の内側に眼を向ければ、経済統合が進み、地域内で有機的な生産関係が生まれ、日本企業をはじめとする資本による投資の目的も、安価な労働力の獲得から市場そのものの獲得へと質的な変化を見せている。ところが、日・中韓の政治的関係、国民の相互認識では互いに不信を募らせる構図が鮮明である。
 日中韓の間では「国益」を前面に出した領土問題や人間観に関わる軍慰安婦問題などで対立が先鋭化している。日本とアジアの関わりは、日本にとっても今こそ解決すべき重要な課題である。本講座では、東アジアの成長の構造と到達点を確認し、日本の進むべき方向性やあり方について考えてみたい。

【テキスト】平川均『NIES―世界システムと開発』(同文館出版、1992年)、粕谷信次編『東アジア工業化ダイナミズム―21世紀への挑戦』(法政大学出版局、比較経済研究所シリーズ、1997年)所収などの平川論文を用いるが、基本テキストはPDFファイルの形で提供する。
====================
(2014年)
[1] ( 5月14日) 構造転換する世界経済と東アジア経済
[2]( 6月11日)NIESの発展とトライアングル構造
[3]( 7月 9日)2つの危機(アジア通貨危機)と東アジア
[4]( 9月10日)BRICsと東アジアの行方
[5](10月 8日)地域統合と日本の進路
====================
講師:平川 均(ひらかわ・ひとし)
(国士舘大学21世紀アジア学部教授)
専攻:経済政策(アジア経済・国際経済・地域統合)
略歴:1948年愛知県に生まれ。1980年より長崎県立大学、茨城大学、東京経済大学、名古屋大学などを経て現職。
著書:『からゆきさんと経済進出――世界経済のなかのシンガポール-日本関係史』(共著、コモンズ、1998年)、『東アジアの新産業集積――地域発展と競争・共生』(共著、学術出版会、2010年)、『東アジアのグローバル化と地域統合――新・東アジア経済論』(共著、ミネルバ書房、2007年)、『東アジア共同体を設計する』(共著、日本経済評論社、2006年)、『反グローバリズムの開発経済学』(共著、日本評論社、2003年)など。

特別講座】日本国憲法論――自民党憲法改正草案の目指すもの
講師:上原公子(元国立市長、現「脱原発をめざす首長会議」事務局長)
(全2回・第4火曜日、19時~21時)[5月27日開講]

明治憲法発布式

――戦争のできる国=《富国強兵》への回帰
 2012年(平成24年)自民党は、新しく憲法改正草案を決定した。その内容は、「戦争のできる国」へ舵を切る大胆な転換を図るものとなっている。新自民党案を作成した人物は、9・11同時多発テロ事件を機に、憲法第九条の存在を無視して整備してしまった「戦争法」の作成者、礒崎陽輔氏である。戦争法は、当時国民の大きな反発と国会の憲法解釈を巡る追及で、憲法上の矛盾を露呈させ、萎縮したものとならざるを得なかった。新自民党草案は、礒崎がその時に味わった屈辱のリベンジの憲法となっている。礒崎の描く国の形は、明らかに「富国強兵」への回帰である。
 そのために「国民は国と郷土を、気概を持って自ら守る」存在への変質が必要となった。まずは、国民の権利を守るために権力者に歯止めをかける立憲主義から、国民を縛る憲法への転換である。そして、基本的人権の存在を空洞化するために、「公共の福祉」を、「公益及び公の秩序」言葉に置き換えることにより、「個人の尊厳」は権力者の裁量であらゆる権利を拘束するに可能なものにしている。
 最も恐ろしいのは、「公益及び公の秩序」を乱すと判断すれば、軍隊が国民に銃を向けるこが日本でも起こりうることである。石破のデモに対し「テロ」との発言が、自民党の狙いを象徴的に予言している。現憲法と自民党草案を比較することで、改めて現憲法の持つ意味がよくわかる。
====================
 (2014年)
[1](5月27日)
[2](6月24日)
====================
講師:上原公子(うえはら・ひろこ)
(元国立市長、現「脱原発をめざす首長会議」事務局長)
略歴:1949年、宮崎県生まれ。法政大学文学部史学科卒業。法政大学大学院人文科学研究科修士課程中退。東京・生活者ネットワーク代表、東京都国立市市会議員、水源開発問題全国連絡会事務局、国立市景観権裁判原告団幹事、以上を経て、1999年5月、国立市長に立候補し当選、2期8年間市長を務め2007年4月に退任した。現在、「協同センター・東京」代表など。

特別講座】産業政策運動論――労働運動講座

講師:柳 充(連帯労組関西地区生コン支部副委員長) ほか
(全7回・最終土曜日、18時~20時)[5月31日開始]

関生労組ミキサー車パレード

――『関西生コン産業60年の歩み 1953~2013
   大企業との対等取引をめざして 協同組合と労働組合の挑戦』に学ぶ

 関西生コン産業の歴史書『関西生コン産業60年の歩み 1953~2013 大企業との対等取引をめざして 協同組合と労働組合の挑戦』は、初めて、関西地区の生コン産業の歴史を中小企業運動と労働組合運動の生成と構造として描いた関西生コン産業史である。本書に登場する「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」という労働組合は、本書の刊行年(2013年)に一万円もの大幅な賃上げを獲得し、それ以前の2010年には、日本の労働運動の現状では困難な139日間に渡る大ストライキを闘い抜いている。
 この連帯労組関西地区生コン支部には、中小企業についての独自の分析があり、「一面共闘・一面闘争」という資本との闘争形態を構成して、一面で中小資本と闘い、他の一面では、中小資本を事業協同組合へと組織化して、事業協同組合を通じて中小企業と労働組合とが共闘を組み、大資本と闘うという《産業政策運動》を推進している。これまでの労働運動には見られない闘いが行われている。
 現在、「競争入札」など新自由主義の「市場原理」が社会の隅々まで貫く中で、この「競争」に対し、「共生と協同」を対置し、個別的な企業別の労働組合運動から抜け出られない日本の労働運動の現状の中で、個別企業の枠を超えた横断的な業種別・職種別の労働運動を推進している。そして、同一産業における横断的な職種別の統一労働条件や同一労働・同一賃金などを獲得している。
 日本の今日の労働組合運動は停滞しているが、ここに、労働組合運動の現状の変革と発展について学ぶことのできる生きた事例がある。
 江戸時代の寺子屋のように「読み書きそろばん」の基礎を学ぶ要領で、学ぶ時間がなかなか取れない現場の労働者にも対応して、本書を音読して読み合わせながら学び、疑問点などを討論する。疑問点や問題点などは、適宜、連帯労組関西地区生コン支部から講師を招いて、本書について検討して理解を深めて、解決したい。また時には、他の協同組合などに関する教材を用いながら、現場の労働運動の教訓に生かしたいと考えている。
[受講料およびテキスト:この「特別講座」では、失業労働者・非正規労働者の受講料は、自己申告により、無料です。また、テキストは「変革のアソシエ東京事務所」に在庫があり、必要な講座受講者には用意します。]

【テキスト】「60年史」編集委員会 編『関西生コン産業60年の歩み1953‐2013―大企業との対等取引をめざして協同組合と労働組合の挑戦』(発行所「一般社団法人 中小企業組合総合研究所」、発売所 「株式会社 社会評論社」、発行日「2013年9月20日」
====================
(2014年)
[1](5月31日) 
[2](6月28日) 
[3](9月27日) 
[4](10月25日) 
[5](11月29日) 
(2015年)
[6](1月31日) 
[7](2月28日) 
====================
講師:柳 充(やなぎ・みつる)
(連帯労組関西地区生コン支部副委員長)ほか

特別講座】日本経済現状分析――日本経済を考え直す

講師:伊藤 誠(変革のアソシエ共同代表、経済学者)
(全8回・第1水曜日、19時~21時)

