米騒動100年 1918「民衆決起」元年の史的意義

明治150年 歴・史・再・見
「維新150年」とは、権力側の時間軸
「米騒動100年」から見る近代民衆の目覚め

米騒動100年
 今年2018年を、明治維新から150年と言う自公政府の言い方が目立つ。この150年を2つや3つに区切るとかで時代の意義を安易に押し付ける言論が多いが、今年はずばり、1918年7月に始まった米騒動から1世紀、100年の節目に当たる近現代民衆史始まりの年なのだ。
…この騒動の発端は、北陸富山に始まる。(文責M)

■ 最初の「女たちの闘い」は嘆願から…
 生活からの怒りが全国に火を付けた

米騒動100年

米騒動で兵庫・鈴木商店が焼打ちに

 1918(大正6)年7月23日富山県魚津の町で一つの事件が起こる。
 そこは漁師町で、魚を売った金で米を買う生活をしている漁師の家が多く、そんな中、地元の第十二銀行の浜の倉庫には名産の富山米が積まれ、まさに県外に移出される矢先だった。
 -その前年、時の寺内正毅内閣はシベリア出兵を決定。陸軍をボリシェヴィキ革命進行中のソビエト連邦シベリアに派遣し、共産革命を制圧する戦争に参加するという。ここでの日本軍の残虐さで、共産側にロシア民衆の同情があつまり、共産革命がかえって進展した歴史的結果がある-

米騒動100年 それら出兵の兵に渡す兵糧米の国家的買い付けなどで、米価は驚きの急騰を見せる。
 大正5年1石150kg13円26銭だったのが、3年後に45円50銭と3倍以上の値を付ける。投機目的の米の買い占め、売り惜しみが全国で常態化し、上がり続ける米価に困り果てていた女たちがふと気がつくと、港から米が運び出されようとしている。
「米を持ち出さんで!、米の値段があがるでぇ」と女たちは騒ぎ、移送を中止させさらに米屋で米の安売りを求めた。
 検証では、けして「女一揆」と言われるような暴力性を伴ったモノではなく、同情する警官の説得で2、30人の女はすぐ解散をしたとされるが…。

■ 藩閥政治を瓦解させた
 民衆の直接行動の凄み

米騒動100年

騒動を伝える新聞は検閲で白く

 米騒動が発生しなかったのは東北3県と栃木・沖縄の5県だけで参加人数は70万人を超えるとされる。この未曾有の民衆暴動の全国化はなぜか?
 理由の一つに当時の報道姿勢が上げられると最近の研究は言う。大げさに煽ろうとしたのか記者が「富山の女房一揆」という記事を書いたのが発端だ。騒動の広がりにつけ、各新聞は騒動の様子を寺内内閣の無策ぶりとあわせ報道。危機感を抱いた権力は、騒動を伝える記事を検閲没収するという挙に出て、記事なし新聞の刊行となった。

 江戸期の一揆や打ちこわしと共通の現象が出て来たのも、口コミのネタ元たる新聞を読む層が急速に増えていたというのがその大きな要因でもあった。米騒動は、この長州閥の寺内内閣を崩壊させ、やがて普通選挙と大正デモクラシーへの時代を招く。だから今年はやはり記念の100年目なのだ。

参考文献
『米騒動の研究』 – 井上清、渡部徹(1962年、有斐閣)/『日本労働運動史年表 第一巻<明治大正編>』 -青木虹二(1968年、新生社)/『米騒動五十年』-労働運動史研究会編(1968年、労働旬報社)/『資料大正社会運動史 上』-田中惣五郎(1970年、三一書房)/『劇画民衆史 米騒動』-作画大谷薫 解説井上清(1981年、而立書房)/『筑豊米騒動記』-林えいだい(1986年、亜紀書房)




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