本校第Ⅱ期初年度にあたる2018年度前期の講座は7月25日をもってすべて修了しました。今年度は、講座の時間帯を夜間に全面的に移し、アクチュアルな経済、思想、協同組合、歴史認識に関わる講座を設け、第一線で活躍している講師陣を迎えることによって、労組関連の労働者、定年退職者、公務員、教師、若者など、年齢層も、職業も、多彩な受講者を集めることができました。第Ⅰ期(2016-2017年)の学校が抱えていた困難をある程度克服できたのではないか、と自認しています。
本労働学校は、新自由主義が支配し労働者が貧困と生活苦と過重労働に苦しめられている現状を打開して、労働の尊厳を回復し、労働者の連帯と相互扶助を原理とする社会を創造することを建学の精神として設立されました。
したがって、労働現場で、あるいは社会闘争の現場で、日々実践的に活動に取り組んでいる方々、日本及び世界の政治的、経済的、国際的動向に不安や不満を感じつつ暮らしている方々が、それぞれの経験をこの労働学校における講座を通して内省し、再度実践的な取り組みにはねかえらせていただくことを望んでいます。
以下に、後期の各講座の紹介をおこないます。みなさん、奮ってご参加いただき、本校で多様な経験交流を深めていただければ幸いです。
●木下武男「労働運動理論」 月曜日18:30-20:00
本講座は、企業のために組織された企業別労働組合から脱却して、労働者の雇用と生活を守る労働運動を創造する闘いの武器として労働組合の再建をめざす。
●山元一英「労働運動理論」 月曜日18:30-20:00
マルクス・レーニンの古典学習を踏まえて、労働組合結成の経験談、労働組合組織化の課題と意義について論ずる(詳細記事)。
●宮崎夏美「食育講座」 火曜日11:30-14:00
前期に引き続き、昼食作りの実践と、食を通して社会を学び、他者との結びつきを考える。
●斎藤日出治「資本論で現代資本主義の危機とその脱出路を読む」 火曜日14:30-16:00
かぎりなく価値の増殖を求める資本の運動は、なぜ世界を破局の危機に誘うのか。本講座はその秘密を商品・貨幣・資本の運動を解読したマルクスの思想のうちに探る。そして、その破局の危機を抜け出す筋道を、ひとびとの連帯と協同にもとづく暮らしの再建のうちに求める。河合ブックレット『資本主義の破局にどう立ち向かうか』をテキストに使う(関連記事)。
●津田直則「社会的連帯経済」火曜日16:30-18:00
資本主義は破局的危機に直面している。この断末魔にある資本主義にとって替わる経済体制として社会的連帯経済を位置づけ、その萌芽がすでに資本主義世界の内部で育まれている事を学ぶ。世界各地における社会的連帯経済、協同組合の運動を紹介しつつ、それらの運動を地域の下からのネットワークとしてつなぎ、新しい文明の道筋を開く
●森宣男「〈きく・よむ・うたう〉戦後沖縄の思想と運動」 火曜日18:30-20:00
戦後沖縄における民衆運動の根強さを、沖縄で民衆が口ずさむ歌を通して体感する。森宣雄『沖縄戦後民衆史―ガマから辺野古まで』(岩波書店、2016年)
●ホリィ・セン講師「読む・書く・聴く」水曜日18:30-20:00
現代社会の問題について自分で発信できる力、他者と連帯し運動をつくっていく力を身につけるために、家族、福祉、ジェンダー、労働などのテーマをとりあげディベート、演劇などの題材を用いて、コミュニケーション中心の演習をおこなう。
●水野直樹「日本の朝鮮植民地支配を考える」木曜日16:30-20:00
日本による朝鮮の植民地支配について植民地支配の構造・政策や実態、治安維持法体制、在日朝鮮人の形成、「皇民化」政策、戦時動員(労働者動員、「従軍慰安婦」動員などをとりあげ朝鮮社会の側の歴史資料も検証。大阪のフィールドワークも実施予定。
●酒井隆史「キャピタリズム・ソーシャリズム・コミュニズム」金曜日16:30-20:00
資本主義が末期的症状にあることを踏まえて、資本主義を誕生期にまでさかのぼり、その誕生期以来、資本主義のオルタナティヴとしてたちあらわれてきたソーシャリズム、コミュニズムの思想的・実践的系譜をたどってみたい。
申し込みおよびお問い合わせは、
info@ols-associe.or.jp 大阪労働学校・アソシエ生徒募集係 まで