日本経済を考え直す

 日本経済はどうなっているのだろうか?
 サブプライム恐慌からユーロ危機へ、世界経済は世界恐慌のなかで、大きな転換期を迎えている。そのなかで日本経済は衰退傾向を強め、東日本大震災と原発事故の衝撃もうけて、まさに多重危機のもとで、生活不安、新たな貧困をいっそう深刻化してきた。1980年代以降の新自由主義と、それを奇妙な形で国家主義的に再強化しているアベノミクスは、どう評価できるか。
 現代日本の政治経済的諸課題を憂慮し、これからの日本の進路を考えようとする人びとにとって、いま重要なのは、新自由主義のもとで深刻化してきた日本経済の衰退の構造的要因を総合的に検討し、世界と日本に浮上しつつある代替的な再生戦略路線のあり方を省察してみる作業であろう。
 初学者も歓迎し、テキストのみにこだわらない議論、質問、討論も大切に、現代の日本社会をわかりやすく読み解く講座にしたい。
 【テキスト】日本経済はなぜ衰退したのか』(平凡社新書、2013年)
 【参考文献】伊藤誠著作集 第5巻 日本資本主義の岐路
====================
(2014年)
[1]( 5月7日) サブプライムからユーロ危機へ(第1章)
[2]( 6月4日)世界経済危機の構造と動態(第2章)
[3]( 9月3日)日本経済の衰退と東日本大震災の打撃(第3章1,2節)
[4](10月1日)サービス経済化と生活基盤の不安定化(第3章3,4節)
[5](11月5日)新自由主義の意義と限界(第4章1,2節)
[6](12月3日)アベノミクスの政治経済学(第4章3節など)
(2015年)
[7]( 1月7日)21世紀型の社会民主主義と社会主義(第5章1,2節)
[8] ( 2月4日)代替的戦略(グリーンリカバリー、ベーシックインカム、地域通貨)(第5章3節)
[予備日](4月1日)
====================
講師:伊藤 誠(いとう・まこと)
(変革のアソシエ共同代表、経済学者)
専攻:理論経済学
著書:『伊藤誠著作集』(全6巻、社会評論社、2009-2012年)、『日本経済はなぜ衰退したのか』(平凡社新書、2013年)、『サブプライムから世界恐慌へ』(青土社、2009年)、『幻滅の資本主義』(大月書店、2006年)、『貨幣・金融の政治経済学』(共著、岩波書店、2002年)、『市場経済と社会主義』(平凡社、1995年)、『資本主義経済の理論』(岩波書店、1989年)ほか

特別講座】フェミニズム論――ローザ・ルクセンブルクを読む

講師:足立 眞理子(お茶の水女子大学教授)
(全5回・第4木曜日、19時~21時)[5月22日開講]

ローザ・ルクセンブルクを読む

 ローザ・ルクセンブルクの著作『資本蓄積論』は、20世紀初頭の世界資本主義認識において、多くの論争と批判を巻き起こしてきた書物である。しかし、こ
の講座では、ローザ・ルクセンブルク理論が1960年代後半からの第二派フェミニズム運動・理論にたいして与えた影響に焦点をあてて読み込んでいきたい。
第二派フェミニズムは1960年代後半の様々な運動のなかで誕生したが、1970年代後半には、第二派フェミニズムの内部に潜む西欧中心主義的・一国主義
的枠組みにたいして、批判がなされるようになった。この時、ローザ・ルクセンブルク理論のもつ可能性が、フェミニズム運動や膨大な実証研究の中で再認識さ
れ、その後の「グローバリゼーションへのフェミニスト分析」の礎を与えた。
 ローザ・ルクセンブルク理論への数々の批判を検証しつつ、その妥当性と限界を見極め、可能性を開く《読み》の試みを共有できればと思っています。

【テキスト】『資本蓄積論』「第三篇」(テクストは『資本蓄積論』下巻、長谷部文雄訳、岩波書店、1934年発行を主として使用するが、他の翻訳書でも構わない。)
====================
(2014年)
[1] ( 5月22日)
[2]( 6月26日)
[3]( 7月24日)
[4]( 9月25日)
[5](10月23日)
====================
講師:足立 眞理子(あだち・まりこ)
(お茶の水女子大学教授)
専攻:経済理論・国際経済学・ジェンダー論
著書・論文:『国際移動と〈連鎖するジェンダー〉 再生産領域のグローバル化』(作品社、2008年)、「グローバリゼーションとジェンダーの政治経済学」[『公正なグローバルコミュニティを 地球的視野の政治経済』(岩波書店、2011年)所収]、「グローバリゼーションへのフェミニスト分析――弛緩と越境」(木前利秋編『現代社会の諸相』御茶の水書房、2005年)所収]、「市場・制度・「家族」――フェミニスト経済学の可能性」(『現代思想』27-1:105-113頁、青土社、2001年)、「グローバリゼーションとジェンダー」(『アソシエ』創刊号:95-110頁、御茶の水書房、1999年)ほか。

特別講座(予告)】日韓関係論――日韓国交正常化50周年(仮題)

講師:イ・ヨンチェ(恵泉女学園大学准教授)
(全4回・第1月曜日、第3月曜日、19時~21時)[10月6日開講]

日韓条約調印式

――映像を通して現代韓国を学び、東アジアの平和のために、
  日韓民衆は、今、何をなすべきかを語りあいましょう(仮題)

[註記:この講座は10月開講予定です。講座のメインタイトル、日程、そして、講師のご紹介のみの「開講予告」で掲載させていただきます。変革のアソシエ事務局]
====================
(2014年)
[1] (10月 6日)
[2](10月20日)
[3](11月 3日)
[4](11月17日)
====================
講師:李泳采(イ・ヨンチェ)
(恵泉女学園大学准教授)
専攻:国際政治、日韓・日朝関係、人権論
略歴:1971年、韓国全羅南道に生まれる。韓国映画や映像を通して現代を語る市民講座の講師も務める。
著書・論文:『なるほど!これが韓国か 名言・流行語・造語で知る韓国現代史』(共著、朝日新聞社、2006年)、「戦後日朝関係の研究――対日工作と物資調達」(『国際政治――国際政治研究の先端 6 』(156号):172-175頁、2009年)、「日朝不正常関係と二つの人道問題――帰国者、日本人妻問題の背景と課題」(『北朝鮮の人間の安全保障』第8章:161-184頁、慶応義塾出版社、2009年)、「日本のNGOによる北朝鮮人道支援の現況と展望」(『北朝鮮と人間の安全保障』第10章:217-239頁、慶応義塾出版社、2009年)、「政治的民族運動としての帰国運動――在日朝鮮人帰国運動の再解釈」(G-SEC Discussion Paper Series、文部科学省学術フロンティア推進事業、2006年)、「冷戦終結以降の北朝鮮の対日外交――国家正続性と経済協力のトレードオフを中心に」(『危機の中の朝鮮半島』第12章、慶応義塾出版社、2006年)、「戦後日本の市民運動と日韓市民連帯」(『季刊 黄海文化』2005年秋号・通巻48号:105-124頁、ソウル、セオル文化財団、2005年)、「日朝漁業暫定合意の歴史と現状――『政治的牽制手段』から『経済的利益手段』へ 」(『朝鮮半島と国際政治』第11章:249-274頁、慶応義塾出版社、2005年)、「日朝不正常関係と三つの人道問題――帰国者、日本人拉致、脱北者問題を考察する」(G-SEC Discussion Paper Series、文部科学省学術フロンティア推進事業、2004年)、「北朝鮮の対日政策:名分外交と実利外交の二重構造」(慶応義塾大学院法学研究科修士論文、2002年度)

2.講 座(11講座が開講中)

講座】『資本論』を読む

講師:小幡 道昭(東京大学教授)
(全10回・第3水曜日、19時~21時)[5月21日開講]

疎外

 カール・マルクスの著作『資本論』は、20世紀の世界の根本を解き明かしたものとして広く支持され読み継がれてきた。しかし、ソ連型社会主義が崩壊し、資本主義も大きく変貌しつつある今日の世界を理解するためには、これまでマルクス主義の名で語られてきたさまざまな常識を根本から問いなおしてゆく必要がある。
 この講座では、マルクスの学説の基礎の基礎に立ちかえり、今日の視点から『資本論』を読み返すことで、資本主義とは何か、新たな原理像をあらためて考えなおしてゆく。旧来の通説はすべてカッコに入れ、限られた回数ではあるが、マルクス自身が自ら刊行することのできた第一巻を対象にして、ポイントとなるテキストを直接精読することにする。
 大学の講義ではなかなか話せなかった『資本論』における「イデオロギー」論などにも自由に論及してみたい。難解な用語に難解な「解説」を加えるのではなく、だれでもわかるように批判的に読んでゆくことにつとめたい。

