#水道民営化 南米ボリビア 2000年水紛争の教訓に学ぶ
グローバル資本は「水」さえ利権にかえる

2000年ボリビア・コチャバンバ水紛争水紛争2000年ボリビア水紛争の教訓に学ぶ
どん欲グローバル資本は「水」さえ利権に替える!

 先の国会では、「天皇陛下退位特例法」や「組織犯罪処罰法」などの重要法案がろくな論議もないまま成立した。その中人知れず政府が国会に提出していたのが、「改正水道法案」だった(結局、先の国会では成立せず継続審議扱いに)。
 水道は他のライフラインと違って、生命に直結する。その大事な水道事業に外資系企業が入り込んだらどうなるか。それは、過去に世界中で行われた水道民営化の教訓が雄弁に語る。この水利権に関して、世界を牛耳るグローバル資本が、世界の市民に対してどのような振る舞いをみせたのか?南米ボリビアでの水戦争の事例が彼らの正体をえぐり出す。(関西M)  

■ 世界180もの自治体が水道事業を「再公営化」している

 すでに2002年の小泉内閣において「民間にできることは民間に」との美しい掛け声で、自治体は水道施設の運用や維持管理業務を民間委託できるようになった。その後、フランスの「水メジャー」ヴェオリアは、広島県と埼玉県で下水道の維持管理に関する包括的権利、千葉県で下水道施設、福岡県と熊本県で上水道施設の維持管理を請け負っており、同様の影響力がほかの日本の自治体へも拡大中である。

 一方、米ジョージア州アトランタ市では、スエズ社の子会社によって水道事業が運営されていた。しかし、民営化によるコストカットが行きすぎて、水道管を復旧できる技術者が不足する懸念も出た。その反省から、2003年以降、アトランタ市では水道事業が「再公営化」された。(週刊エコノミスト2015年3月3日号「問題多いコンセッション方式――大阪市が進める水道民営化 海外で相次ぐ失敗例に学べ」から)。このように世界180もの自治体が水道事業を「再公営化」している
 さらにもっと深刻な失敗事例が、南米ボリビア・コチャバンバで約20年前起こったコチャバンバ水戦争から見て取れる。

■ コチャバンバ水紛争

2000年ボリビア・コチャバンバ水紛争水紛争 1999年から2000年4月にかけてボリビアのコチャバンバ市で発生した水道事業の民営化と水道料金の値上げに対して、市民が起こした大規模な反対運動があった 特に、2000年4月からの民衆決起で、都市機能が麻痺し、国際連合開発計画の報告によれば、数十人が負傷、6人が死亡した。4月10日に、民営化が撤回されたことで事態は収束した。

 この時の海外企業だったのが、元米国大統領で、イラク湾岸戦争をでっちあげ、多くの無辜の民衆が命を落とし戦争屋プレジデントと世界から軽蔑を受けたGブッシュを(事実上の)トップに据える世界最大の建設会社ベクテル社(本社カリフォルニア)だったのだ。

南米ボリビア この民営化が始まった途端、突如料金は2倍に跳ねあがり、同国の平均的国民の収入の1/3が、水道代で消えた。
 とてもコップ1杯の水さえ飲めない貧困層は、雨水を貯めこれを水道替わりに使ったが、何とブッシュのベクテル社は、天から降る水の管理権も我々にあるとして、貧者から容赦なく料金を徴取した。
 今晩食べる食料の無い、スラム街の貧しい市民がバケツに雨水を貯め、それを飲むと、それに対し数セントの金をブッシュのベクテル社は本当に請求した!のである。

 この所業に当然の抗議デモを起こしたボリビア市民の怒りに押され、コチャバンバ市当局はベクテルに契約解除を要請した。すると、この南米の貧しい国に対し、ブッシュは違約金・賠償金として2500万ドル(約30億円)を要求し、本当に支払わせたのである。まさにハゲタカどころか吸血鬼だ。

 ボリビアで、ベクテル社の水道事業に反対した市民の代表は語っている。「この2500万ドルがあれば、2万5千人の教師を雇用し、貧しい子供に教育を受けさせ、12万世帯に水道を敷き、雨水でない衛生的で安全な水を提供する事が出来た」と。この教訓を忘れてはならない。これが真実なのだ。

