戦後平和運動の原点 砂川闘争から沖縄・横田へ/土屋源太郎

今こそ憲法から生まれた伊達判決を活かそう
伊達判決59周年集会「7・15」で再確認
砂川闘争
 憲法9条の尊い精神を活かした画期的判例とされる「伊達判決」から59年。それは平和を希求する地元市民と労働者学生が団結し、石川県内灘闘争と同じく一般市民が素手で権力と対峙…多くの流血の犠牲から勝ち取った基地反対闘争での高みであった。
 闘争の先頭に立った青年の一人が土屋源太郎氏だ。この判決の影響を恐れた権力側の卑劣な最高裁判決の逆転棄却に怒り「伊達判決を生かす会」を立ち上げ「伊達判決」の意義の語り部としてを活動続ける。同氏からの9月3日寄稿を紹介する。【見出し等編集部責】

緊急寄稿】7・19 「砂川事件裁判再審請求」棄却に抗議する

「伊達判決を生かす会」再審請求人 土屋源太郎

土屋源太郎さん

土屋源太郎さん

 砂川闘争とは、米軍立川基地拡張に反対する闘いです。1955年、56年、地元砂川町の反対同盟と支援する労働者、学生、市民が機動隊に守られた測量隊の農地宅地などの測量を阻止する闘いでは数千人の労働者・学生がスクラムを組み座りこみ、機動隊の暴力に「流血の砂川」と云われながらこれに屈せず闘い、拡張を中止させました。

 1957年の闘いは反対同盟の青木さんなどが基地内に所有する土地の返還を求め裁判を起こしたことに対し、政府は土地収用法を悪用し、強制収用を行うとしてその基地内の民有地の測量を行おうとしたので、それを阻止する闘いでした。数百人の労働者・学生が抗議のため基地内に侵入して闘い、測量は中止されました。

■ 砂川裁判「駐留米軍は違憲」伊達判決

伊達秋雄東京地裁裁判長

伊達秋雄東京地裁裁判長

 7月8日に基地に侵入した仲間の23人が9月22日に逮捕され、7名が安保条約に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反として起訴されました。私もその1人です。

 砂川事件裁判は憲法裁判と考え、被告人、弁護団も取り組みました。1959年3月30日、東京地裁で一審の判決が出され、伊達裁判長は「被告人全員無罪」駐留米軍は戦力にあたり憲法9条に違反しているとしました。その時の感動は今でもよみがえります。

 当時日米両政府は安保条約の改定を協議していたので、この決定に驚き、検察は東京高裁を跳び越え直接最高裁に跳躍上告をしました。59年12月16日、異常な早さで最高裁は一審判決を棄却し差し戻すとの判決を出しました。最終判決は2000円の罰金でした。

■ 最高裁審理中 日米密談の公文書を発見

田中耕太郎最高裁長官

田中耕太郎

 50年前のことで砂川闘争も伊達判決も知らない人が多くなった2008年4月、ジャーナリストの新原昭治さんが米国国立公文書館で砂川事件裁判の最高裁で審理中に田中耕太郎裁判長と駐日アメリカ大使マッカーサーが密談した公文書14通が発見されました。
 それを知った私は、新原さんとお会いし、アメリカ大使から国務省宛の14通の電文の写しをいただきました。
 内容は伊達判決の出された3月30日の翌31日の早朝、マッカーサー大使が藤山外相と会い、大使から跳躍上告を提案され、それをうけ9時からの閣議で検討することや、裁判は棄却で裁判官を一致させ早期に判決を出す、などで驚きと怒りが噴出しました。公文書一覧別紙

 駐留米軍は違憲とした戦後唯一の伊達判決の意義を多くの人に広めたい。米軍立川基地反対闘争で激しく闘い基地を閉鎖させたことを知ってもらいたい。さらに日本側にも砂川裁判最高裁審理に関する公文書の情報公開を行うとして、砂川裁判の元被告、闘争を共に闘った仲間、明大OB、市民活動をしている人々に呼びかけ「伊達判決を生かす会」を結成しました。

■ 日本側情報開示請求を却下

伊達判決59周年記念集会

伊達判決59周年記念集会

 2009年3月内閣府、法務省、外務省、最高裁に公文書の情報開示請求を行いましたが、いずれも文書は「存在しない」として不開示の回答。異議申立も審査会で同じく不開示でした。

