関西「業種別職種別ユニオン運動」研究会発足の意義/木下武男

なかま イメージ写真

 昨年12月18日、関西「業種別職種別ユニオン運動」連絡会結成シンポジュームが、関西生コン支部が資本・権力の大弾圧下にあるなかで開催されました。すでに東京では関西生コン型運動の普及を目指して、2017年の6月に「業種別職種別ユニオン運動」研究会としてスタートしています。
 当日は東京の研究会代表の木下武男さんから基調講演を受け、関生支部の坂田副委員長から現下の弾圧状況と反撃の報告がありました。
 2番手は、統合した連帯ユニオン関西ゼネラル支部書記長からの報告、3番手は、東京の総合サポートユニオンから業種別職種別ユニオンをめざし、若者向けのブラック企業ユニオン、裁量労働制ユニオン、ベンダーユニオンなどを作ってゼネラルユニオンとして活動している闘争報告がされました。最後に「業種別職種別労働運動の必要性」と題して、若手弁護士が若者の長時間労働・休日労働、学生のアルバイトなどの現状からユニオンの必要性とそのことの周知するとの報告がありました。
 集会参加のなかまユニオンの自販機分会からは、ベンダー業界の過不足金をめぐり、それを補填させている悪しきルールがあると声をあげ、団体交渉で改善要求をしている報告と支援の訴えがありました。
 以下に木下さんの基調講演の要約を掲載します。(仲村実)

木下武男さんの基調講演
『業種別職種別ユニオン運動の今日的意義』(要約)

木下武男さん

木下武男さん

 「業種別職種別ユニオンの今日的意義・課題と役割」というのは、一つは貧困。貧困を克服するためにユニオンはあるんだということ。二つは日本の労働運動全体を再生していくためには、この道しかないのだということ。この二つが私たちが研究会で広げていきたいユニオン運動の形です。これは、関西生コンの方式を少し抽象化して、業種別職種別ユニオン運動という名前をつけたものです。これを全国で、そして全ての業種で取り入れたいということを私たちは研究会の考えとしています。
 
■ 労働組合は貧困から脱出の武器

 日本の労働組合というのは民間の大企業の担当部門という所に偏って存在してきました。相対的に恵まれたところです。中小零細企業にも多少はありますけれども、そういうところはずっと未組織の分野であり続けてきました。

図1:日本の労働市場の構造変化

図1:日本の労働市場の構造変化

 生コン労働者というのはまさしく蔑まれた下層の労働者でした。彼らが労働組合を作って闘い正しい労働組合のあり方を追求することによって、貧困から脱出することができたわけです。労働組合というのは相対的に恵まれた人たちのものではなく、労働者が貧困から脱出するための武器としてあるんだということを改めて確認しておきたいと思います。

 現代の貧困がどこに広がってなぜ広がっているのかということ、つまり時代が変わっているんだということを理解することが、業種別職種別ユニオン運動の基盤の広がりとして重要だと思っています。

 時代の転換を最も象徴的にあらわしているのが、上の図1です。私たちは戦後の日本が2000年を境にしてガラッと変わったというふうに思って、その認識がとても重要で共有しておきたいと思います。

図2:賃金と所得の下落

図2:賃金と所得の下落

 雇用者の数は戦後一貫して伸び続けました。停滞したところが1998年です。その下の正社員の数が1998年を境に下がっています。そして女性の非正社員比率がずっと増えて、今は6割を超えています。今までは男性の非正社員は学生アルバイトぐらいだったんですが、男性の非正社員が増えている。1998年から雇用者数は下落したんです。非正社員は2000年ぐらいに急増しているので、だいたい2000年ぐらいに日本はガラリと変わったと見て大丈夫だと思います。

 図2は、一番上が年間の給与ですが、戦後一貫して月間の給与・賃金っていうのは上がっていたんですけれども、1998年に戦後初めて下がった。雇用・賃金含めて大転換が日本であったということが確認できると思います。

図3:企業規模による賃金格差

図3:企業規模による賃金格差

 これにともなって、労働運動の舞台・担い手が年功的労働者から下層労働市場の非年功型労働者に変わったということが非常に重要です。

 図3を見れば、日本の労働運動が何で衰退したかが明らかです。この図は男性です。女性はこんな風にはなりません。日本の正社員の賃金は、企業規模ごとに整然と分かれています。一番下が中小零細企業。この一番上に乗りたい、それが日本の学歴競争社会だったんです。そのためには、自動的に上がるっていうのはその会社に居続けなきゃいけない。もう一つ、査定昇給は絶対会社に盾突かないことが条件です。それが変わってしまった。