■ 売り上げ年間5兆円―謎の巨大政商「ベクテル」
世界最大の建設企業の様々な顔 秘密のベールの私企業が国家を呑み込む

ベクテル社 ベクテル社はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置き、総合建設業を営む多国籍企業で、石油コンビナート、発電所、ダム、空港、港湾などの建設を請け負う世界最大級の建設会社だ。
 同社は年間実質売上5兆円を超す世界最大の企業であり、IBMとAT&Tを合わせたよりも巨大で、日本の16の建設会社を合わせた規模の巨人企業でありながら、株式非公開の“個人会社”のため、日本での知名度はあまり高くない。世界では「謎の巨大政商」と言われている。
 別項の化学メーカーモンサント社とは兄弟会社のロックフェラー系企業だが、世界での原発利権や戦争ビジネス、復興利権などの一環として水道事業にも参画する。災害の陰に必ず同社ありと言われる要注意企業なのだ。

 生活に必要な全てが公共物から私的所有物に転化し、ベクテルのような多国籍企業によってすべてが商品化される新自由主義的グローバリズムこそが「民営化」の本質だ。それに対する世界の民衆抵抗の出発がコチャバンバ水紛争だった。

■ 海外企業に先鞭の「松山市」料金は2.5倍に

 さて、日本における水道民営化の問題だが2011年の3・11東北大震災直後、当時橋下徹が代表をしていた「平成維新の会」が過半数の議席を占める愛媛県松山市で民営化が決議された。 
 世界3大水メジャー第2位の仏ヴェオリア社が、この松山市の浄水場運転・維持業務などを単独で受託。いわゆる丸投げと言う形で日本で初めての外国企業の水道事業受託となった。松山市は「業務委託によって水道料金が値上がりすることはない」などとホームページで公言していたが、その結果が以下の数字だったことは長く記憶すべきであろう。

水道民営化で松山市の上下水道料金大幅値上げ

「コモンズ」122号の目次にもどる

参考

映画『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』公式サイト
映画館で配られた「飲めない」ミネラルウォーター。その深いメッセージとは
ボトルウォーターという巨大な詐欺

ブルー・ゴールド 狙われた水の真実 [DVD]
  • アップリンク
  • 価格   ¥ 3,900 ¥ 4,104
  • 販売者 Urban square
Amazonで見る

ザ・ウォーター・ウォー(雨さえも…)英語版予告編
(→日本語版予告編はこちら(GYAO!)
 新大陸を発見したコロンブスの映画を撮影するためにボリビアのコチャバンバへ赴いた監督らの一行。しかし現地では欧米企業が水道事業を独占し水道料金を大幅に値上げしており、住人が苦しんでいる最中であった。
 エキストラ応募者たちの中からスタッフが目をつけた先住民族のダニエルは撮影の合間に抗議活動に参加し、投資家たちからの資金を気にする監督は頭を悩ませる。やがて彼らの目の前で起こる抗議行動は、作品内で扱う新大陸の植民地支配とオーバーラップしていく……。

ザ・ウォーター・ウォー [DVD]
  • 松竹ホームビデオ
  • 価格   ¥ 1,484 ¥ 1,944
  • 販売者 HIKOM LAND
Amazonで見る

「コモンズ」122号の目次にもどる

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

  1. コモンズ最新号目次

特集記事(ランダム)

  1. 安保条約に署名する吉田茂

    2017-2-26

    現在に生き続ける植民地主義<連載第5回> 植民地主義的日米妥協へ

季刊「変革のアソシエ」No.33

最近の記事

  1. 私が集団・組織を恐れているわけ
    ■ 組織や集団を恐れる2つの理由  運動界隈にいると、いろいろな集団・組織と関わることにな…
  2. 砂川闘争
    今こそ憲法から生まれた伊達判決を活かそう 伊達判決59周年集会「7・15」で再確認  憲法9…
  3. 4・28「屈辱の日」、那覇で300人集会
    象徴天皇制 起源の欺瞞 ―「国体」護持のために沖縄は売り渡された 日本の独立後も米軍が沖縄に長期に駐…
  4. 10月ハロウィンのイラスト
    沖縄のこれが民意だデニー勝つ オプジーボ悪政ガンに効かないか 改造の内閣というこの程度 …
  5. 勝利したアレクサンドリアさん
    米国に台頭する新しい波!「社会主義」青年たち ――サンダース旋風をおしあげたミレニアル世代の若者た…

職場・労働相談はこちら(外部リンク)


