「天皇制と闘うとはどういうことか-補論」の連載開始にあたって/編集部
私たちの天皇制に対する基本的態度

私たちの天皇制に対する基本的態度
朝鮮侵略、沖縄差別、安保と天皇制の三位一体の課題

マッカーサー・天皇
 明治に成立した近代日本の天皇制国家は、内にアイヌ民族と琉球民族に対する暴力による併合(琉球王国の解体と併合)、外に朝鮮・中国・アジアへの侵略戦争と軌を一つにし、それはアジア太平洋戦争に至る近代国家日本の植民地支配・強制連行・徴用・日本軍慰安婦強制の歴史である。
 敗戦と米軍占領、朝鮮侵略戦争を契機に成立した戦後日本国家の基本的特徴は、日米安保体制の軍事的原理と「平和憲法」の前文と9条の戦争放棄と平和主義の異質な原理の抱き合わせの関係の中に、沖縄を米軍に(昭和天皇が)売り渡して「象徴天皇制」として維持した天皇条項を遺し、国家の深部で戦前の侵略と他民族殺戮・抑圧の「大日本帝国の栄光」を継承するものである。

 また民主主義とは、人民の自己決定権による自己統治を本位とする。にもかかわらず、戦後の「平和憲法」は、神から人間になったとはいえ特定の血統を持った天皇・皇族によって世襲される「象徴天皇制」という民主主義とは無縁の第1条を遺し、天皇制イデオロギーが最大限活用されて日常生活に張りめぐらされ、諸個人に内面化され、国家権力の差別・分断と支配・抑圧・管理の体系の重要な柱となっている。

 ゆえに、私たちは、当面する社会・政治革命において、安保条約を破棄し、米軍基地 を撤去し、天皇制を廃止することは、資本の企業社会・地域を変革し、わが国の金融独占資本を主柱とする資本の独裁権力を打倒し労働者民衆の自治権力を創っていく事と一体不可分の革命的課題であると、確認して闘ってきた。

仲良し3国、日独伊

 現在、こうした歴史と天皇制の持つ本質・役割を隠蔽し、とりわけ天皇の「戦争責任」と「戦後責任」をあいまいにし、「明治150年」、天皇の「退位・即位・改元」の「代替わり」を喧伝し、マスコミの煽る祝賀ムードに沸く人々の意識を利用しながら、新たな9条改憲ー「戦争のできる日本帝国主義国家」への道を暴走する安倍政権との闘いは、戦前・戦後の近代日本国家の中にある断絶と連続性において、朝鮮侵略、沖縄差別、安保と天皇制の三位一体の「この国のかたち」の根本問題を踏まえて闘うことが日本の階級闘争の前進のため重要となって浮上している。

 本紙は、こうした基本的態度と情勢認識に立って、本年の天皇の退位・即位・改元をもってする権力と資本の攻撃の本質を改めて鮮明にし、これへの反撃を新たな反天皇制闘争の飛躍の出発点として行くために、昨年8月より8回にわたって、菅孝行氏の「天皇制と闘うとはどういうことか」を連載してきた。

 菅氏はその連載の最終回にこう書いている。
「日常生活の空間の中にある大衆が、資本制のイデオロギーと国家の価値の呪縛から解放されたその度合いこそが、結果として天皇幻想からの解放の度合いに他ならないからである。闘う大衆に必要なのは直面する個別の現実を変える物質力となる理論と、先進的な「社会的左翼」が目指してきた、日常における強固な経済的基盤に基く人間諸関係の獲得である。換言すれば「社会的左翼」こそが,はじめて天皇制の統治を政治的に失効させる規定力を育てるのである。」と。

 この5月、「『平成』から『令和』へ新しい時代の幕開けです」とテレビ・新聞は連日、洪水のように「奉祝」報道を繰り返し、街に祝意の言葉があふれた。安倍政権はしてやったりとばかりに天皇の代替わり・改元を政治利用し、沖縄の新基地建設を拡げ強行し、9条改憲-戦争国家に向かう道に人々を草の根から動員しようとしている。社会的左翼には、資本主義と国家の価値の深部に錘を下した理論構築と人々の労働と暮らしの中でそれらの呪縛を解く活動が急がれる。

 こうした問題意識に立って、先の連載に続けて、今号に上記タイトルの総論を、次号からは先の連載で十分に展開されなかった「天皇制と日本資本主義」等についての補論を掲載する。ーーコモンズ編集委員会

(なお今号の原稿は「変革のアソシエ」季刊35号の巻頭言よりの転載)

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