書評『歌集・内灘』(芦田高子)復刻版 基地撤去「内灘闘争」を詠む

『歌集・内灘』(芦田高子)

『歌集・内灘』北國新聞社; 新装版

 「内灘闘争」は、日本初の米軍基地を民衆の手で撤去させた闘いの先駆である。
 1953年、石川県金沢の内灘砂丘を接収・米軍砲弾試射場にした政府の計画に怒った村人や労組員が抵抗する中、6月に射撃訓練が始まるとこれに抗して村民7百人が着弾地の権現森に昼夜座り込む。4年にわたる熾烈な「基地撤去闘争」の始まりだ。

 座り込みの中心になったのが「おかか様」と呼ばれる漁師の母親たち。間近に着弾する砲声轟く砂丘に夜通し「おかか」たちは、互いを励まし泣きながら歌声を上げた。ただ一つ<安心の暮らし>のみ求め…歌集表紙に、赤子を抱えて乳を与えている若い「おかか」の写真が胸を突く。
 そこに村者ではない歌人芦田高子が、死も覚悟しつ彼女たちと座り込みながら歌を詠み、内灘の闘いを広く世界に知らしめるもう一つの闘いを担った。

・午前九時試射始まれど射程延長させじと主婦ら座してゆるがず
・砲弾に射たれ死なんといへる老婆の言終わらぬにみな声あげて泣く

闘争の真っただ中に身を置き民衆に寄り添い紡がれたこれら言葉こそ、沖縄辺野古の闘いの今につながる。


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