 「伊達判決を生かす会」の活動を続ける情報開示請求の代理人弁護士の吉永先生から新原さんの発見した公文書、さらに末浪さん、布川さんより新たに発見された文書で明らかなことは、被害者であり裁判の当事者であるアメリカ大使と裁判長が、最高裁で審理中に内容を報告し密談していることはまさに違法行為であり、憲法37条で「刑事被告人は迅速・公平な裁判を受ける権利を有する」とした条文を無視し、被告人の権利が侵害されたもので、最高裁判決は汚染されたもので違法である、最高裁判決は認めることは出来ないとの提起があり、被告人・生かす会会員で検討を進め、再審請求を求めることを決めました。



■ 汚染された最高裁判決に対し再審請求

砂川事件の再審請求後、記者会見する元被告の土屋源太郎さん(右)ら 6/17、東京・霞が関の司法記者クラブで

砂川事件の再審請求後、記者会見する元被告の土屋源太郎さん(右)ら

 2014年、安倍首相は集団的自衛権行使を閣議決定をすることを決め、その法的根拠は砂川裁判最高裁判決だとしました。最高裁判決では安保条約のごとき高度な政治性を有することに司法は介入しない「統治行為論」として憲法審査権を放棄し、集団的自衛権にも触れていない判決を引用したことに怒り、抗議の意志と共に国会開会中の6月17日、東京地裁に再審請求書を提出しました。

 2016年3月8日東京地裁田辺裁判長は請求棄却を決定しました。
 地裁は理由の中で公文書は新証拠として認めるとしながら、マッカーサー大使と田中裁判長は国際会議などによる公式会で会い、密談ではない(証拠では田中裁判長とレンハート公使共通の友人宅であった)、田中の話を大使が一般論から想像して報告したなど、弁護団の請求理由など一切無視して「不公平な裁判でない」と苦しまぎれの理由でした。

 即時抗告を東京高裁に3月11日行い、2017年11月15日秋葉裁判長は棄却決定を下し、それに対し最高裁に特別抗告を行いましたが、2018年7月18日棄却決定しました。

砂川判決と戦争法案 最高裁は集団的自衛権を合憲と言ったの! ?
  • 内藤功(元砂川事件弁護団), 新井章(元砂川事件弁護団), 大森典子(元砂川事件民事事件弁護団), 吉永満夫(砂川事件再審請求弁護団), 土屋源太郎(砂川事件元被告), 山口広(弁護士), 海渡雄一(弁護士), 福田護(弁護士), 中川亮(弁護士), 小川隆太郎(弁護士), 長谷川悠美(弁護士)
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■ 再審請求の不当棄却は政治的に仕組まれた

0308砂川事件再審不当決定 請求人弁護団、生かす会会員など私たちは再審請求に対する一連の棄却決定は憲法39条を踏みにじり、被告人の人権を無視した不当な決定であり、強く抗議するものであると同時にこれは明らかに政治的に仕組まれたものであると考えています。

(一)東京地裁決定での公文書を新証拠として認め申立の内容に入り込んだことに、このままでは東京高裁で開始決定が出るおそれがあると司法官僚が危惧を持ったと思われる。

(二)東京高裁は2016年11月28日の裁判官・検事・弁護士の三者と17年2月17日の請求人意見陳述後決定は2・3カ月後と裁判長は言明していた。この時点で高裁の合議で開始決定方向で進んでいた可能性があったと思われる。

(三)しかし5月になっても決定が出ず、7月9日に弁護団に決定はどうなっているかと問い合わせたが、まだ時間がかかるとのこと。

(四)考えられることは高裁の状況を察知した最高裁を中心とした司法官僚は東京高裁刑事3部に圧力をかけ、同時に刑訴法解釈論で棄却することを求めたと思われる。刑事訴訟法解釈論で棄却すれば、それを受けた最高裁は刑訴法433条が定める特別抗告の理由に該当しないとして特別抗告を棄却出来るからです。

(五)2017年11月15日東京高裁は刑訴法の解釈論により再審は認められないとして即時抗告を棄却した決定の全文は6頁で、棄却決定の理由部分は3頁。内容は単純であり、数日もあれば記述出来るものだった。

(六)2017年2月17日時点で決定は2~3カ月後であると裁判長は明言したのに僅か6頁の棄却決定を出すのに9カ月もかかった。この事は東京高裁に司法官僚の圧力があったことを裏付けている。

(七)以上の経過で最高裁は請求人の特別抗告に対し刑訴法433条の理由は認められないから棄却するの決定を出すことが出来た。

安倍と自衛隊(八)最高裁の決定については弁護団は決定の1週間前に日時を通知してほしい、決定書は最高裁窓口で請求人に渡してほしいとの申し入れを文書で行っていました。ところが18日午後、通知書が突然送られてきました。棄却理由は本件抗告の趣意は憲法違反という点を含め、実質は単なる法令違反の主張であって、刑法433条の抗告理由に当たらない、よって同法434条、426条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

