読者投稿】香港によせて/古賀滋
-香港の未来は全中国人民が決める

アヘン戦争で中国軍船を撃沈する英国軍艦。
自由・民主などではない、英国は一方的な侵略で香港を奪い取った

 関西の読者である古賀滋さんより投稿(コモンズへの批判的提言)が届きました。紙面の都合もあり、紙版には掲載できませんでしたが、提言を読んだ武峪真樹氏からの応答とあわせて、ここに全文を電子版記事として掲載します。(編集部)

一.

1 右から左まで

 香港で「自由・民主」を求めて、直接には逃亡犯条例改正問題をめぐって100万人以上のデモが起こった事に感動する人は多い。
 日本でもそうであり、大紀元みたいな蒋介石残党メディアから反中右翼、法輪功グループなど中国共産党政府打倒グループからリベラル・左翼を自称する人まで広範にデモ支持が広がった。日本共産党ですら機関紙で香港デモ無条件支持の記事を連載している。新左翼も多くが同じ風潮と言える。

 そこにこの「考察」を発表することは少々勇気がいるが、書いておかねばならないと考え、問題提起したい。特にこの間何ページもの貴重な紙面を割いて、香港デモの一方的見解が掲載されているので、この投稿をして、皆さんの見解を伺いたい。

2 香港の歴史

 香港に人が住み始めたのは紀元前だが、1800年以上、中国人のものであった事は間違いない。いつ中国人のものでなくなったかというと1842年のアヘン戦争以後だ。イギリスがインド近辺から持ち込んだアヘンを中国で大量に売りさばき、代わりに銀を大量に持ち帰る「麻薬強盗帝国主義」を続けるための侵略戦争に近代兵器を駆使するイギリス帝国軍が勝った。莫大な賠償金とともに植民地にしたのが香港だった。決して現地市民の意向や平和交渉でできた「民主香港」ではない。

 敗戦前4年間の日本軍中将による香港総督も含めて、150年間、帝国主義の一方的支配に置かれたのが香港の運命だと言って良い。1949年中華人民共和国が成立後すぐに返還を求めても正当性はあったが、50年間我慢してきた。その末に最後の香港総督パッテンと中国・趙紫陽首相の間で返還協定が結ばれ1997年に香港は中華人民共和国特別行政区になった。我慢の末に強盗帝国主義者の手から中国人民の元に150年ぶりに帰ってきて、以後の行政権は中華人民共和国にある。

3 主権者は中国人民

 中英両国の中間点にある地域の帰属をめぐる交渉で今の香港があるのではない。もともと中国人のものであった中国の一地域が22年前特別行政区になったあと、将来どうするかは、14億中国人民が法に基づき決めるものだ。

 大英帝国主義者も、そのディーラーも、中国政府転覆を狙い続ける蒋介石残党も、中国に底知れない犠牲と苦しみを与えた日本も、もちろん極右やネット右翼も、また「反スタ唱えれば正義」と信じ込んで全世界をそのものさしで割り切ろうとする自称左翼・リベラルも、発言権はゼロである。どうしても発言して影響を及ぼしたければ、中華人民共和国に住み、税金を払い、14億の民の生活と運命をになう中で、高説を具現する努力をするべきである。

4 本当に「自由・民主」のたたかいか

 私たちも遠い昔、日本でベトナム反戦の街頭闘争に参加した。直接の経緯は戦争協力をやめさせる事だが、どんなグループに所属して活動するかを選択するにあたっては殆どの人が共産主義・社会主義を掲げる組織を是として入った(だろう)。英帝・米帝・蒋帝・体制護持宗教・ネトウヨ極右が加盟する「自由・民主」に入るわけには、いかない。

 香港で議事堂や国際空港を不法占拠した人々はユニオンジャック・星条旗を振りまわし、それを蒋介石残党新聞の大紀元や法輪功が日本で大宣伝し、ネトウヨ極右も騒ぎ立て続けている。反中大宣伝を我慢して読んでいるのだが、香港資本主義社会の民主化は一項目も出て来ない。

 香港は全世界で一番多く超富裕層(資産33億円以上)が住んでいる。あの小さな地域に1万人!その10位以内にはアメリカの諸都市と東京。中国の都市は大きいのに富裕層ランキング10位以内に一つもない。なのに新左翼も含めて「中国では貧富の格差が…」などと無根拠に言う。