【テキスト】カール・マルクス『資本論』「第1部」(1)(2)(3)(岡崎次郎訳、国民文庫)。ただしこれ以外の訳書でも問題はない。
====================
(2014年)
[1] ( 5月21日)
[2]( 6月18日)
[3]( 7月16日)
[4]( 9月17日)
[5](10月15日)
[6](11月19日)
[7](12月17日) 
(2015年)
[8] (1月21日)
[9]  (2月18日)
[10](3月18日)
====================
講師:小幡 道昭(おばた・みちあき)
(東京大学教授)
専攻:理論経済学
著書・編書:『価値論批判』(弘文堂、2013年)、『マルクス経済学 方法論批判』(御茶の水書房、2012年)、『経済原論 基礎と演習』(東京大学出版会、2009年)、小幡道昭編『貨幣・信用論の新展開』、論文「貨幣信用論研究の課題」を収録、社会評論社、1999年)、『価値論の展開』(東京大学出版会、1988年)ほか。

講座】日本の近現代史を考えるⅣ

講師:増田都子(元中学校社会科教員・東京都教育委員会により「分限免職処分」を受け、「撤回裁判」闘争中)
(全10回、第2木曜日、19時~21時)[5月8日開講]

中学生マジに近現代史

――中学・育鵬社教科書の歴史偽造を検討しながら
 1945年の大日本帝国の敗戦から69年が過ぎようとしているが、日本は「侵略と植民地支配」の負の遺産を清算するどころではない現状にある。中学・高校の大部分の学校では自国の近現代史の真実がきちんと教えられていないばかりか、極右政治屋が首長を握った自治体では、安倍晋三が作ることを推進した育鵬社(扶桑社の子会社)による「歴史偽造」教科書が2013年度も採択が大幅に増えた。中学校の現場で堂々と「日本の戦争は自衛の戦争・アジア解放の戦争」という「歴史偽造」が教えられてきている。
 侵略の事実を中学生に教えるという当然のことをした社会科教員が「公務員不適格」と分限免職され、地裁・高裁とも「免職正当」と判決を出しても、一般のメディアは何の報道もしなかった。さらに、東京都教育委員会は、特定の文科省検定合格教科書を「国旗・国歌を強制する自治体がある」という記述が気に入らない、と排除するところまで来ている。
 本講座では、現在、使われている育鵬社の中学歴史教科書の記述を検討しながら、どのような「歴史偽造」が行われているのか、それは何を意味しているのか等々を考え合っていきたい。
====================
 (2014年) 
[1]( 5月 8日) 新安保条約
[2]( 6月12日) ベトナム戦争
[3]( 7月10日) 高度経済成長
[4]( 9月11日) 日韓条約
[5](10月 9日) 日中平和条約
[6](11月13日) 冷戦終了と日本
[7](12月11日) 湾岸戦争とイラク戦争
 (2015年)
[8]( 1月 8日) 靖国神社問題
[9]( 2月12日) 領土問題
[10](3月12日) 教育問題
====================
講師:増田 都子(ますだ・みやこ)
(元中学校社会科教員・東京都教育委員会により「分限免職処分」を受け、「撤回裁判」闘争中)
著書『中学生マジに近現代史』(ふきのとう書房、1997年)、『教育を破壊するのは誰だ!【ドキュメント】東京・足立十六中学事件』(社会評論社、2004年)、『たたかう!社会科教師――戦争の真実を教えたらクビなのか?』(社会批評社、2008年)ほか

講座】部落講座――星座の会

講師:川元祥一(作家・ルポライター、部落問題研究)
   高良留美子(詩人・評論家・作家)

(全6回・第1金曜日、19時~21時)[6月6日開講]

江戸時代の大道芸人

<違いを尊重、排除せず協議し、それらを結ぶ価値体系を探る星座>
 「部落共同体」地域分業をテーマに聞取調査の再編、当事者、専門家の話を聞き進めたい。昨年末、部落問題を社会科学的に把握する「共同体間分業」という概念が示された(『社会理論研究』第14号、2013年、池田勝雄論文)。この概念は、差別の対象とだけ見られた部落(被差別部落)が全社会・農山漁村町の間で分業関係なのを語り、「農村共同体」等と同じに「部落共同体」が成立するのを示した。
 こうした概念の確立は大きい。地域社会にある一つの分業共同体がなぜ差別・排除されたか、正面から考察出来る。差別観・排除が地域社会の奥深くから発生するのもわかる。そしてその観念を除けば、すべての共同体が独自の技術・職業をもち、異なるが由に地域が成り立つのがわかる。違いを大切にすることで自立性が生れ、さらなる新しい共同体・アソシエーションを描くことが出来るのではないか。
 古い共同体の弱点を克服し一人一人の個性・思考・建設的発言を許容し、協議して決める様々な形の共同体・共生・協労などへ。
====================
 (2014年)
[1]( 6月6日)共同体間分業とは?
[2]( 7月4日)部落共同体の歴史
[3]( 9月5日)マルクスの共同体論の変遷(高良留美子)
[4](12月5日)日本警察史と糾弾権
 (2015年)
[5]( 2月6日)川元祥一の部落の技術論と三木清の『技術哲学』(伊藤述史)
[6]( 3月6日)弾左衛門の職業(仮)
====================
【フィールドワーク】[フィールドワークは別途追加料金。]
フィールドワークも続けます。近代に潰された部落共同体を解放運動で再生、在日、外国人、障害者を結んだ足立の部落「みんなの家・保育園」。共同体が比較的残っている横浜市六浦。同業者共同体の名残をもつ品川屠場など。場所と日程は未定なので、予定できる月をしめしておきます。
[第1回](7月予定)品川屠場予定(二度目であり希望者が少ないと六浦に)
[第2回](10月予定)弾左衛門屋敷跡(二度目であり希望者が少ないと変更)
[第3回](11月2日)足立「みんなの保育園祭り」(雨の場合は翌11月3日)
====================
講師:川元 祥一(かわもと・よしかず)
(作家・ルポライター、部落問題研究)
   高良 留美子(こうら・るみこ)
(詩人・評論家・作家)
■部落講座および講座関連フィールドワークへの問い合わせ先: 
  山家誠一 MP:090-2429-2944


講座】アントニオ・ネグリの思想

講師:中村勝己(中央大学法学部・法政大学法学部兼任講師)
(全10回・第2金曜日、19時~21時)[5月9日開講]

