米国に台頭する新しい波!「社会主義」青年たち
――サンダース旋風をおしあげたミレニアル世代の若者たち
いま米国では「ミレニアル世代」の政治動向が注目されている。ミレニアル世代とは、1980年から2000年の間に生まれ、成人前に21世紀を迎えた世代のことである。その一般的特徴としては、過去のソ連・東欧圏との冷戦時代を知らず、社会主義へのアレルギーが無い。一方、2008年前後に起こったサブプライム住宅ローン危機やリーマン・ショックの被害を最も深刻に受け、格差・貧困の現実にさらされている世代である。
ハーバード大学政治研究所が2016年3月、18~29歳の若者3183人を対象に実施した調査では、51%の回答者が「もう資本主義は支持しない」と回答。「資本主義を支持する」42%を超えていた。また「自分は資本主義者だと思う」 若者は19%に留まった。ところが「社会主義を支持する」と回答した若者が33%もいたのだ。
2016年の米大統領選挙において「社会主義者」を自称するバーニー・サンダースが、民主党予備選挙において、米国エスタブリッシュメント(体制派富裕層)陣営に支持されたヒラリー・クリントンに肉迫する「サンダース旋風」を巻き起こしたが、彼を積極的に支持し、旋風を巻き起こした人びとの中には圧倒的なミレニアル世代の貧困青年たちが大きな存在感を持って存在していたのである。グローバル経済の推進者であるクリントンに比較すれば、貧困問題に対する解決策では明らかにサンダース陣営の方がはるかに現実的であったことが、多くの若者世代を惹きつけたと言えるだろう。
ふたたび甦るミレニアル旋風
大統領選挙から2年、中間選挙に向けてミレニアル世代の動きがふたたび注目を浴びている。2年前、サンダースの選挙を支えた世代の活動家たちの活動が活発化しているのである。まず、今年6月26日、ニューヨーク市クィーンズ区でおこなわれた民主党下院予備選挙で、これまで10期当選の56歳のジョン・クローリーを28歳のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス候補が得票率58%で打ち破り勝利した事が話題になっている。彼女の急進的左派政策が労働者階級の支持を取り付けたのであった。
また彼女を支持・支援した「アメリカ民主社会主義者(DSA)」には、同党の支援を受ける候補者58人(国政選挙14人、地方選挙44人)が立候補し、すでに18人(国政5人、地方13人)が当選。コルテスさんの勝利によって、同党には入党希望者が殺到し、当日だけで千人以上が入党したという。
“Thanks, Capitalism!” (DSAのプロモーションビデオ)↓
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