図4:新たな階層社会-日本的雇用と年功序列の解体

図4:新たな階層社会-日本的雇用と年功序列の解体

 初任給と最低賃金は実は密接に結びついています。それは民間の低賃金相場が初任給なんです。だから今は時給1000円にもなってない。非年功型労働者に貧困があり、階層から言いますと若者、女性、高齢者、それと低所得の共働きの家族、こういうところに集中している。逆に言うと、そこに新たな基盤があるということと組織化が難しい。そういう難しいところを時代の転換ってのは意味しているのだと思います(図4)。

 つまり労働運動の新たな担い手というのは非年功的労働者に移ったということです。膨大な貧困層が増えているということと、日本の労働運動と労働組合全体が衰退しているということです。

 まず、ストライキをやれる組合になることが重要です。全労連・全労協の組合員数も、2000年からどんどん減っています。それは中心が正社員の組合だからです。今日の結成集会としては、まさしくそういった新しい労働運動戦略として業種別ユニオンがあるのだということが重要なのだと思います。
 
■ 我々の壮大な構想

図5:関生型労働運動の賃金構想

図5:関生型労働運動の賃金構想

 今どんどん賃金が下がっています。そこで図5を見てください。一番下が我々が目指す全国一律最低賃金制度です。その上に職種別賃金があります。これが関西生コンの職種別賃金、介護職・保育職などでこれまでの年功賃金に変わる職種別賃金を全職種で作ろうということです。だからこの職種別賃金というところに業界団体があって、業界団体と集団交渉をする。これ全体をまとめて、ジェネラルユニオンというのを作っていく、すごい将来の展望なんです。ジェネラルというのは誰でも構わないというのではなくて、業種別部会という間仕切りをつくる、色々な業種別の労働者が結集している。

 だから大きな構想としては、職種別賃金を築いていく業種別ユニオンが、未来のジェネラルユニオンの業種別部会になるんです。これらが一大結集して日本で巨大な労働組合をつくる。ワンビックユニオンというものです。イギリスでもアメリカでもそれを標語にしました。下層の労働者が這い上がる武器として、一つの労働組合に結集しよう。それらが一大結集していくということが必要なんです。

なかまユニオン 下層労働市場では低賃金、過酷労働、使い捨て労働が普通です。辞めたければ辞めてもらっていっていう正社員。代わりはいくらでもいると言われる。それが労働市場の構造の変化です。2000年代半ばに労働相談で会社を辞めさせてもらえないという労働相談が来たというので当時びっくりしました。若者の職場で辞めてもらって結構、そういう状況で労働者がどうなりますかっていうと、企業に居続けても労働条件は変わらない。だから転職したい。しかし転職しても、どこに行っても同じという感情が広まっている。これはとても新しいことです。

 だからユニオンで闘う以外ないんだ。だからユニオンに対する接近の仕方、度合いっていうのが非常に短縮されている。そういう意味では、職種別業種別組織化の可能性というのは非常に高まっているということです。

 業種別職種別ユニオンというのはまさしく労働組合の組織化戦略と一体なんだと。業種の線、職種の線でオルグをすると一網打尽に結集出来るんです。私たちの業種別職種別ユニオンでいうと、一網打尽に業種職種ごとの線で組織化するという点では非常に合理的でもあると思います。

2017春闘 今年も2会場300台超でミキサー車パレード あらゆる業界職種に火をつける段階だと思います。若者に目を向けますと、簡単にユニオン運動に定着しにくいんですが火をつけて、それはやがて芽が出るという段階だというふうに思います。一度ユニオンの体験をさせるということです。

 東京では、これまで業種別ユニオン活動をしてきたところと、新しい若者たちに目を向けて、なかなかうまくいかないながらに切磋琢磨しながらやっています。 関西には関西生コンという素晴らしい雛形があるんです。東京で関西生コンに自動車パレードをやってもらいたいぐらいです。東京で活動している若者を組織するということは、みんなに発信していかなくちゃいけないと思います。
当日のレジュメ:要約の文責は労働プロジェクト)

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