武建一委員長「関西生コン55年の到達点から見た今」を語る―「業種別職種別ユニオン運動」研究会講座
- 2018/9/29
- 関生型労働運動, 労働運動全般
- 武建一, 「業種別職種別ユニオン運動」研究会
編集部注)この講演会は8月25日、武委員長が不当逮捕される三日前に、東京・御茶ノ水の連合会館にておこなわれたものである。
はじめに―企業を超えて関生方式を拡げよう
木下武男研究会代表が趣旨説明
この連続講座は、産別闘争として関西生コン支部が業種別ユニオンの典型的な活動を長年継続して、生コン業界団体を相手に集団交渉をおこない、企業を超えて労働条件を決定する運動を学ぶことを目的としています。
研究会の木下武男代表は、その主旨について、「関西生コン支部は、一部経営者、警察権力、右翼排外主義者の攻撃にあって、逮捕者も出ています」との弾圧状況を述べ、「研究会として、関西生コン支部への弾圧に対するもっとも有効な反撃はなんだろうと考えた場合、この関生方式をすべての領域に全国に広げること、このことは敵がもっとも嫌がることであり有効な反撃である」と強調しました。3回の講座で徹底的に学び、その成果を全国に「芽を咲かせ花を咲かせる」ことが研究会の役割だと述べられました。
(1)弾圧に抗し、労働者の権利を勝ち取ってきた歴史
■ 資本・警察権力・ヤクザ、弾圧との闘い
第1部は、武委員長の報告でした。武委員長の歩み・関生の歩みの55年間は、冒頭、敵側から作られたイメージの話から始まりました。
武委員長の報告の概要を紹介します。
運動の前進時、常にヤクザの動きと警察権力の弾圧があったこと、1973年の最初の権力弾圧と70年代の運動の前進が集団交渉と背景資本に対する取り組み。80年代、日経連(当時)会長大槻文平が「関生の労働運動というのは、資本主義の根幹にふれる運動である」とする鮮烈な攻撃。大阪府警東淀川警察に本部をおき50人からの専従、労使合意している協約をすべて強要として、企業から恐喝・強要されたという被害届を出させ、国税局も使った攻撃。2005年の大阪府下のアウト(協同組合に入っていない企業)を使って、生コン値下げによる協同組合解体と関生支部つぶし、建交労などの連中が権力と一緒になった攻撃。2015年、今回の弾圧。いずれも勝利し、今回も勝利すると。
生コン業界の構造と労働者の状態は、55年前は奴隷的な労働であり、賃金制度は競争をあおり1回走ったらいくらで、腰かけ産業といわれ次は市バスか観光バスに乗るという。生コン業界を実態的に支配しているのはセメントメーカーで、生コンは儲ける道具と考えたやり方はひどいものだった。生コン工場の90%は中小企業で、企業どうしで競争する仕組みになっている。74年、下請けだけを相手にして闘っていても成果を得ることができないので、孫請けの倒産の責任を親会社、背景資本と闘って雇用を保障させた。
■ 実力で雇用保障を勝ち取り組織拡大へ
経営者は一堂に会してやる集団交渉を嫌がる。最初16社ほど、三菱系と小野田系は集団交渉に参加しない。参加しない企業に押しかけて行動を粘り強くやり、集団交渉の拡大と背景資本に責任を取らす雇用保障の実体験は、組合幹部と組合員に自信を持たせ組織拡大につながった。
長年の闘争の成果として、(1)賃金はわかりやすく一切の差別賃金を認めない。1回走ったらいくらという成果主義は認めない。(2)雇用政策は、中小企業はいつ倒産するかわからない。つぶれた時に業界に雇用保障させる制度。(3)産業別福祉制度、企業が労働者を懐柔するために旅行に連れていったりしていたものを、労働組合が獲得して使うという制度。(4)職場の自由権の問題、組合活動のための休暇(組休)執行委員で34日、各職場に組合事務所・掲示板の設置を制度化。
これ以外に、統一的司令部としての関生支部、運輸一般からの脱退・分裂、共産党の関生支部の運動路線への批判と反撃、中小企業政策、2015年と今回の弾圧の背景と反撃、社会主義連帯経済、労働学校の建設、政治闘争などの報告がありましたが割愛します。
(2)各方面で苦悩する労働者からの質問が殺到
第2部は、質問コーナーとして設定され、武委員長が、丁寧に回答しました。
呼びかけ人の後藤道夫さんから、集団交渉での予備交渉とかリーダーシップ、優先雇用協定、過当競争から業者撤退と労働組合が業者団体と協議例、阪神淡路大震災時のシャブコン問題の基本的な点について質問がありました。
続いて、総合サポ―トユニオン、サントリー・ジャパンビバレッジの争議当該、首都圏青年ユニオン、反レイシズム情報センター(ARIC)の若者が質問しました。
(1)エステユニオンの争議として業界と交渉をしたが「集団交渉」はできていない。集団交渉にいたる闘いなどを教えてほしい。
(2)関生支部の結成は数社からはじまったが、どのような活動をやって労働者の信頼を勝ち取り組織力をつけたのか。
(3)会社と闘っていて組合に加入してもやめていく。その理由が会社から攻撃がされ首になるかもしれない、いやなら辞めればいいの2つ。私も攻撃を受けたがあきらめる訳にはいかない。どうやって組織の輪を広げていけばいいのか関生の実践を聞きたい。
(4)執行部で業種別に組織していかないと議論している段階です。美容師の相談が多いので、その業界を組織のことを考えている。美容師業界は徒弟制的なところも残っていて個人事業主化しているが、賃金も低い。組織化についてのアドバイスを。
(5)労働者供給事業を教えてほしい。
(6)労働組合の弾圧にレイシスト・在特会が使われていることについて、極右に対して闘っておられる関生において反差別、セクハラなどの取り組みと考えを聞きたい。
第2部の質問、会場からの質問について、武委員長はていねいに体験・経験をもとに答えました。武委員長の報告、質問対するに回答は研究会の報告集に譲ります。
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武委員長他2名が、8月28日滋賀県警に逮捕されました。不当逮捕であり、弾圧に屈せず当たり前の労働運動を貫徹する関西生コン支部の闘いの勝利に向けて連帯していきましょう。
◇「生コン関連業種別ユニオン連続講座」の日程
■ 第2回:「生コン関連業種別ユニオンの発展」
2018年9月29日(土)午後1時から5時
Ⅰ部:バラセメント業界について
Ⅱ部:近畿コンクリート圧送労働組合
大阪経済法科大学アジア太平洋センター
東京都港区麻布台1-11-5(地図)
■ 第3回:「生コン関連事業協同組合の歴史と現状」
10月27日(土)午後1時から5時
Ⅰ部:「事業協同組合と労働組合運動」
Ⅱ部:「事業協同組合と経営活動」
会場がまだ決まっていませんので、研究会HPで確認ください。
www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/