戦略の工場


――1960-70年代イタリアの政治思想
 イタリアの政治哲学者アントニオ・ネグリは、2013年4月に初来日した際に私が行なったインタビューにおいて、1960~70年代イタリアにおける新左翼理論潮流オペライズモ(労働者主義)と、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの仕事(生権力論)には、明らかな同時代性があると指摘していた(『現代思想』2013年7月号参照)。国家権力以外のミクロな権力(例えば知の権力、医療の権力、資本の権力)が社会総体に充満し、人びとの生活全体を包摂するという事態を、フーコーなら生権力の登場として、ネグリなら資本と国家が傾向的に同一化した融合権力として把握していたのだと。
 こうした生権力への抵抗・闘争の場を生政治として捉えるならば、どのような社会理論と運動が構想されるだろうか。本講座は、この問題意識に沿ってイタリア・オペライズモの理論の軌跡を追いかける。
 テキストは前年度の2013年度からの継続でアントニオ・ネグリ『戦略の工場――レーニンを超えるレーニン』(中村勝己・遠藤孝・千葉伸明訳、作品社、2011年)を取りあげる。適宜、ネグリの理論的先行者であるマリオ・トロンティの著作や、『戦略の工場』と同時代の著作『国家形態』(その一部が『ディオニュソスの労働―国家形態批判』に邦訳されている)なども取り上げる予定である
====================
(2014年)
[1]( 5月 9日)はじめに―生権力とは何か?フーコーのコレージュ・ド・フランス講義を中心に
[2]( 6月13日)『戦略の工場』第Ⅲ部「国家死滅の経済的な基礎」第19―20講
[3]( 7月11日)同 第21―22講
[4]( 9月12日)同 第23―24講
[5](10月10日)同 第25―26講
[6](11月14日)同 第27―29講
[7](12月12日)『戦略の工場』補論「極左主義〔「左翼主義」小児病〕について」30―31講
(2015年)
[8]( 1月 9日)同 第32―33講
[9]( 2月13日)『ディオニュソスの労働』第2章「ケインズと国家の資本主義的理論」を中心に
[10](3月13日)同 第4章「コミュニズムの国家論」を中心に
====================
講師:中村勝己(なかむら・かつみ)
(中央大学法学部・法政大学法学部兼任講師)
専攻:20世紀イタリア政治思想史
略歴:1963年生まれ。中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程満期退学。政治学博士(中央大学)、博士論文『ピエロ・ゴベッティの政治思想と行動』。
論文:「70年代イタリアにおける後期マルクス主義の成立ver. 2」(『情況』第4期・2012年9・10月合併号)、「1930年代イタリアにおけるヘーゲル「法」哲学の再審――ジェンティーレとソラーリを中心に」(日本ヘーゲル学会編『ヘーゲル哲学研究』Vol.13、2007年)、「グラムシ『獄中ノート』におけるヘーゲル「法」哲学の変奏」桑野弘隆・山家歩・天畠一郎編『1930年代・回帰か終焉か』(社会評論社、2007年)、「1990年代イタリア左翼の再定義論争における敵対性と平等主義――ボッビオ
『右翼と左翼』をめぐる議論を中心に」(日本政治学会編『年報政治学 2006―Ⅰ』木鐸社、2006年)ほか。
翻訳:アントニオ・ラブリオーラほか著(上村忠男監修、共訳)『アンソロジー・イタリアにおける〈マルクス主義の危機〉論争』(未來社・近刊)、アントニオ・ネグリ著『戦略の工場』(遠藤孝・千葉伸明との共訳、日本語版解説論文「70年代イタリアにおける後期マルクス主義の成立」、作品社、2011年)、アントニオ・ネグリ著『アントニオ・ネグリ講演集(上・下)』(上村忠男監訳、堤康徳との共訳、ちくま学芸文庫、2007年)、ジョルジョ・アガンベン著『例外状態』(上村忠男との共訳、未來社、2007年)、ノルベルト・ボッビオ著『光はトリノより――イタリア現代精神史』(訳、青土社、2003年)など。

講座】現代哲学としての『エチカ』――スピノザ『エチカ』を読む

講師:江川隆男(立教大学教授)
(全9回・第1木曜日、19時~21時)[6月5日開講]

スピノザ

 本講座では、スピノザの『エチカ』を精読し、その思想内容を現代哲学として理解し、また展開したいと思っています。スピノザの哲学は長い間、忘れ去られていました。そして、その思想内容がようやく理解され始めたのは、20世紀後半になってからだと言えます。「倫理学」としか訳しようのない、この人類史上もっとも重要な哲学書が、なぜかくも無視され誤解され続けてきたのでしょうか。その理由の一つは、徹底した〈内在性の思考〉にあると言えるでしょう。いかにして〈内在平面〉を構成するのか。情緒ではなく情動を、意見ではなく概念を、所産的自然の唯物論ではなく能産的自然の唯物論を、モラルではなくエチカを、言葉の言語活動ではなく観念による思考活動を考えたいと思っています。
 本年度は『エチカ』「第四部」「定理三六」から読むことになります。一回目に、『エチカ』第四部までの簡単な解説をおこないます。『エチカ』は既に読みをえたところに何度も何度も立ち返らなければならない書物であり、その意味ではどこから参加されても条件は同じですので、どうぞお気軽にご参加ください。

【テキスト】スピノザ『エチカ』(上・下巻、畠中尚志訳、改版、岩波文庫、1975年)
【参考資料】ジル・ドゥルーズ『スピノザ――実践哲学』(鈴木雅大訳、平凡社、2002年)。各自でご用意ください。
====================
 (2014年)
[1]( 6月5日[変則]) スピノザの哲学
[2]( 7月3日)諸人間の間の一致についてⅠ
[3]( 9月4日)諸人間の間の一致についてⅡ
[4](10月2日)コナトゥスの三つの規定
[5](11月6日)人間存在の理性化の諸条件Ⅰ
[6](12月4日)人間存在の理性化の諸条件Ⅱ
 (2015年)
[7]( 2月5日)悲しみの感情批判
[8]( 3月5日)理性における〈よい〉と〈わるい〉Ⅰ
[9]( 4月2日)理性における〈よい〉と〈わるい〉Ⅱ
====================
講師:江川 隆男(えがわ・たかお)
(立教大学教授)
専攻:哲学
著書・論文:『存在と差異――ドゥルーズの超越論的経験論』(知泉書館、2003年)、『死の哲学』(河出書房新社、2005年)、『超人の倫理――〈哲学すること入門〉』(河出書房新社、2013年)、「分裂的総合について――ドゥルーズ=ガタリ論」(『思想』、2007年5月、岩波書店)、「脱地層化のエチカ――ドゥルーズ=ガタリ論(二)」(『思想』、2010年2月、岩波書店)
翻訳:『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』(ブレイエ著、訳、月曜社、2006年)、『ニーチェと哲学』(ドゥルーズ著、訳、河出文庫、2008年)、他。

講座】時間の支配
――モイシェ・ポストン『時間・労働・支配』とジョン・ホロウェイ『革命』を読む

講師:野尻英一(自治医科大学准教授、早稲田大学講師)
(全10回・第2土曜日、18時~20時)[5月10日開講]

ジョン・ホロウェイ『革命』

 本講座では、前年度の2013年度に引き続き、アメリカ合衆国シカゴ大学のモイシェ・ポストンの主著『時間・労働・支配』を読み、その後、ジョン・ホロウェイの『革命』を読んでいきます。
 ポストンは、「廃絶すべきは、価値=抽象的人間労働=抽象的時間による支配である」といったテーゼを唱えて、伝統的マルクス主義を批判する視点を打ち出しています。その特色は、表層上のモード変化を遂げながら加速する資本主義の核心に存在している動態性のメカニズムを、《時間論》によって取り出している点にあります。さらにホロウェイは、そのポストンの理論を継承しつつも、ヘーゲル/アドルノの否定性の概念によってそれを補填することで、われわれの社会を支配する抽象的な形式としての時間の呪縛をいかにして逃れるかという問題に取り組んでいます。
 二書の読解を通して、マルクスの社会理論を分配と所有の問題から解き放ち、現代社会に適用したときに、見えてくる文明論的なビジョンについて議論していきます。

【テキスト】モイシェ・ポストン『時間・労働・支配――マルクス理論の新地平』(白井聡・野尻英一監訳、筑摩書房、2012年)、ジョン・ホロウェイ『革命――資本主義に亀裂をいれる』(高祖岩三郎・篠原雅武訳、河出書房新社、2011年)
【参考資料】マルクス『資本論』、『経済学批判要綱』など。委細は講座内で教示します。
====================
 (2014年)
[1]( 5月10日)『時間・労働・支配』
           第6章:ハーバーマスのマルクス批判
[2]( 6月 7日[変則])第7章:資本の理論に向かって
[3]( 7月12日)第8章:労働と時間の弁証法
[4]( 9月13日)第9章:生産の軌道(1)
[5](10月11日)第9章:生産の軌道(2)
[6](11月 8日)第10章:結論的考察
[7](12月13日)『革命』I~III章
        (壊すこと、亀裂 尊厳の反政治、不可能性の淵の亀裂)
 (2015年)
[8] (1月10日)IV~V章(労働の二面的性質、抽象的労働 巨大な囲い込み)
[9] (2月14日)VI~VIII章(抽象的労働の危機、労働に反して為すこと、裂け目の革命のメロディ、誕生の時)
[10](3月14日)総合的討議
====================
講師:野尻 英一(のじり・えいいち)
(自治医科大学准教授、早稲田大学講師)
専攻:哲学
略歴:早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。早稲田大学助手、助教、フルブライト研究員(シカゴ大学客員研究員)などを経て現職。日本ヘーゲル学会研究奨励賞受賞。
著書:『意識と生命 ヘーゲル『精神現象学』における有機体と「地」のエレメントをめぐる考察』(社会評論社、2010年)、『ヘーゲル 現代思想の起点』(共著、社会評論社、2008年)など。

