日米FTAの先にある、米国主導のブロック経済圏形成/大野和興

都市も農村も包み込む大不況の時代到来か?

米国への積み込みを待つ日本車―この風景がいつまで続くか?

米国への積み込みを待つ日本車―この風景がいつまで続くか?

大野和興さん

大野和興さん

 実質的な日米FTA(自由貿易協定)となる日米交渉が動き出した。その一方で米国が抜けたあとのTPP合意11カ国によるTPP11が、年内に発効する段取りとなった。そうした動きを包み込んで、この30年ばかり、世界を揺れ動かし、それなりの秩序を作り上げて来ていたグローバリゼーションに狂いが生じてきている。米国と中国が報復関税合戦の貿易戦争に突入、世界の経済を揺るがす事態になっている。この先をどう読むのか、ここでは日米FTA交渉に視点を据えながら考えてみる。(大野和興/ジャーナリスト)

北米3カ国で巨大市場始まる 米国経済圏形成か

 TPP推進の要だった米国はトランプ大統領の出現と同時にTPPからの離脱を宣言、実施した。それに代わって出してきたのが日米の2国間交渉、具体的には日米FTAの締結だった。並行して韓米FTAと北米自由貿易協定(NAFTA)の改定交渉に乗りだし、どちらも米国の思惑通りの内容で決着した。

 1994年に発足したNAFTAは、EUをのぞくと世界で最初の多国間FTAであった。米国、カナダ、メキシコの北米三か国が自由貿易で結ばれ、広大な市場が生まれた。メキシコは米国市場の生産基地と位置づけられ、自動車関連工場が次々立地した。日本の自動車メーカーも下請けの部品工場を従え、メキシコに工場を作り、対米輸出の拠点とした。トヨタ、日産、ホンダ、マツダ4社の2017年のメキシコ工場での生産台数は計133万台。メキシコからの輸出台数は計95万台超で、その多くは米国向け。カナダを入れるとこの数字は150万台になる。日本からの対米輸出170万台に匹敵する数字だ。

 9月30日に合意された内容はほぼ米国の思惑通りとなった。メキシコ、カナダは全面的譲歩を余儀なくされたのだ。追加関税や輸出枠の設定、部品調達条件の引き上げなどメキシコからの輸出には新たな条件が加わり、日系企業は大きな負担を強いられることになる。さらに最近明らかになったのは、現地生産する自動車について、エンジンや変速機といった主要部品を北米3カ国で生産するように義務付けていることである。日本や欧州の自動車メーカーの場合、主要部品を域外から持ち込んでおり、それを域内で作るとなると、新たな設備投資や調達先の変更をしなければならなくなる。

 米国は韓国とのFTA再交渉、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」と呼ばれる新NAFTAでの成功を背景に、これから始まる日米FTA交渉では、米国は相当の強硬姿勢で臨んでくるとみられている。

 その一方で米国は中国に激烈な経済戦争を挑んでいる。こうした米国の動きを並べてみると、米国はアジア太平洋地域を対象に、米国を盟主とする新たなブロック経済圏を構築しようとしているのではないか、という姿が浮かんでくる。第二次世界大戦の背景となった帝国主義国間同士が経済的ブロックを作り、激突した時代がよみがえってくる。

ウソとごまかしではじまった日米FTA交渉

日本よ次はお前だ「日米貿易協議」 9月27日、安倍トランプ会談で日米FTA交渉を開始することが合意された。印象的だったのは、合意されたとたんに日本政府によるさまざまのウソやごまかしが明かになったことだ。

 日米共同声明に日本語訳で、政府はこれから始まる協定は、対象を物品だけに絞った「物品貿易協定」(TAG)だとし、記者会見でもそういった。しかし共同声明のどこにもTAGの言葉はなく、米国政府は「これはFTA」だと明確に言い切った。
 これまで安倍内閣「日米FTAはやらない」といい続けてきた手前、そう言いつくろうしかなかったのだ。また、首相は「日米交渉ではTPP合意以上の譲歩は行わない。米国もそれを了承している」と述べたが、パーデュー米農務長官は「日本にTPP以上の譲歩を求める」と公言している。

 農産品では牛肉、豚肉の関税引き下げ、コメ、生乳の輸入枠設定、主要農産物全般にわたって譲歩を強いられることになる。
 では自動車は安泰かというと、そうもいかない。米政権は自動車や部品を対象に最大25%の追加関税を検討している。そして安倍政権は米国の関税引き上げを了承しているのではないかという観測が流れている。 すでに交渉の争点は日本に対米輸出の限度枠を飲ませることにあるというのだ。

 日経新聞によると、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は米国が自動車や部品の輸入関税を25%に引き上げた場合、トヨタは営業利益ベースで8400億円規模のマイナス要因になると試算しているという。これは同社の営業利益の3分の1が吹き飛ぶ額だ。

