関生労組に対する度重なる弾圧に強く抗議する/秘密保護法対策弁護団・共謀罪対策弁護団

Solidarity resistance

全日建関西地区生コン支部に対する度重なる弾圧に強く抗議する声明


1 事件の概要

 現在、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下、「関生支部」という。)に対する滋賀県警と大阪府警による弾圧が続いている。
 事件担当の永嶋靖久弁護士からの報告によれば、事件の概要は次の通りである。
 滋賀の事件は、中小の生コン企業で作る協同組合(湖東生コン協同組合)の役員が、昨年3月に、滋賀の工事現場で使う生コンを協同組合から買わせようとして、「協同組合から生コンを買わなければ、大変なことになりますよ」とゼネコンを脅したとされる恐喝未遂被告事件である。脅す手段の一つとして、関生支部による建設現場でのコンプライアンス(法令順守)活動があり、これが協同組合の役員の発言の中で言及されたといい、これが恐喝未遂とされている。
 同一の事件で10人が3回に分けて逮捕され、9人が起訴されている。関生支部委員長・副委員長・執行委員2人のほか、かれらと共謀してゼネコンと交渉したという協同組合の役員が起訴された。建設現場でコンプライアンス活動に従事した労働組合員は現時点では逮捕されていない。
 大阪の事件は、関生支部の労働組合員が、本年9月10月に、セメントのサービスステーションでセメント運搬車の輸送を妨害したという威力業務妨害被告事件である。まず港区での行動について16人が逮捕され、7人起訴、9人釈放された。その後、同一日の近接した場所での行動について8人逮捕、うち5人は再逮捕だった。二次にわたる大阪弾圧で計19人が逮捕され、8人が起訴された。この時点では逮捕・起訴されたのは、現場行動の参加者だけだったが、後述のとおり11月21日には現場に参加していない組合役員に弾圧が拡大している。

2 共謀罪適用のリハーサル弾圧である

 第1に、大阪の事件はこれまでの関生支部への弾圧と同様、大阪府警の警備課が担当しているが、滋賀の事件は滋賀県警の組対(組織犯罪対策課)が担当している。また、現在のところ逮捕には至っていないが、京都府警によってくり返し実施されている家宅捜索も、組対が担当している。

 第2に、逮捕された労働組合員が全員黙秘することは警察もわかっているし、現に黙秘している。では、どうやって事件を構築するのか。関係者の電話履歴、メールのやりとり、ラインチャットなどを大量に集めるとともに、この事件では、現・元の組合員に対して手当たり次第、片っ端からの大量呼出しをかけて、「共謀」の存在を立証しようとしている。

 第3に、滋賀の事件でも大阪の事件でも、勾留理由開示公判で、裁判官が「罪証隠滅の対象は共謀の構造、罪証隠滅の方法は共犯者・関係者との通謀」という趣旨を明確に述べている。大阪の事件では、現場の行為については、会社側が記録した大量の録音録画がある。共謀といっても現場共謀の問題で、録音録画されている行為をどう評価するかという問題がある。
 これに対して、滋賀の事件では、外形的にはどう見ても犯罪行為になるかどうか、そもそも疑わしい。関生支部のコンプライアンス活動については、民事裁判ではあるが、大阪高裁でも適法とする決定(業務妨害等禁止仮処分命令申立を却下した原決定に対する抗告を却下した大阪高裁平成27・5・14決定。労働法律旬報1852号62頁)もある。そうすると、犯罪の共謀があったということをどうやって作り上げるのか、それが事件の要であり事件の全てとなっている。

3 さらなる弾圧の拡大

 さらに、本年11月21日には、大阪府警警備部が関生支部委員長、書記長、執行委員、元副委員長の計4人を逮捕した(委員長は再逮捕)。被疑事実は、9月、10月の大阪府警の先行弾圧によって逮捕・起訴された事件と同一内容であり、昨年12月のセメントサービステーションなどでの威力業務妨害を共謀したとするものである。
 また、11月27日には、組合員7人、元組合員1人が滋賀県警に逮捕された。うち3人は再逮捕であり、先に滋賀県警に逮捕起訴されていた4人のうちの委員長以外の3人である。先に逮捕起訴された事件の現場とは異なる、湖東生コン協同組合には関わらない現場で、現場監督などに「法令違反がある」と指摘したことを捉えて、現場行動参加者を、威力業務妨害罪としているようである。これまでの逮捕者は実にのべ46人(2回逮捕9人)に及んでおり、うち5人を除けば、すべて現・元の組合員である。弾圧の終息する見通しはまったくない。

4 大弾圧に強く抗議する

連帯と抵抗 これらの事件は、共謀罪が直接に適用された事件ではなく、秘密保護法に関する事件でもない。しかし、労働組合の日常的なコンプライアンス活動や争議権の行使の一部を犯罪事実として構成し、これに関与した組合員を一網打尽で検挙し、デジタル情報の収集によって関係者間の共謀を立証することで犯罪を立証しようとしている点において、担当弁護団が正しく指摘するように、共謀罪型弾圧の大規模な開始を告げるものと捉え、これに対抗する態勢を整えなければならない。
 秘密保護法にも共謀罪処罰規定が組み込まれているところであり、本件のような共謀罪型弾圧は決して容認することができない。本件のような共謀罪型弾圧が、仮に見過ごされ、捜査機関の手法として定着してしまうと、将来、秘密保護法違反被疑事件が起こった際に、同様の共謀罪型弾圧がなされ得ることは想像に難くない。
 秘密保護法対策弁護団と共謀罪対策弁護団は、この未曾有の大弾圧に対して強く抗議し、当該担当弁護団と連帯してその拡大を許さない陣形を構築することを、広く呼びかける。

2018年12月6日

秘密保護法対策弁護団
共同代表  海 渡  雄 一
同    中 谷  雄 二
同     南   典 男
徳住 堅治(共謀罪対策弁護団共同代表)
海渡 雄一(共謀罪対策弁護団共同代表)
加藤 健次(共謀罪対策弁護団共同代表)
南  典男(共謀罪対策弁護団共同代表)
平岡 秀夫(共謀罪対策弁護団共同代表)
武井由起子(共謀罪対策弁護団共同代表)
三澤麻衣子(共謀罪対策弁護団事務局長)

(この声明は、2018年12月6日の秘密保護法対策弁護団の総会で採択されました。共謀罪対策弁護団では、採択の機会がありませんでしたので、全共同代表と事務局長の個人名義でこの声明に賛同することとなりました。)

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