講座】心的現象論――吉本隆明『心的現象論』講義

講師:山本哲士(文化科学高等研究院ジェネラル・ディレクター)
(全10回・第3木曜日、19時~21時)[5月15日開講]

吉本隆明『心的現象論』


 吉本隆明の本質思想の原基に位置する『心的現象論』「序説・本論」を徹底して精読する。カール・マルクスとジクムント・フロイトから疎外=表出される「心的」な閾は、環界と身体とから疎外された表出域である。近代の西欧思想の総体を対象化して、未踏の雑感覚の閾へ突入した吉本の格闘的言説は、20世紀の世界線での最高峰のものといえる深みに在る。それは、あらゆる思考の基盤となるものであるだけでなく、〈わたし〉の心的表出を、〈わたし〉と現在および前古代との関与の仕方において、解き明かす。
 『心的現象論』の関係論と了解論の〈時空〉を経ていくことで、いまここでの〈わたし=世界〉を自己領有しうる思想の質は、言語表出と幻想表出とからみながら、その「こころ」の感覚界を明示する。経済・政治・社会、そして、文化・歴史をめぐる思考の根元である。同時に、フロイトとジャック・ラカンの理論を踏まえつつ、読み進めたい。吉本はラカンを軽く扱っているが、ラカンによる考察は吉本と同様に思想と理論において同時的に深い。両者に根底で通底するのは「現在」という構造の対象化である。
 今年度は、前年度に引き続き『心的現象論本論』「身体論18」から解読を始める。

【テキスト】『改訂新版 心的現象論序説』(角川文庫、1982年)、『心的現象論本論』(文化科学高等研究院出版局、2008年)
【参考文献】山本哲士『吉本隆明の思想』(三交社、2008年)。特に、ジャック・ラカン『精神分析の倫理(上)(下)』(ジャック=アラン・ミレール編『セミネール』第七巻、小出浩之・鈴木國文・保科正章・菅原誠一訳、岩波書店、2002年)を参照する。他には、ジャック・ラカン“Le seminaire”『セミネール』(第1巻『フロイトの技法論』、第2巻『フロイト理論と精神分析技法における自我』、第3巻『精神病』、第4巻『対象関係』、第5巻『無意識の形成物』、第11巻『精神分析の四基本概念』の日本語訳など)を適宜参照する。
====================
 (2014年)
[1] ( 5月15日)
[2]( 6月19日)
[3]( 7月17日)
[4]( 9月18日)
[5](10月16日)
[6](11月20日)
[7](12月18日)
 (2015年)
[8] (1月15日)
[9] (2月19日)
[10](3月19日)
====================
講師:山本 哲士(やまもと・てつじ)
(文化科学高等研究院ジェネラル・ディレクター)
専攻:政治社会学、ホスピタリティ環境学
略歴:1948年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程修了(教育学博士)。1975年、イバン・イリイチが主宰したメキシコのCIDOCへ遊学。1988年「文化科学高等研究院EHESC」を設立、2001年「スイス・ジュネーブ国際学術財団F・EHESC」として登記、ジェネラル・ディレクターをつとめ、現在にいたる。2005年「国際ホスピタリティ研究センター」を設立。元信州大学教授、元東京藝術大学客員教授。
著書:『国つ神論――古事記の逆立解読』(2013年)、『物象化論と資本パワー』(2012年)、『哲学する日本』(2011年)、『イバン・イリイチ――文明を超える希望の思想』(2009年)、『ミシェル・フーコーの思考体系』(2009年)、『ホスピタリティ原論――哲学と経済の新設計』(2008年)(以上、文化科学高等研究院出版局)、『増補版 ピエール・ブルデューの世界』(三交社、2007年)、『現代思想の方法――構造主義=マルクス主義を超えて』(ちくま学芸文庫、1997年)ほか

講座】批評の言語――吉本隆明『言語にとって美とはなにか』を読む

講師:高橋順一(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
(全9回・第4水曜日、19時~21時)[5月28日開講]

吉本隆明『言語にとって美とはなにか』

 昨年の2013年度に引き続き2014年度も吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』を読み進めていきたいと思います。今年度は第Ⅳ章「表現転移論」の第Ⅲ部「現代表出史論」から始めます。いよいよ明治・大正文学の時代が終わり、大正末期から昭和期にかけての、現代性がより強く前面に出てくる時代の文学表出史が対象になります。
 ともかく吉本のテクストを自由に読みながら浮かび上がってくる問題を受講者の皆さんとのフリーな討論も交えながら考察していくつもりです。私としては吉本の表出史という切り口を通して見えてくる日本近代の思考空間や表現空間の構造をアクチュアルな歴史とも交差させながら明確化してみたいと思っています。
 また皆さんとご一緒出来るのを楽しみにしております。

【テキスト】吉本隆明『言語にとって美とはなにか』「Ⅰ」「Ⅱ」(角川ソフィア文庫、角川学芸出版)[他に、「初版」勁草書房、勁草書房版『全著作集』所収、角川文庫]。かならずテクストを各自ご用意ください。どの版でもかまいませんが、私自身は初版にあたる勁草書房版を使用します。
====================
 (2014年)
[1]( 5月28日)
[2]( 6月25日)
[3]( 7月23日)
[4]( 9月24日)
[5](10月22日)
[6](11月26日)
 (2015年)
[7]( 1月28日)
[8]( 2月25日)
[9]( 3月25日)
====================
講師:高橋 順一(たかはし・じゅんいち)
(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
専攻:思想史
略歴:1950年宮城県生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業。埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了。2010年4月から一年間ライプツィヒ大学東アジア研究所客員教授。
著作:『現代思想の境位』(エスエル出版会、1984年)、『始源のトポス――経験の現象学と象徴作用の解釈学』(エスエル出版会、1986年)、『越境する思考』(青弓社、1987年)、『市民社会の弁証法』(弘文堂、1988年)、『ヴァルター・ベンヤミン――近代の星座』(講談社現代新書、1991年)、『響きと思考のあいだ――リヒャルト・ヴァーグナーと十九世紀近代』(青弓社、1996年)、『戦争と暴力の系譜学――〈閉じられた国民=主体〉を超えるために』(実践社、2003年)、『ヴァルター・ベンヤミン解読――希望なき時代の希望の根源』(社会評論社、2010年)、『ニーチェ事典』(共編著、弘文堂、1995年)、『吉本隆明と親鸞』(社会評論社、2011年)、『吉本隆明と共同幻想』(社会評論社、2011年)ほか。
翻訳:ベンヤミン『パサージュ論』(全5巻、共訳、岩波現代文庫、2003年)、アドルノ『ヴァーグナー試論』(作品社、2012年)がある。

講座】現在における国家論の可能性――吉本隆明と丸山真男から

講師:三上治(批評家、9条改憲阻止の会 )
(全10回・第3金曜、19時~21時)[5月16日開講]

吉本隆明

 昨年2013年度は「共同幻想論の現在」と題した講座をやってきました。吉本隆明の『共同幻想論』をテーマにした講座で最後の方は三島由紀夫の『文化防衛論』と対比しながら検討してきました。今年度は丸山真男の政治論を中心にそえ、サブテキストとして『共同幻想論』を扱うという形で、現在における国家論を言及してみようと思います。丸山真男の政治学は戦後の政治思想に大きな影響を与えてきたのですが、その行方も含めて、現在国家の問題として検討してみたいと思います。
 今年度は丸山真男の政治論の検討を吉本の政治論を関連させた講座になります。自由と民主主義の問題を現在的に問い直すというモチーフがあり、憲法ということに関連するのですが、そこに接近してみるつもりです。ここにはジャン・ジャック・ルソーの政治思想から初期のカール・マルクスの政治論の言及も含まれます。ゲストを招いてという方法も考えていますが、具体的な進行についてはその都度の講座案内でお知らせさせていただくつもりです。

