ロシアの国営タス通信が2月4日に報じたところによれば、ロシアのラブロフ外相はトランプ政権が冷戦時代に米ロ間で締結された中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を発表したことを受け、「残念だがアメリカは軍縮の枠組みを丸ごと破壊する方向に進むことを決めた。新たな時代が始まった」と語った。
ポンペオ米国務長官は2月1日、アメリカは180日以内にINF全廃条約から離脱すると発表。ロシア側の条約違反を改めて非難した。1987年に当時のロナルド・レーガン米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長の間で締結された歴史的な核合意であるINF全廃条約は、射程距離が500~1500kmの全ての地上発射型弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発と配備を禁じている。
トランプは2018年10月、「ロシアは長年、条約違反をしてきた」と発言。ロシア側が違反を是正しなければアメリカはINF全廃条約から離脱するとの考えを初めて表明した。「我々は合意にとどまり、合意を尊重してきた。残念ながらロシアは、合意を尊重してこなかった」 逆にロシア側は、アメリカが条約違反をしていると非難。2月2日、トランプ政権によるINF全廃条約離脱の発表を受けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアもINFから離脱すると表明した。
関心は、核からサイバー戦へ?
戦争のハイパー化を見すえる米軍戦略
米軍司令部は、既に2年前からハイブリッド戦争を行う際のロシアの戦術や、それに対する米軍の対抗手段を記したハンドブックを公開している。ナショナル・インタレスト誌が伝えるその迫真の内容に驚かされる。米軍が今最も脅威に思う近未来の戦争とは何か?…
●その大略は――
①ロシアの発展する機能はサイバー領域をも含む。コンピュータ網への米国の過度の依存は、ロシアに発見された米国の最脆弱部分だ。 …ウェブやコンピュータなどの管理およびロジスティクスでの活動を増大させる日常の米国軍隊機能。これはサイバー侵入とネットワークデグレードに明白な脆弱性を示す。
②サイバー攻撃は戦場を恣意的に形成し、犯罪実行者はほとんどリスクを必要とするはずはない。
ほぼ自動化された米国のコンピュータ網は、小さい制限下で動作するのでサイバー領域への攻勢の上での優先度を付け保護する手段は現代会で、ロシアの発動システムに比べ制限される(劣る)。
③クレムリンは犯罪のハッカーグループと協力し政府・情報操作戦略全体の一部として数千人のプロフェッショナルなハッカーを雇用する。これは米国軍隊サイバー機能と方法とで数でも厳密さでも勝る。
④低下した通信環境、サイバー不正侵入・、故障・および妨害のため、米国コンピュータ網への本当の脅威が発生する。大いなる準備が必要だ。……
(「コモンズ」127号の目次にもどる)