 安倍内閣が集団的自衛権行使、安保法制の法的根拠とした砂川事件最高裁判決の再審請求を認めることは、最高裁決定をくつがえすことにもなりかねないとして政府・司法官僚一致してなんとしても棄却にするとしたことです。憲法無視、司法の公正公平の放棄! 私共の人権侵害は許せません。
 8月30日付で棄却決定を出した東京高裁の秋葉康弘裁判長は、高松高裁長官に栄転しました。どう思いますか?

■ 砂川闘争から沖縄、横田などの闘いへ

砂川町民に襲いかかる機動隊

市民・学生・労働者が一体となって勝利した砂川闘争

 1960年頃日本の米軍基地は本土80%沖縄20%でした。1950年~60年代にかけ、原水爆禁止運動、安保反対運動、そして砂川闘争を始めとする米軍基地反対の闘いが全国各地で広く激しく行われました。それにより本土の米軍基地は縮小、閉鎖するところが出て来ました。
 そして多くの基地は沖縄に移設され、現在の沖縄70%本土30%の状況がつくり出されました。
 私達は当時この移設に対する情報も少なく、移設反対の闘いもほとんど行われませんでした。沖縄の人々に危険・負担を背負わせてしまったことを私たちはしっかり自覚し総括し反省することが必要です。沖縄の闘いは本土の闘いです。

沖縄での警視庁機動隊の暴挙

辺野古新基地建設に抵抗する沖縄県民

 沖縄県は辺野古建設の承認を撤回しました。9月30日県知事選があり、故翁長知事の遺志を継いだ玉城さんがオール沖縄の人々の支援のもと闘っています。私たちも応援し、絶対に勝たなければなりません。
 辺野古新基地建設には大量の土砂が必要です。本土からの土砂搬入が計画されています。西日本を始め各地で土砂搬出を阻止する闘いが拡がっています。参加しましょう。
 残念ながら沖縄の闘いについて、本土での感心は低いです。政府・国会・防衛省などへの抗議行動をあきらめずくり返し拡げていきましょう。

オスプレイ横田配備(東京新聞) 米軍横田基地には今日にもオスプレイCV22型が配備されます。
 横田ラプコン(下記解説参照)により東京、栃木、群馬、埼玉、神奈川、新潟、山梨、静岡の一都八県の巨大空域が横田空軍司令部によって支配されています。日本の航空機は自由に飛べません。占領下のように空域を支配されているのですからオスプレイも自由に飛べるのです。
 静岡の上空も、東富士演習所を始めオスプレイが飛来します。私たちも常に危険にさらされています。許せません。
 そして米軍には日本の国内法が適用されないとした日米地位協定が全ての根源です。基地反対・平和を守る闘いと共に、地位協定の改定と日米安保条約反対を拡げましょう。

伊達判決59周年記念集会

伊達判決59周年記念集会

 私たちの再審請求について、弁護団、「伊達判決を生かす会」の人々、さらに多くの人々からご指導、ご支援を頂いたこと、大変勇気づけられ、はげまされ、心からお礼申し上げます。
 この運動を通じ、伊達判決の意義を拡げることが出来、司法が政治におもねり公正公平ではい実態を明らかにすることが出来ました。
 これからもあきらめず、ねばり強く闘います。 2018年9月3日

在日米軍問題は沖縄だけの問題では無い
米軍占領支配の象徴としての横田基地
★ラプコンとは「rader approach control・レーダー侵入管制」の略。米軍横田基地がすべて支配管理するゆえ、横田ラプコン…横田管制空域とも言う。

横田ラプコン 成田空港から西日本方向や中囯・韓国方面へ向かう民間航空機の飛行ルートに目に見えない壁として立ちはだかる。高いところで7000mに及び日本の航空機 が入れない横田空域。まさに見えない壁。日本の航空会社はわざわざ大回りの飛行を余儀なくされ燃料を浪費する。その墨よ毎年約11万キロリットル。何よりも先に大統領トランプが横田に着陸したように、この基地こそ米国の勝手口で、軍事関係者らはビザもパスポー卜もなしで気ままに入出国し、都心の六本木へリポートサイトに直行。首相官邸も何らアポなしで出入りすると言う、まさに一片の外交儀礼すらなしの無礼の極みだ。


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