【参考文献】吉本隆明『改訂新版 共同幻想論』(角川ソフィア文庫、角川学芸文庫、一九八二年)[講座で使用する吉本および丸山やその他の著作家の作品などは、その都度、必要に応じて提示します。]
====================
 (2014年)
[1]( 5月16日) 
[2]( 6月20日) 
[3]( 7月18日)
[4]( 9月19日)
[5](10月17日)
[6](11月21日)
[7](12月19日) 
 (2015年)
[8]( 1月16日)
[9]( 2月20日)
[10](3月20日)
====================
講師:三上 治(みかみ・おさむ)
(批評家、9条改憲阻止の会 )
著作『憲法の核心は権力の問題である――9条改憲阻止に向けて』(御茶の水書房、2007年)、『今、戦争について考えることの一つとして』(2000年)、『1960年代論』(2000年)、『1960年代論Ⅱ』(2000年)、『1970年代論』(2004年)(以上、いずれも批評社)、『幻想の革命――党派思想の彼岸へ』(三一書房、1978年)ほか

講座】記号の体制
――ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ『千のプラトー 資本主義と分裂症第2巻』解読

講師:宇波彰(評論家)
(全9回・最終金曜日、19時~21時)[5月30日開講]

千のプラトー
 昨年の2013年度を引き継いで、今年度は、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著『千のプラトー 資本主義と分裂症 第2巻』「1 序――リゾーム」からテキストに即して精読して解読する。現在までの歴史の経験は、1917年ロシア革命ならびにそれにつづく歴史の経験によって、現存する多くの共産主義や社会民主主義の諸政党や労働者組織が、資本制的社会構成体に対して社会革命を遂行する力能のないものへと変形させられているという経験である。この歴史の経験は経済的なもの主体的なものについて、経済的なものは主体性にほかならないという理論の経験を生み出した。
 かくして、客観的なものと主観的なもの、また、下部構造と上部構造等々の二項対立の二重性が消えうせ、欲望する主体と制度との相補性が現れる。問題は欲望あるいは無意識をめぐって存在する。したがって、資本制的社会構成体の専制的支配システムに対抗=闘争し、また、社会革命を遂行するための理論=実践的な課題は、人々諸個人が構成する集団および組織とその欲望の動的編成の問題を提起することである。すなわち、ひとつの集団や組織が固有の欲望をもつともに、それを他の集団や組織の欲望と連結して、それ相応の想像的=創造的な言表を産出し、集団や組織の離接と増殖の条件を構成することである。隷属的な集団や組織と区別され差異化された主体的な集団や組織の編成の問題を提起することである。すなわち、横断的に根網状に意思疎通が可能な特異性をそなえた主体性を解き放つという課題を提起することである。これを次の二つの方向によって遂行する。
 第一は、集団や組織の統合を、多数多様性をつらぬいて横断的に根網状に行い、欲望に固有の多数多様性を解放するやり方で横断的に根網状に行うのである。
 第二は、集団や組織の統合を、集団や組織が構成する権力関係の分析を遂行することによって行い、同時に、集団や組織は分析装置の役割をになうべきものである。
 以上のような問題関心のもとで、テキストを解読して講義を行う。

テキスト:ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ共著『千のプラトー 資本主義と分裂症 第2巻』(全三巻、上・中・下、宇野邦一・小沢秋広・田中敏彦・豊崎光一・宮林寛・守中高明訳、註記「1994年に河出書房新社より刊行された『千のプラトー』を一部改訂の上、三分冊にしたもの」、河出文庫、河出書房新社、2010年)、必要に応じて適宜、フランス語原典を参照し、プリント教材なども使用する。】
====================
 (2014年)
[1]( 5月30日)
[2]( 6月27日)
[3]( 9月26日)
[4](10月31日)
[5](11月28日)
[6](12月26日)
 (2015年)
[7]( 1月30日)
[8]( 2月27日)
[9]( 3月27日)
====================
講師:宇波 彰(うなみ・あきら)
(評論家)
専攻:哲学・記号論
著書・論文:『記号的理性批判―――批判的知性の構築に向けて』(御茶の水書房、2007年)、『力としての現代思想―――崇高から不気味なものへ』(増補改訂版、論創社、2007年)、『記号論の思想』(講談社学術文庫、1995年、講談社)、『誘惑するオブジェ―――時代精神としてのデザイン』(紀伊国屋書店、1991年)

講座】哲学思想カフェ

(各回別、個別開講設定)

 「哲学思想カフェ」は次のような7つの交差=接合する試行=探究の場所=空間である。
 第1は、現代社会が生み出したさまざまな問題や課題を取り上げて、解決すべき問題や課題を構築する。
 第2は、シングルイッシューをめぐるラディカルな諸運動のなかから提起される重要な課題や問題を広い視野でとらえかえし、相互の脈絡をあきらかにし、共有する努力を行う。
 第3は、社会の希望の未来を生み出す知的・文化的なラディカルなイニシアテイブの形成および連帯を広げてゆく協働作業を行なう。
 第4は、世代間や男女間の協力を大切に、新しい思想や理論また実践を伸ばす。
 第5は、学問と知の平等で公平な議論の原則を守りつつ自由闊達に議論し表現する。
 第6は、伸びやかで継続的な協働の仕事場=工房を創り出す。
 第7は、討論し学び、そして、知的・文化的なラディカルへと生成変化する。
 「哲学思想カフェ」が取り上げる問題や課題は、たとえば、次のようなものである。
(1)これからの社会主義に向けて、ソ連型社会主義(=国家社会主義)の総括的検討や中国の社会主義市場経済の実験をふまえ、新たな理論的構想を探究する。
(2)自由主義および新自由主義な統治の在り方の限界を克服した新たな社会主義的な統治の在り方を探究する。
(3)資本制的生産の保守と維持に協力的な労働組合運動に対する批判およびその批判に立脚した新たな労働者運動の形成と拡大への試みを行う。
(4)資本制的生産に対抗する生産・流通・消費協同組合運動や産業政策運動を全産業に拡げていく。
(5)資本制的生産の総過程が生み出す諸問題を見出してそれらに解決を与えるために思想的・理論的・実践的に試みる。
(6)環境問題や格差貧困問題などの重要な課題や問題の解決へ向けて思想的・理論的・実践的に挑戦する。
(7)あるひとの自由な発展が他の人びとの自由な発展の条件となるような協同社会(アソシエーション=コミュニズム)の構築へ向けて思想的・理論的・実践的に試行=探究する。
(8)政治・社会・経済が生み出す諸問題に対して流布されているさまざまな一般常識や通念的思考を批判的に検証し、妥当な常識や考え方を造り出す。
(9)日本に蓄積されてきたラディカルな思想と理論を継承し発展させる。
(10)社会科学と社会思想、経済学と歴史学、人文科学と自然科学、既成の学問的諸分野と女性学などの新しい学問的分野、それらと文学・評論・社会諸運動などの異なる領域の研究・経験を集積し交流を行う。
(11)マルクス派の成長と発展のために思想的・理論的・実践的な諸問題の解決を模索する。
(12)マルクス派と非マルクス派のラディカルなアプローチとの思想的・理論的・実践的な交流を行う。
 「哲学思想カフェ」はこのような試行と探究の活動を表現するため、あらかじめ年度を通して全体のテーマや講師を設定するのではなく、アドホックに個別のテーマや問題を選定し、そして、担当の講師を決めていく講座運営の方式を採用する。従って、個別のテーマと講師が決まり次第、また、開講日と時間が確定次第、変革のアソシエホームページ「講座案内」および電子メールや印刷チラシなどにて通知し宣伝広報を行う。

3.研究会(4研究会が活動中)

研究会】労働運動研究会

講師:加藤 一(三多摩自由労働者組合) ほか
(全7回・最終土曜日、20時~22時)[5月31日開始]