闘う労働運動が状況を切り拓く

 実質賃金は下がり続け、消費の落ち込みは極限にまで来ている。そこに消費税増税が重なる。日米FTAは雇用減と農産物価格の下落をもたらし、都市も農村も大不況に見舞われることになる。

 それを許さないためには、労働現場では雇用と労働者の権利を守る闘う労働運動の再生、そのために産業政策の樹立とその実現を迫る運動の確立が大切になる。
 また地域では、中小規模の商工業、農林水産業が生業として成り立つ地域政策、産業政策の樹立とその実現を迫る運動づくりが課題となる。

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行動予定

12月
15
14:00 第30回多田謡子反権力人権賞受賞... @ 連合会館
第30回多田謡子反権力人権賞受賞... @ 連合会館
12月 15 @ 14:00 – 19:00
第30回多田謡子反権力人権賞受賞発表会 @ 連合会館 | 千代田区 | 東京都 | 日本
32年前に夭折した多田謡子弁護士の友人たちが運営している多田謡子反権力人権基金が、第30回反権力人権賞受賞発表会を開きます。 多田基金の詳細は http://tadayoko.net  受賞者の皆さんをお迎えして、12月15日(土)、東京・連合会館において受賞発表会を開催します。受賞者の方々には講演をお願いしています。参加費は無料です。本年も多数の皆さんのご参加をお待ちしております。 14時 発表会 17時 パーティ どちらも参加費無料。 【受賞発表会】 ■ 日時:2018年12月15日(土)14時~17時 ■ 会場:連合会館4階402号室にて  例年と同会場ですがフロアは4階です。ご注意ください。  東京都千代田区神田駿河台3-2-11 (TEL03-3253-1771)  JR御茶ノ水駅より徒歩7分  http://tadayoko.net/etc/rengokaikan.html 【受賞者を囲むパーティー】  受賞発表会の終了後、引き続き同じ会場で、17時から19時をめどに、受賞者を囲んで懇親会を開催します。参加費は無料です。パーティーのみのご参加も歓迎いたします。 【受賞された方々】 2018年10月下旬の運営委員会において、10団体・個人の推薦候補者の中から下記の方々が第30回受賞者に決定されました。受賞者の方々には12月15日(土)の受賞発表会で講演していただき、多田謡子の著作「私の敵が見えてきた」ならびに賞金20万円が贈呈されます。 ● パレスチナBDS民族評議会 (パレスチナにおける超党派市民運動) ● 優生手術に対する謝罪を求める会 (優生保護法による強制不妊手術に対する謝罪要求) ● 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 (弾圧に抗し生コン労働者の生活と権利を守る闘い) 第30回多田謡子反権力人権賞受賞者選考理由 ● パレスチナBDS民族評議会 (パレスチナにおける超党派市民運動)  パレスチナBDS民族評議会は、2005年、170以上のパレスチナの市民団体が連名で、イスラエルに対するボイコット(Boycott)、資本引き揚げ(Divestment)、制裁(Sanctions)を求める呼びかけを行ったことを契機に生まれました。(1)占領の終結、(2)イスラエルのパレスチナ市民に対する差別政策の中止、(3)パレスチナ難民の帰還権の承認、という国際法上の義務をイスラエルが履行するまで、圧力をかけ続けることを世界に呼びかけています。 現在、パレスチナのNGOや労働組合、農業組合、女性団体など、29の団体がメンバーとなり、イスラエル入植地からの工場撤退、占領加担企業に対する投資や契約の中止など、数々の成果を上げています。また、BDSの呼びかけに応えて、多くのアーティストや研究者が、イスラエルでの公演やイベント出席をキャンセルしています。  日本でも、2017年と18年に銀座三越と大丸東京店で入植地産ワインのイベント販売を中止させるなど、連帯する闘いが始まり、BDS japan 準備会が設立されました。BDS運動への敵対を強めるイスラエル政府、イスラエルと関係を深める安倍政権を許さず、日本の地で連帯して闘う意思を込めて、パレスチナBDS民族評議会に多田謡子反権力人権賞を贈ります。 ● 優生手術に対する謝罪を求める会 (優生保護法による強制不妊手術に対する謝罪要求) 「優生手術に対する謝罪を求める会」は、1997年、優生保護法や母子保健法に取り組んできた女性グループ、障害者団体、研究者などが集まり、発足しました。その前年、優生保護法から「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」という目的と優生的な条項が削除され母体保護法へ改定されました。「不良な子孫」とレッテルを貼られた人たちは、本人が納得してないのに、不妊手術(優生手術)をされました。心身に傷を負わせ、子どものいる人生の選択を奪うという著しい人権侵害に対し、国は何もせず、「当時は合法であり、すでに法改正はなされている」という態度をとり続けてきたのです。 「求める会」はホットラインを開設し被害者の声に耳を傾け、名乗り出た勇気ある当事者女性と共に、国による謝罪を求めて、厚生省交渉、国会議員への働きかけ、国際機関への訴え、集会の開催などを長年、続けてきました。  