地域の力で子らに居場所を 新大阪・NPO あわじ寺子屋の奮闘

社会と暮らし 卓抜な実践例に学ぶ
あわじ寺子屋  東京から新大阪駅に近づく新幹線がそこで一段と減速する東淀川高架のすぐ脇に、毎夕暖かな燈が灯る。放課後行き場所のない地域の子どもたちがやがて集まる。NPO<あわじ寺子屋>(大賀喜子代表)。数年前廃校になった小学校跡の図書館スペースのささやかな一角に地域のさまざまな家庭~社会背景を背負った子どもたちが、毎日50名近くやってくる。「だれでも いつでも ようこそ」を合言葉に子どもたちの居場所を立ち上げ、これら小中高生たちの暮らしと学びを懸命に支え続けてきた小さいコミュニティーの今と、これからを考える。

■ 放課後の子どもの居場所を作りたい

あわじ寺子屋 大賀喜子さん

大賀喜子さん

 「もう、本当に地域に必要な場なんです」。76歳の大賀代表は寺子屋設立に至った経過を伝える。
 「東淀川区西部…私は学生時代からこの地域で活動し、結婚を機にこの地で暮らし、地元の中学・高校で教師をしていました。子どもたちの厳しい状況をどうにかしたいという思いで、夜も地域のこども会活動に参加し、地域の歴史や暮らしを子どもたちに残す仕事をしてきました」。

 大賀代表は、学校からはこんな状況が聞こえて来ると明かす。

・「朝食をとらずに来る子どもが多い」
・「宿題をしてこない子どもが多い」
・「遅刻が多い」
・「学校に来ない子ども、不登校がちな子どもが増加している」 

 子どもたちからも切実な悩みの声が届く。

・「学校の勉強がちっとも分からん。分らんとこから教えて欲しい。そんな場所ほしい」
・「おとうが酒を飲んで暴れ、夫婦喧嘩や。家にいるのは嫌や。でも行くとこない」
・「朝ご飯なんか食べたことない。まともなんは給食だけや」
・「自殺を考えたこともある。今はとにかく疲れてる…」

 これらは、今あわじ寺子屋に関わっている子ども達、保護者の大方の生の声だ。

 大賀代表は続ける。
「なんて親思いの子ども達だろう…なんていじらしい子どもだろうと思います。この子たちに、<居場所と勉強ができる場>を作りたい。そこで、あわじ寺子屋を2016年地域の統廃合で廃校となった西淡路小学校の一角に立ち上げたのです」。

■ 地域の子ども見守る青年たち
 誇りの歴史…60年以上前から

1954/10/25 毎日新聞

写真A:1954/10/25 毎日新聞

 別項写真Aの通り今から60数年前、当時未解放地域では稀な学歴である高校生たち4人が集まり、自ら地域の子ども達のために「日之出少年会」をつくり、後輩の面倒を見てきたと言う誇るべき歴史がある。よき伝統は切れることなく継承され、近隣の柴島高校等での障害生徒も全て受け入れてと言う先進の包摂教育の場が、この地では結実している。

 ところが、橋下改革の名の元に子どもたちの居場所であった公共施設が次々閉鎖となり、子ども達の行き場は失われた。そこで再度、地域の力で子ども達の居場所を守ろうと立ち上げたのがこの「あわじ寺子屋」の始まりなのだ。
       ◆
 2018年の現在、子どもの登録は約80人。1年間でやってきた子どもたちは述べ4千数百に登る。当初地域に必要なことだと直感して始めたのものの、実際のニーズの大きさに改めて驚かされると言う現状だ。

 「1年間に運営費が300万円ほどが必要です。設備費、飲食料費、教材や事務費…何よりも、これだけの規模の活動を持続可能なかたちで続けていくためには、スタッフへの人件費や交通費をきちんと支払うことが大切だと考えています。私は現在、76歳です。いつ倒れるか、ドキドキ、ハラハラしながら活動しています。私や、私たち世代がいなくなっても、子どもたちに必要な居場所は残したいのです。そのために、若い人たちに、なるべく負担なく関わってもらえるようにしなければと思っています」。

■ 月額サポーター支援を

 このように、この大切な子どもたちの居場所を維持するため、多くの方面に月額サポーターとして活動を支えてほしいと訴えている。
・月500円コース・月1000円コース・月3000円コース・月10000円コース(※サポート企業を想定)これら資金での支援に合わせ、現場~事務や団体運営の面を手伝うマンパワーも歓迎している。
 詳しくは、https://awajiterakoya.jimdo.com

■次回続報として、この寺子屋での学習支援スタッフとして献身してくれた若者たち、とくに今年3人の大学生が教員採用試験に合格し、来年度から教壇に立つ。彼らの、子どもたちへの思いと彼ら自身の巣立ちへの軌跡などレポートする。

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