労働運動研究会

 現在、職場では様々ないじめや、過労死、精神障害などが発生し、また、格差による労働者の貧困化や依然として多くの失業者が生み出されています。このような事態を生み出している資本主義社会の仕組みを少しでも知るために、昨年度の2013年度より、カール・マルクスの『賃労働と資本』をテキストにして、学習してきました。
 私達は生活の為に会社に出勤し働いている。そして、1ヵ月後に、後払いとして経営者(資本家)より賃金を受け取り、あたかも、働いた時間分の「労働」の報酬として、賃金が支払われているかのように錯覚させられている。春闘の交渉に於いて、経営者(資本家)より、設備投資や材料費にお金がかかり「利潤」が減ったと言って、賃上げを逃れ、儲けの割合を低く見せ、儲けの原動力が労働者の労働であることが覆い隠されているのが、現状です。
 このように、物の生産活動においては、《賃労働と資本》の関係で捉えていくことの大切さを、今、学んでいるところです。また、労働現場から実態報告などを受けて、《労働》と《賃労働》について考えていきます。
 2014年度もマルクスの『賃労働と資本』をテキストにして、現場で働く労働者が理解できるように、初歩的に、一文ごとに音読して読み、どのような事が書かれているのかを説明しながら、一歩一歩進めて学んでいきます。

■受講料:全7回通し6000円、各回1000円
====================
(2014年)
[1]( 5月31日) 
[2]( 6月28日) 
[3]( 9月27日) 
[4](10月25日) 
[5](11月29日) 
(2015年)
[6]( 1月31日) 
[7]( 2月28日) 
====================
講師:加藤 一(かとう・はじめ)
(三多摩自由労働者組合)ほか

研究会】ジル・ドゥルーズ研究会――ドゥルーズのスピノザ研究を中心に

講師:横手健(塾講師・日本語教師)
(全9回・第1木曜日、13時30分~15時30分)[6月5日変則開始]

ジル・ドゥルーズ

 本研究会では、ジル・ドゥルーズのスピノザ関連論文を精読し、スピノザ主義者としての彼とともに、バルフ・スピノザの『エチカ』の思想内容を理解しようと努めます。この著作によって『エチカ』を読む意味は、実践的な理解です。つまり、『エチカ』が体系的な理論として読まれるだけでなく、その問題意識を私たちの受け取る知識のほうにではなく知識を受け取る私たちのほうに向け、そして『エチカ』を読むなかで感じられ思考されることによって、ものごとを別の意味でとらえさせることにあります。理論として受け取り、知識として所有することの対極にあるものとして〈エチカ〉をとらえれば、ドゥルーズのスピノザ研究は、私たちにとっての〈エチカ〉の習作です。
 任意の参加者には、各論文のまとまった章ごとに内容を検討してもらい、研究会では精読のなかで再検討してゆく形で進行します。(昨年度までの8年間は同じ仕方で『スピノザの表現の問題』や『スピノザ――実践の哲学』などを扱いました。)参加者はどこの章を検討するにあたっても『エチカ』のどの部分であれ立ち戻らなくてはならず、その点で新たな参加者に条件は同じです。どうぞお気軽にご参加ください。
 今年は、ドゥルーズによるスピノザ関連の他の論文だけでなく、国内のドゥルーズの若手研究者として筆頭格である千葉雅也の著作の関連する章を検討する予定です。いずれも日本語で入手しやすい著作に所収のものですが、必要があれば参加者にはコピーして配布されます。

【テキスト】ジル・ドゥルーズ『無人島1969-1974』(河出書房新社、2003年)、ジル・ドゥルーズ『批評と臨床』(守中高明・谷昌親・鈴木雅大訳、河出書房新社、2002年)、ベネディクトゥス・デ・スピノザ『エチカ――倫理学』(上・下巻、畠中尚志訳、改版、岩波文庫、1975年)、千葉雅也『動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社、2013年)
【参考文献】ジル・ドゥルーズ『スピノザと表現の問題』(工藤喜作・小林康子・小谷晴勇訳、法政大学出版局、1991年)、ジル・ドゥルーズ『スピノザ――実践の哲学』(鈴木雅大訳、平凡社、2002年)
====================
 (2014年)
[1]( 6月5日[変則]) 「スピノザと三つのエチカ」
[2]( 7月3日)千葉雅也『動きすぎてはいけない』第5章
[3]( 9月4日)千葉雅也『動きすぎてはいけない』第6章 
[4](10月2日)「スピノザとゲル―氏の一般的方法」(1)
[5](11月6日)「スピノザとゲル―氏の一般的方法」(2)
[6](12月4日)「スピノザとゲル―氏の一般的方法」(3)
 (2015年)
[7]( 2月5日)「何を構造主義として認めるか」(1)
[8]( 3月5日)「何を構造主義として認めるか」(2) 
[9]( 4月2日)「何を構造主義として認めるか」(3) 
====================
講師:横手 健(よこて・たけし)
(塾講師・日本語教師)
専攻:哲学・記号論
論文:「プラトン『ゴルギアス』篇研究――弁論術の方法論を中心にして」(東京都立大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程1998年度修士論文、未刊行)

研究会】ジェルジ・ルカーチ研究会――ルカーチ『歴史と階級意識』を読む

講師:西角純志(専修大学経済学部兼任講師)
(全10回・第3水曜日、15時~17時)[5月21日開始]

ジェルジ・ルカーチ

 エドワード・W・サイードによって概念化された「移動する理論」(Traveling Theory)とは、《思想と理論が人から人へ、ある場所から別の場所へ、ある時代から別の時代へ、ある情況から別の情況へと移動する》という思想と理論の振る舞い方である。すなわち、思想や理論が移動することによって転回して、思想や理論の力が衰退したり、強まったりするというのである。
 サイードによれば、ゴルドマンやウィリアムズが、ルカーチの『歴史と階級意識』を受容した時には、1920年代の革命のアクチュアリティは既に喪失しており、アカデミックに要請された机上の理論に成り下がってしまうものであったが、アドルノやファノンによる受容は、ルカーチの理論に内在していた反逆的傾向や越境性を再陳述するものであり、新たなる転回=移動を呼び起こすものであった。そこには「移動する理論」と妥協を拒む実践家の両方を体現する「ルカーチ像」が垣間見られる。
 サイードは、次のように述べている。「理論の重要性は、旅をすること、その制約を乗り越えるべく常に移動し、移住時、ある意味、故国喪失状態に踏みとどまることである」。本研究会では、サイードの理論を踏まえ、『歴史と階級意識』を精読しつつ、ルカーチの思想を現代思想の文脈において捉え返していきたい。

【テキスト】ジェルジ・ルカーチ著『歴史と階級意識』(城塚登・古田光訳、白水社、1968年)
====================
 (2014年)
[1]( 5月21日)
[2]( 6月18日) 
[3]( 7月16日) 
[4]( 9月17日) 
[5](10月15日) 
[6](11月19日) 
[7](12月17日)
 (2015年)
[8]( 1月21日)
[9] ( 2月18日) 
[10](3月18日)
====================
講師:西角 純志(にしかど・じゅんじ)
(専修大学経済学部兼任講師)
専攻:思想史 
略歴:中央大学経済学部卒業。東海大学大学院文学研究科(文明研究専攻)博士課程単位取得退学。2014年3月博士号取得。 政治学博士(明治大学)。ドイツ・ベルリン・フンボルト大学留学。ハンガリー科学アカデミー・ルカーチ文書館にて研究滞在。元チェコ・ブルノ・マサリク大学客員研究員。
著書・論文:『移動する理論――ルカーチの思想』(御茶の水書房、2011年)、『批評理論と社会理論2――クリティケー(叢書アレテイア14)』(共著、御茶の水書房、2011年)、『マルクスから見たロシア、ロシアから見たマルクス』(共著、五月書房、2007年)、「ジェルジ・ルカーチ『歴史と階級意識』「ローザ・ルクセンブルク三部作」評註――《自然発生性と意識性》の転回=移動」『社会科学年報』(第47号、専修大学社会科学研究所、2013年)、「初期ルカーチ三部作再考――生と形式をめぐって」『アリーナ』(第16号、中部大学総合学術研究院、2013年)ほか。