声を上げてきた唯一の女性のことを、新聞報道で知った別の女性が、2018年1月に国を提訴。問題は大きく広がり、被害回復のための法律が検討されるところまで来ました。  長年にわたる地道な闘いの積み重ねによって、国家犯罪とも言える人権侵害を明るみにし、被害者の人権回復をめざす「優生手術に対する謝罪を求める会」に多田謡子反権力人権賞を贈ります。 ● 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 (弾圧に抗し生コン労働者の生活と権利を守る闘い)  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の武建一執行委員長はじめ26名に対する4次にわたる逮捕起訴は、日本の産業別労働運動を牽引してきた関生支部と、中小企業である生コン業者が組織した協同組合の活動をつぶすための悪辣な弾圧です。この数年間、滋賀の湖東生コン協同組合は、共同受任・共同販売事業によって、優位に立つゼネコンに対して対等かつ適正価格での取引を実現し、生コンの品質も確保されてきました。関西地区において、関生支部は組合員の雇用と労働条件確保のため、中小企業者と労働組合の連携によるゼネコン・大手生コンとの闘いを作り上げてきたのです。  ゼネコンに対する湖東協組からの生コン購入を求める働きかけを恐喝未遂、大手生コン等に対する関生支部のストライキ闘争を強要未遂・威力業務妨害とする今回の弾圧は、1980年代、大槻文平日経連会長の「関生型労働運動は絶対に箱根の山を越させない」との号令で行われた刑事弾圧と比べても、戦争体制構築に向かう国家権力の意思をよりあからさまにしています。大政翼賛の大阪広域協組やレイシスト集団の警察と一体になった行動は、国家に逆らう者は許さないという弾圧の端的な証左です。関生支部を支え、ともに闘う決意を込めて多田謡子反権力人権賞を贈ります。
18:30 12.15労働組合つぶしの大弾圧を許... @ 日本教育会館
12.15労働組合つぶしの大弾圧を許... @ 日本教育会館
12月 15 @ 18:30 – 20:30
12.15労働組合つぶしの大弾圧を許さない!東京緊急集会 @ 日本教育会館 | 千代田区 | 東京都 | 日本
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生/かんなま)は、産業別労働組合として、生コン労働者の権利と生活を守る闘いを続けるとともに、辺野古新基地建設阻止、原発再稼働反対、戦争法・共謀罪・憲法改悪阻止などの闘争を積極的に行っています。加えて近畿生コン関係の中小企業と連帯し、生コン業界の民主化、健全化にも取り組み実績を上げています。  これに対して、差別排外主義者集団が暴力的ヘイト攻撃を加え、大阪府警・京都府警・滋賀県警は、関生の委員長、書記長、執行委員等を次々に逮捕・勾留し、家宅捜索をくり返し、大勢の組合員の事情聴取を行い圧力をかけ、組合つぶしの大弾圧を行っています。これらは、正当で合法的な労働運動に対する違法捜査・不当逮捕に他なりません。この弾圧は、政権および警察・検察が初の共謀罪適用を狙っているためと考えられています。  現在の関生への激しい弾圧をみると、次は別の労働組合へ、さらには平和運動や沖縄の基地反対、反原発などの市民・住民団体への弾圧につながるおそれが強いと思われます。これに対して、私たちは、関生支部のメンバーや弁護士を迎え、関係者の皆さんとともに、抗議と反撃のための緊急集会を開催します。大阪から発信されている「労働組合つぶしの大弾圧を許さない!実行委員会への賛同の呼びかけ」を東京で広め、盛り立てる機運になることを願っています。  ぜひ、多くの皆さまがご参加され、状況をご理解いただき、行動を共にしていただけるよう、お願い致します。  ご参加が無理な方は、「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同のご検討をお願いします。 ■ 日 時:2018年12月15日(土) 午後6時30分~8時30分(6時開場) ■ 会 場:日本教育会館・中会議室(7階)  〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2丁目6−2  地下鉄「神保町駅」(A1出口)下車徒歩3分  地下鉄「竹橋駅」(6番出口)下車徒歩7分  地下鉄「九段下駅」(6番出口)下車徒歩7分  JR総武線「水道橋駅」(西口出口)下車徒歩15分  地図:http://www.jec.or.jp/koutuu/ ■ 参加費:500円 ーーー ■ 主な内容: ・講演「大弾圧といかに闘うか」  大口昭彦弁護士(救援連絡センター運営委員) ・連帯労組関西生コン支部からの報告 ・労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会(大阪)の報告 ・連帯発言(国会議員、市民団体、労働組合ほか) ーーー ■ 主催・問い合わせ先:  12.15労働組合つぶしの大弾圧を許さない!東京緊急集会実行委員会  仮事務局:東京都中野区中野2-23-1-3F 協同センター・東京  Tel.03-5342-1395 Fax.03-6382-6538

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