 英帝支配下の歴史の中でごく一部の金転がし勢力がぬくぬく暮らし、大部分の人が貧困にあえぐ状態は資本主義のどこの国、地域でも容易に予想できる(香港もそうではないか)が、それを改革するスローガンが「民主化勢力」の主張に皆無なのだ。「自由・民主」は日本の自由民主党と同義語ではないかと考察するのだが、違うよという例証があればぜひ伺いたい。

5 これから

 中国は1989年の天安門事件を乗り切った。以後の社会発展は目覚ましい。北京空港に全世界から航空機が集まる。巨大な空港には驚くが、まだ拡張するらしい。連休などには滑走路渋滞が起きて、何時間も待たされる事が多く、それを解消する対策なのだ。事実上アメリカを抜きつつある(GDPでは2位、貿易額では1位)「世界の中心」その中国を何とか転覆したい欧米帝国主義に我々日本の人民が加担してよいものだろうか? 

 中国には自由がないって!?全世界で自由がない国は多分過半数だ。自由を侵すことがしょっちゅう起きているアメリカ、香港をはじめ全世界の自由と無数の命を何世紀も奪い続け、今も戦争と言う究極の人権侵害に協力し続ける英帝、表現や労働運動の自由がどんどん侵されつつある自国の事をほっておいて、アジアの隣国に次々因縁を付ける安倍政府と同じ事を叫んで良いものか。

 香港デモのリーダーが記者会見で「香港を取り戻したい」と叫んでいた。英帝は独立を求めるアイルランドの人々を銃乱射でぶち殺し、同じ事を中国でもインドでもした。そんな時代に[取り戻され]てはたまらないのが中国人民だろう。

 中国に問題がないかと言えば、きっとある。しかし昨年亡くなった「民主」指導者が言葉を残している。当局が私を侮辱しなくなった、と。この二十数年中国へ行って色々見聞するたびに、「改善」を何事も必死にやっているのがうかがえる、それも国家規模で。帝国主義者の転覆策動を防ぎつつ、改革解放する姿勢が見えるのだ。主体も主権も中国人民とその代表政府にある事ははっきりしている。

二.

 ファクトに基づいて香港(ホンコンは英語名、中国語ではシャンガン)の事を考えたい。

6 香港の未来は中国人民が決める  

 一.の論文を百枚刷って周囲に配る社会実験をしてみた。そんなものをまいて嫌われるかもと心配しながら。幾人かの人は「この通りと思います、周囲に回します」。一方、あなたの論はおかしいですよ、という否定的反応は残念ながら!2人だけであった。内心、苦々しく思っている人があったかもしれないが。そして大部分の人は無言で受け取り、反応がうかがえない(と言うより、反応が無いのだ) 日本人は論議がへたなのか?! きっと隣国の人々なら喧々諤々になるだろう。

 自主の時代にあって、香港の運命は、デモ支持或いは香港政府&中国政府支持の香港人も含めた全・中国人民が決めるものだと言う至極当然の結論に落ち着くしかないだろう。

7 あまりにひどいデモの暴力

 私達も過去には、米軍燃料輸送や戦車輸送を阻止することがベトナムの友の犠牲を減らすと信じて実力闘争に参加した。しかし、通行車両・通行人・記者などに暴行したり、ましてや重傷を負わすなどはしなかった。ところが香港のデモ隊は多人数で暴力をふるって通行人に超重傷を負わせてしまっている。議事堂や空港に負わせた損害は本当に請求が来たら、大変な事になるだろう。

 警察が実弾を撃ったと言われている。その時の映像は殺人武器を持ったデモ隊に警官が囲まれ、今にも叩きのめされそうな状況だ。これを見た全世界の警察幹部は「やむを得ない、適正な銃器使用」と言うだろう。あえて言おう。警官に対してであっても、命と人権を奪うような「闘争」などあってはならない。香港の「民主派」はそれを平気でする。

8 やっぱり見えてきた外国、特に帝国主義の干渉

 幸福実現党が香港支援に入っているそうだ。キリスト教を装う反共カルト集団も反中国キャンペーンをやっている。アメリカ領事館の複数の車両がデモ隊に支援をしているらしい写真も出てきた。

 ある新左翼系新聞も、ウィルフレッド・チャンと言う人が「香港は国際左派運動として、資本主義国の支援を受けつつ欧米とは一線を画して…」と言っているかのような支援記事を載せだした。しかしそのチャンと言う人物はアメリカ大統領官邸と密接な関係者(オバマに雇われたホワイトハウスインターン)で、アメリカCNNの幹部であった。