連帯労組の闘い ↑ 映画「フツーの仕事がしたい」より 労働相談は連帯ユニオン

行動予定

10月
27
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
10月 27 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
17
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 17 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
11月
24
18:30 パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか
11月 24 @ 18:30 – 20:30
パレスチナ問題連続学習会/大阪 @ エルおおさか | 大阪市 | 大阪府 | 日本
■ 講師:役重善洋(パレスチナの平和を考える会) ■ 会場:エルおおさか(大阪市中央区北浜東3−14)  http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html ■ 第1回 米国大使館エルサレム移転と帰還大行進の歴史的意味  2018年9月29日(土)18:30~20:30  会場:エルおおさか701号室(定員54) ■ 第2回 ジェンタイル・シオニズムとイスラエル国家  10月13日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第3回 中東和平とオスロ合意  10月27日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第4回 “反ユダヤ主義”をめぐる議論  11月17日(土) 18:30~20:30  会場:エルおおさか707号室(定員18) ■ 第5回 日本とパレスチナ問題、BDS運動の経過と課題  11月24日(土)18:30~20:30   会場:エルおおさか707号室(定員18) ***** ■ 参加費:毎回¥1000(割引希望の方は応相談)  ☆通し参加を申し込まれた方は第2回以降各¥800 ■ 主催:パレスチナ問題連続学習会実行委員会  賛同団体:ATTAC関西グループ/関西共同行動/パレスチナの平和を考える会  連絡TEL090-42980-3952(喜多幡)
12月
3
19:00 元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さ... @ 元町映画館
12月 3 @ 19:00 – 21:00
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」/神戸 @ 元町映画館 | 神戸市 | 兵庫県 | 日本
元陸自レンジャー隊員・井筒高雄さん講演会 「元自衛官だからこそ語る 自衛隊を憲法に明記してはならない理由」 ■ 日 時:2018年12月3日(月)19:00~21:00(開場18:30) ■ 会 場:元町映画館2Fイベントルーム  〒650-0022神戸市中央区元町通4丁目1-12  https://www.motoei.com/access.html ■ 講 師 井筒高雄さん(元陸自レンジャー隊員) ■ 参加費:1000円   ※お申込みなしでどなたでもご参加できますが人数把握のためご連絡くださればありがたいです。  メール:civilesocietyforum@gmail.com まで。 ■ 主 催:市民社会フォーラム  http://shiminshakai.net/post/4784 ■ ご案内  安倍首相は9月3日、防衛省の自衛隊高級幹部会同での訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法に自衛隊の存在を明記する改正に取り組む考えを改めて示しました。  10月から12月まで開会予定の通常国会でも、安倍首相は憲法改正の自民党案を提出し、早期の発議を目指す方針を明らかにしています。  はたして、自衛隊を憲法9条に明記すれば、日本の平和を保障することになるのか? 9条を現実に合わせて現状追認するだけのことなのでしょうか?  そして、有事があれば命がけで日本を守る自衛官たちも、憲法に自衛隊を明記することを望んでいるのでしょうか?  元自衛官の井筒高雄さんに、改憲発議がされようとする今、自衛隊を憲法に明記することの問題点についてお話しいただきます。 井筒高雄(いづつたかお)さん 1969年、東京都生まれ。 88年、陸上自衛隊第31普通科連隊に入隊。91年にレンジャー隊員に。 92年にPKO協力法が成立すると、武器を持っての海外派遣は容認できないとして翌93年に依願退職。 大阪経済法科大学卒業後、2002年から兵庫県加古川市議を2期務める。 元自衛官の立場から戦争のリアル、コスト、PTSD などリスクを 伝える講演活動を行う。 現在、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFP) 共同代表。 共著に『安保法制の落とし穴』(ビジネス社)、単著に『自衛隊はみんなを愛している』(青志社)など

特集(新着順)

  1. 4・28「屈辱の日」、那覇で300人集会

    2018-10-20

    天皇制と闘うとはどういうことか(3)/菅孝行(評論家) 第三回 象徴天皇制 起源の欺瞞 ―「国体」護持のために沖縄は売り渡された

  2. 2018年3回目の南北首脳会談

    2018-10-16

    今年3回目の南北首脳会談 実質的な「終戦宣言」合意の重大性

  3. 平成の大逆事件

    2018-10-15

    「平成の大逆事件」組合活動そのものを違法とする #関生労組 弾圧/佐藤隆

  4. 労働組合つぶしの大弾圧抗議 9・22緊急集会

    2018-10-12

    労働組合つぶしの大弾圧抗議 9・22緊急集会

  5. 玉城デニーさん当選

    2018-10-10

    沖縄県知事選 玉城デニーさん過去最多40万票に迫る圧勝

バックナンバー

カテゴリ一覧

本日
昨日
累計
FROM 2014/01/01
ページ上部へ戻る