研究会】ミシェル・フーコー研究会
――『コレージュ・ド・フンランス講義 1975-1976年度 社会は防衛しな
   ければならない』解読


講師:山家歩(法政大学非常勤講師)
(全10回・第4木曜日、15時~17時)[5月22日開始]

ミシェル・フーコー

 今年度は、前年2013年度を引き継いで、『コレージュ・ド・フランス講義 1975―1976年度 社会は防衛しなければならない』を解読する。研究の形式は、一パラグラフごとに音読し、また、レジュメなどを作成して、さらに、他の文献などを参照しつつ、精読して思想的理論的に吟味する。ミシュル・フーコーの権力論は現代の社会構成体において《真理の権力》として作動する《資本主義国家および社会主義国家の国家権力》とそれらの基盤に存在する政治の合理性および技術の在り方を権力との関連で理論的に取り扱うことを可能にする理論装置(概念装置と方法論)を構成する。
 フーコーのコレージュ・ド・フランス講義(1975―1979年度)の権力論三部作(『社会は防衛しなければならない』『安全・領土・人口』『生政治の誕生』)などは権力と国家権力および国家装置との関係を理論的に構成する仕事である。たとえば、フーコーは、『安全・領土・人口』「1978年4月15日」(筑摩書房、2007年)の中で、「今年度やりたかったことはすべて、司牧を特徴とするあれらの形式の権力に対する相対的に局所的・微視的な分析を出発点として、国家の問題という一般的問題にたどりつくことが逆説も矛盾もなしにまったく可能だということを示すための方法上の小さな実験に他なりませんでした。それが可能である条件はまさに、国家を、歴史がそれ自体を出発点として作られうる超越的現実へと格上げしてしまわないということです」(440頁)と述べている。
 フーコー権力論は、カール・マルクスからマックス・ウェーバーの理論的仕事へと至る系譜線によって構成された資本・支配・権力などの概念系を取り上げ直し、生権力・解剖政治・規律訓練・生政治・統治性などの概念装置によって批判的に再構成したものであり、彼らの系譜線の先端に位置する。フーコーとウェーバーとの権力論の理論的差異は、フーコーが、ソシュール以降の構造言語学およびニーチェ以降の思想体系を経由した考古学と系譜学の方法を構成したことによっている。従って、フーコー権力論の理論装置に対する理論的な検討は構造言語学以降の言語論および構造主義およびポスト構造主義以降の理論を経由することによって遂行しなければならない。以上の問題関心の下で、研究を行う。

【テキスト】ミシェル・フーコー『ミシェル・フーコー講義集成Ⅵ コレージュ・ド・フランス講義 1975-1976年度 社会は防衛しなければならない』石田英敬・小野正嗣訳、筑摩書房、2007年)
【参考文献】必要な関連文献は、適宜、紹介する。
====================
 (2014年) 
[1]( 5月22日) 
[2]( 6月26日) 
[3]( 7月24日) 
[4]( 9月25日) 
[5](10月23日) 
[6](11月27日) 
[7](12月25日) 
 (2015年)
[8]( 1月22日) 
[9]( 2月26日)
[10](3月26日)
====================
講師:山家 歩(やまか・あゆむ)
(法政大学非常勤講師)
著書・翻訳・論文:ギャビン・ケンダール;ゲイリー・ウィッカム著『フーコーを使う』(山家歩・長坂和彦訳、論創社、2009年)、桑野弘隆・山家歩・天畠一郎編『1930年代・回帰か終焉か――現代性の根源に遡る』(社会評論社、2007年)、「市民性を通じての統治――フーコー統治性論と市民社会論」(村上俊介・石塚正英・篠原敏昭編著『市民社会とアソシエーション――構想と経験』、社会評論社、2004年)、「近代の超克と日本的なるもの――小林秀雄と保田與重郎の場合」(石塚正英・工藤豊編『近代の超克――永久革命』理想社、2009年)ほか。

コモンズ71号の目次に戻る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. March_For_Our_Lives 命のための行進

    2018-4-26

    銃乱射事件から一ヶ月 全米で百万人が「命のための行進」

季刊「変革のアソシエ」No.33

最近の記事

  1. 私が集団・組織を恐れているわけ
    ■ 組織や集団を恐れる2つの理由  運動界隈にいると、いろいろな集団・組織と関わることにな…
  2. 砂川闘争
    今こそ憲法から生まれた伊達判決を活かそう 伊達判決59周年集会「7・15」で再確認  憲法9…
  3. 4・28「屈辱の日」、那覇で300人集会
    象徴天皇制 起源の欺瞞 ―「国体」護持のために沖縄は売り渡された 日本の独立後も米軍が沖縄に長期に駐…
  4. 10月ハロウィンのイラスト
    沖縄のこれが民意だデニー勝つ オプジーボ悪政ガンに効かないか 改造の内閣というこの程度 …
  5. 勝利したアレクサンドリアさん
    米国に台頭する新しい波!「社会主義」青年たち ――サンダース旋風をおしあげたミレニアル世代の若者た…

職場・労働相談はこちら(外部リンク)


連帯労組の闘い ↑ 映画「フツーの仕事がしたい」より 労働相談は連帯ユニオン

行動予定

10月
27
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
10月 27 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
24
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 24 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
12月
3
19:00 元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
12月 3 @ 19:00 – 21:00
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」/神戸 @ 元町映画館 | 神戸市 | 兵庫県 | 日本
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会 「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」 ■ 日 時:2018年12月3日(月)19:00~21:00(開場18:30) ■ 会 場:元町映画館2Fイベントルーム  〒650-0022神戸市中央区元町通4丁目1-12  https://www.motoei.com/access.html ■ 講 師 井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員) ■ 参加費:1000円   ※お申込みなしでどなたでもご参加できますが人数把握のためご連絡くださればありがたいです。  メール:civilesocietyforum@gmail.com まで。 ■ 主 催:市民社会フォーラム  http://shiminshakai.net/post/4784 ■ ご案内  安倍首相は9月3日、防衛省の自衛隊高級幹部会同での訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法に自衛隊の存在を明記する改正に取り組む考えを改めて示しました。  10月から12月まで開会予定の通常国会でも、安倍首相は憲法改正の自民党案を提出し、早期の発議を目指す方針を明らかにしています。  はたして、自衛隊を憲法9条に明記すれば、日本の平和を保障することになるのか? 9条を現実に合わせて現状追認するだけのことなのでしょうか?  そして、有事があれば命がけで日本を守る自衛官たちも、憲法に自衛隊を明記することを望んでいるのでしょうか?  元自衛官の井筒高雄さんに、改憲発議がされようとする今、自衛隊を憲法に明記することの問題点についてお話しいただきます。 井筒高雄(いづつたかお)さん 1969年、東京都生まれ。 88年、陸上自衛隊第31普通科連隊に入隊。91年にレンジャー隊員に。 92年にPKO協力法が成立すると、武器を持っての海外派遣は容認できないとして翌93年に依願退職。 大阪経済法科大学卒業後、2002年から兵庫県加古川市議を2期務める。 元自衛官の立場から戦争のリアル、コスト、PTSD などリスクを 伝える講演活動を行う。 現在、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFP) 共同代表。 共著に『安保法制の落とし穴』(ビジネス社)、単著に『自衛隊はみんなを愛している』(青志社)など

特集(新着順)

  1. 4・28「屈辱の日」、那覇で300人集会

    2018-10-20

    天皇制と闘うとはどういうことか(3)/菅孝行(評論家) 第三回 象徴天皇制 起源の欺瞞 ―「国体」護持のために沖縄は売り渡された

  2. 2018年3回目の南北首脳会談

    2018-10-16

    今年3回目の南北首脳会談 実質的な「終戦宣言」合意の重大性

  3. 平成の大逆事件

    2018-10-15

    「平成の大逆事件」組合活動そのものを違法とする #関生労組 弾圧/佐藤隆

  4. 労働組合つぶしの大弾圧抗議 9・22緊急集会

    2018-10-12

    労働組合つぶしの大弾圧抗議 9・22緊急集会

  5. 玉城デニーさん当選

    2018-10-10

    沖縄県知事選 玉城デニーさん過去最多40万票に迫る圧勝

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る