 そんな人が「国際左派」の顔をしているのをどうして信用できるのか?!見抜けない「新左翼新聞」も落ちぶれたものだ。なお、デモシスト=デモ屋と言う名の党派のリーダー・アグネスは英国人だ。国会へのもぐりこみを図って香港籍に一時変えただけだ。

9 しかし帝国主義の企みはうまくいかない

 国慶節という中国最大の祝日を前に、とんでもないデマ情報が流れた。「安倍首相が台湾のほうに祝辞を送るらしい」と言うのだ。しかし、見事に外れた。安倍首相のような極右傾向の人物ですら「中国唯一の合法政権である中華人民共和国の建国70周年をお祝いし、これからも良好な関係をお願い申し上げます」と言う祝辞を習近平主席に送ったのだ。

 最大の帝国主義であるアメリカも「なるべく平穏に」としか言えない状況だ。民主化デモ200万人の根拠も疑わしくなってきた。中国人民はあの強大凶悪な日本軍の支配に終始屈しなかった。そんな抵抗実績の有る民族だから、もし中国の政策に香港人民の多数が反対しているなら、とっくに香港政府が転覆されているはずだ。

 そもそも凶悪な帝国主義政府を転覆した事もない、加害の責任も問えない日本からゴジャゴジャ言っても雑音でしかない。あえて断言は避けるが、14億中国人民の主権は疑いようがない。じっくり見ようと思う。

10 これから

 香港区議会選挙で親中派が惨敗した。今後の動向は未知数である。

 日本の新左翼の中にはこれで大ハシャギする人もいる。その人に聞いてみた。「何か実のある連帯行動をするの?」「例えば北京や香港へ100人単位で連帯行動をしに行くとか」「1千万円くらい送るか火炎瓶や鉄槍を買ってあげるとか?」いずれも答えはノーだった。理由が悲しすぎる。「お金もないし」…

 火炎瓶など使用せず、日和見と批判されたべ平連だが、反戦米兵をかくまい、身の安全と反戦を両立させる、きわどい、しかし素晴らしい実力行動をしたではないか?それに引き換え、香港連帯を勇ましく日本国内で叫ぶしかしない、と言うのだから、情けない限りだ。それも、写真のように幸福実現党やヘイト極右と一緒に。恥ずかしくないのだろうか?

 道は3つしかないと考える。
(1) 社会主義転覆の色濃い活動は支持せず、中国人民と政府との友好をこれまで通り行う。現に連帯労組は一貫して中華人民共和国への友好訪問を大きく組織してきた。
(2) 香港民主化闘争に社会主義とは言わないまでも貧困追放・香港内格差是正・経済民主化の萌芽を見出し、現地闘争を含む実質の支援をする。
(3) 日中韓首脳会談で文在寅大統領が言ったように「それは中国の内政問題」と賢明に論評する。
 良心的であるだろう自称左翼リベラルの皆さんはぜひ(2)の実践をお願いしたい。

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10月
7
18:30 「私たちは戦争を許さない 安保法... @ 日本教育会館
「私たちは戦争を許さない 安保法... @ 日本教育会館
10月 7 @ 18:30
「私たちは戦争を許さない 安保法制の憲法違反を訴える」市民大集会 @ 日本教育会館 | 千代田区 | 東京都 | 日本
■ 2020年7月9日(木)(延期)  日時:2020年10月7日(水)18:30~ ■ 会場:日本教育会館  〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2  都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分  都営三田線神保町駅(A1出口)下車徒歩5分  https://www.jec.or.jp/access.html ■ 内容(予定):  主催者挨拶:寺井一弘(安保法制違憲訴訟全国ネットワーク代表)  基調講演:又坂常人(信州大学名誉教授)「安保法制違憲訴訟の歴史的意義」  特別報告:伊藤真(安保法制違憲訴訟の会・東京共同代表)「違憲訴訟の現状と課題」  リレートーク:宮崎礼壹(れいいち)(元内閣法制局長官)/飯島滋明(名古屋学院大学教授)/新井 章(弁護士)/半田 滋(東京新聞論説委員)/市民代表:全国弁護団からの報告(群馬、横浜、女の会、釧路、山口等)  メッセージ:山田洋次(映画監督)/青井未帆(学習院大学大学院教授)(オーストラリアから) ■ 参加費¥500 ■ 予約:チケットぴあPコード:645395 ■ 主催:安保法制違憲訴訟全国ネットワーク ■ 協賛:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 ■ 連絡:安保法制違憲訴訟の会  〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル6階  Tel 03-3780-1260 E-mail office@anpoiken.jp)  http://anpoiken.jp/

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