コラム】地域で支え合って貧困に立ち向かう

■子どもの貧困
地域で支え合って貧困に立ち向かう
 世界経済全体が破綻に向かおうとしている今、その矛盾は最も弱い人々に集中する。格差・貧困が拡がり、それが子どもたちを苦しめる。OECD諸国の中で日本の相対貧困率は昨年の4位から今年は2位に達するだろうと見られており、今や子どもの貧困は6人にひとりの割合にまで達している。

 東京豊島区で、ある母子家庭の子どもが勉強の仕方がわからず、高校進学に悩んでいた。自分の息子の知り合いでもあったこの子どもの事を心配した主婦が自宅の事務所を開放して彼に勉強を教え、またその時には夕食を作ってあげるなどして支えた。勉強の成果があがり、その子は高校へ進学できた。

■手作りのパン屋

 「人を支える」という本来なら当たり前な、しかし今ではなかなか得がたい行為の背景にはこの地域で「支え合い」の活動が拡がっている事がある。ここには「子ども食堂」がある。毎週第1、第3水曜日に開設され、子供たちの交流と憩いの空間となっている。貧困は子供たちを孤独にする。仲間やゆとりを求めて、子どもたちや家族があつまり、絆が拡がっている。

 子ども食堂の母体となったのは小さな手作りのパン工房だ。30年前4人の主婦が資金を出し合い作ったパン工房は、ただ売るのではなくパン作りと共に環境や健康を考える学びの場として始められたのだった。そして売れ残ったパンはホームレス支援団体「TENOHASHI」に提供していた。

 TENOHASHIは毎週水曜日に池袋駅近くを夜回りしてパンやおにぎりを配布している。しかしパン工房の主軸となっていた主婦が病気で亡くなり、店は閉店。TENOHASHIから「応援を出すのでパン工房を続けてほしい」との申し入れがあり、夫が起ち上がった。手伝いにやってきたのは支援を受ける当該者たちだった。

■社会主義の原点

 私たちは貧困をもたらしている不公平な企業と、それを放置する政府、行政に抗議する運動をしている。社会全体を見て政治を語り運動を展開する事ももちろん大切なことだが、私たちが語ってきた「社会主義」は、こうした身近な地域や職場における相互の「互助精神」に原点があったのだと、この人々を見てあらためて気づかされる。社会主義も協同組合もこうした支え合いの気持ちと行為に踏まえられていなければ堕落する。地に足をつけ「ロッジデール精神」を持って活動する人々がここにいる事に励まされる。

※母体となった「こんがりパンや」は2011年4月閉店しました。現在は「池袋あさやけベーカリー」として毎週水曜日限定で運営しています。

(文責・高野)

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